2020年05月30日

第2457夜:共和国潜入【札幌(北海道)】(前編)

 札幌らーめん共和国。札幌駅前エスタ10階に領土を有する8つの州(8店舗)からなる連合国家である。雰囲気は昔流行った昭和レトロなフードパーク。令和元年に国家誕生15周年を迎えたという。

 平成から令和に元号が変わる1週間前の遅い昼、この魅力的な共和国へ初入国。観光客(ほぼ中国系)と地元客半々といったところ。ただし8店舗のうち、新千歳空港ラーメン道場と4店舗かぶっている(令和元年)。実食済が4国ゆえ、残りの4国を重点的に攻める。

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入国。

■1国目「吉山商店」:焙煎ごまみそ炙りとろ旨チャーシュー麺

 どこもそれなりに流行っているが男女問わず一人客のサラリーマンが多かった<吉山商店>へ。地元の支持が厚そうである。メニューを見ると味噌系が押しのようである。

 焙煎、魚介味噌、辛があり、私は「焙煎」に。記念すべき初入国ゆえ、グレードを上げて「焙煎ごまみそ炙りとろ旨チャーシュー麺」1000円召還。最近こってりした味噌系にハマっている。このメニューは共和国限定らしい。

 待っている間に黒い紙エプロンを装着し、ホームページで共和国の概要やこの店を調べる。コクとキレのある味わい深い一杯は札幌ラーメンの進化系!」とある。チャーシューも自慢らしい。店主は若いが厳しい修行のかたわら全国各地のラーメンを食べ歩き、その舌と感性を磨き上げたという。五感で味わうそうだ。

 確かに最近の味噌系の進化は目覚ましい。醤油が基本の私ですら最近味噌に寄っている。

 情報を調べているとブツが運ばれてきた。生唾を飲む。チャーシューが5枚。ノーマルな味噌が800円、焙煎味噌が830円、そしてチャーシューメンが1000円。焙煎味噌はチャーシュー2枚。半熟卵がチャーシューメンには半分入っている。1ヶまるまるで100円だから50円。よって3枚分のチャーシューは120円という計算。これはかなりお得といえる。

 まずは胡椒をパラリし、スープ。……。うむ。想像に近い味。全く期待を裏切っていない。麺は札幌らしいかん水が効いた黄色のちぢれ。スープとよく絡む。

 チャーシューは味わい深く、柔らかい。噛みしめるほどに旨味が溢れる。ビールが欲しくなる一品。5枚は食べごたえがある。スープ一滴、麺一本残さず熊啜だ。

 共和国初潜入、最初の1杯(1国)が肝心だった。ここで外せば恐らく足が遠のくだろう。一発目、かなりの満足度。より深く潜入していく決意を固めた。

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2019年4月実食。

■2国目「幸村」:味噌チャーシュー麺

 ホテルをチェックアウトし、らーめん共和国を包括する札幌駅前「エスタ」までのんびり歩いていると、カラスがかなりの低空で飛んでいる。羽風を感じるほどだ。前から歩いてきた女性がカラスに襲われている。

 うわぁ、気の毒と思った瞬間、私の首筋に凄まじい衝撃が。カラスがくちばしから突っ込んできた。激痛である。血は出ていなかったがこんな箇所にくちばしが刺さったら即死。札幌のカラスは巣守り中はすさまじく攻撃的で危険。札幌らーめん共和国の衛兵のごとき戦闘力である。

 10時半すぎにエスタへ。共和国は11時前に入国できない。館内のカフェで漫画を読みながらホットコーヒー。首筋をさすりながら。むち打ちになった不快を噛みしめる。

 11時、門が開いた。カラスもいない。2度目の入国は、2019年4月に共和国入りしたばかりという<幸村>。味噌、塩、醤油とあるが、迷わずに味噌。それにチャーシュー追加だ。

 店内はどんどん入国者で溢れ、あっという間に満席に。豚骨、豚足、野菜、昆布で長時間炊き上げたスープに白味噌、白麹味噌を合わせた特製焙煎という。焦がしにんにく油にフライドオニオンと白ごま、山椒を加えた至極の一杯らしい。

 期待が高まり、カラスの襲撃ショックを忘却の彼方へ追いやっているとブツ降臨。色っぽい。涎が溢れそうである。

 胡椒をパラリし、まずはスープ。……。これぞ札幌の進化系味噌。絶対に外さない味。麺もかん水の効いた黄色い縮れ系で私好み。チャーシューもたっぷりで絶妙の柔らかさのロース。最後にスープに浸しておいた卵を楽しみ、スープ1滴残さず啜り上げた。

 隣の客と店員の会話が聞こえてきた。この店は月寒で3年前にオープンし、この4月から共和国入りしたそうな。わずか3年で人気店に成長したのだろう。その実力に首肯する。〔次夜後編〕

200530幸村(2019年7月).jpg
2019年7月実食。
posted by machi at 10:41| Comment(0) | 北海道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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