2020年08月15日

第2503夜:幻の王【上田(長野)】

 六文銭。戦国を駆け抜けた信州真田家の家紋である。

 ある真冬の夜。戸倉駅から初のしなの鉄道で上田駅へ。待合室で1時間ほどPCし、新幹線の切符買おうと改札に向かっていると、見たことのある家紋が。六文銭。……。ここは信州真田の郷だった。レプリカの甲冑が展示されている。

 2016年の大河(S田丸)にハマり、いつか行ってみたいと思っていたが、まさかたまたま予備知識なく来てしまうとは。舞台が上田であることをすっかり忘れていた。

 19時ゆえ市内の観光名所へ行く時間はなく、結構久々の一軒目からの一人呑み。せっかくなら地元名物を地酒でヤリたい。しかし、何が名物か分からない。長野名物と言えば、蕎麦か野沢菜……。上田に限定するとさっぱり分からない。 

 日本中の駅前で見かけるチェーン居酒屋軍団は軽く無視し、駅前地下の<幸村>といういかにもっぽい炉端焼へ。

 カウンターに腰掛ける。店内は常連オヤジや作業着またはスーツのサラリーマンばかり。観光客っぽいのはゼロ。店名や立地からして観光客向けと構えたが(まあ、私は観光客みたいなものだから良いのだが)、大当たりかもしれない。

 瓶ビールでノドを開く。緊張を強いられたミッション終了後の最高の一杯である。

 お通し(豚じゃが)をつまみながらメニューを見る。上田は馬料理が名物らしい。先週、会津若松で散々馬肉を喰らったので、一番人気の馬刺しはスルーし「おたぐり」という馬のモツ煮。信州といえば野沢菜。そして独特の地元の名物ダレで味わう焼鳥。

 他にも郷土料理っぽいものもあったが(鯉こくやくるみ餃子など)、この3品で勝負をかける。途中から地酒「真田太平記」に切り替えて熱燗で。ミステリを読みながらの至福。

 この店は麺類も充実しているようだ。「上田名物馬肉うどん」に惹かれたが味の想像はつく。長野と言えば蕎麦だろうが。上田ではうどんなのか。「のんべえラーメン」も気になったが、どうせなら他の店で啜ってみよう。上田どころか長野には今度いつ来るかわからない。3カ月後か、1年後か、10年後か、これが人生最後か。

 お会計を済ませて店を出る。新幹線乗車まで30分。何か啜りたい。ご当地麺を。しかし蕎麦の繊細さが我がバカ舌には判別困難。しかも、それほど時間があるわけでもない。早く決めねば。

 駅高架下の地元客で賑わうラーメン屋<武士>へ入ってみる。店内は地元のサラリーマンや男女連れがひっきりなし。気合系の活気に満ちている。店名からして強そうだ。

 幸村ラーメン(醤油)、左近ラーメン(豚骨)、道三ラーメン(味噌)をはじめ戦国武将らを冠したラーメン多数。チャーハン謙信、焼肉信玄炒め定食、肉ナス利休定食、山賊清正定食……。

 よくわからないので一番イチオシっぽい「幻の王様中華そば」。特定の武将名ではなく「幻の王」。逆に気をソソラレル。

 この中華そば、大人気だったにも関わらず閉店してしまった名店の逸品を再現したものであり、信州のご当地ラーメンとして「王様」と称されていたそうな。信州発ネオご当地ラーメンであるらしい。分かるようでよく分からない説明である。要するに、まずはゴタゴタ言わず黙って啜ってみろという自信の表れか。この挑戦、受け止めねばならない。

 蕎麦も良いが、ご当地ラーメンと聞けば体の90%がラーメンで構成されている私にはスルーできない。安易に「幸村ラーメン」あたりで妥協せずに正解か否か。

 ブツ降臨。絶対に旨そうな、ハズレなきビジュアル。ネギたっぷり。スープが甘みを感じさせる醤油系だが、何かの旨味脂でコーティングしており実に旨し。

 数時間前まで長野のご当地系ラーメンを啜れるとは夢にも思っていなかった。私にとっての三途の川への渡し賃は、六文銭ではなくラーメンである。

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真田一族の拠点。

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六文銭。

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上田名物?@

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上田名物?A

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強そうな店名。

200815上田E.jpg
強そうなメニュー@

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強そうなメニューA

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王に謁見。

200815上田H.jpg
大好きです。
posted by machi at 10:32| Comment(0) | 長野県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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