2020年01月01日

第2350夜:問答無用の力技【高松(香川)】

 さぬきうどん。泣く子も啜る香川県のソウル中のソウルフードである。もはやB級グルメというような範疇を振り切った文化である。

 ある秋の香川県高松市の正午。昼食は当然のごとく、さぬきうどん。どうせなら地元民で賑わう店が良い。しかし完全セルフはシロートの我ら沖縄県宜野湾チーム6人にはハードルが高すぎる。プチセルフスタイルでかなり大きな店だった<さか枝うどん>に飛び込んだ。

 20人ほどが並んでいる。しかしどんどん列が前に動く。ベルトコンベアーのように流暢だ。

 メニューが豊富である。「かけ」から始まり明太子バターなどバリエーション豊富。サイズも4種類で小(1玉)・中(1,5玉)・大(2玉)・特大(3玉)。

 店内ではサラリーマン、OL、家族連れなど大賑わい。皆さんゆっくり食べている感じは皆無で、すごい勢いで啜っては食器を返却し店を出ていく。平均時間は10分程度ではなかろうか。

 メニューを迷っているうちに最前列に来てしまった。旨そうな天ぷら類がズラリと並んでいる。どれも100円かそれより少し高い程度。後ろから並んでいる腹をすかせたうどん人たちの圧力が増してくる。迷っているヒマはない。

 トングを手に「半熟卵」と「ちくわ磯辺揚げ」を皿に載せた。かき揚げや野菜天ぷらも心惹かれたが、どれもデカい。喰いきれるか自信がない。

 続いてうどんを選択。私は1秒の長考の後「肉うどん、大で」と発言。そのままうどんの受取口へ。目の前で肉を載せてくれるのだが、凄まじい量である。牛丼チェーンの特盛肉の倍はありそうな雰囲気。そしてお会計。ちなみにすべて合わせて690円だった。

 そこからがある意味でクライマックス。刻み葱&天かす&すりおろし生姜の入れ放題ゾーンである。人としての品性が試される審判の場でもある。

 品性のカケラもない俗物の私は思いっきり葱を入れようとした。しかし、葱を掬うスプーンがクリームソーダ級。全く掬えない。店側の防御対策も万全である。うどんが見えないほど葱をぶち込んでいるオヤジはどのような攻撃をかましたのだろうか。

 席に着き。七味を多めに振り、まずは出汁。……。出来上がりから色々時間を要したからか少し冷めてしまったが、バッチリいりこ系の出汁が効いている。肉うどんの肉汁の甘みと旨味が溶け込んでいる。肉も減らないほどたっぷりで出汁が染みて相乗効果を高めている。

 ちくわ磯辺揚げを齧る。醤油を垂らして。ジャンクな旨さに痺れる。半熟卵の天ぷらはうどんに投下。黄身が出汁に溶け出すと官能が倍加する。

 この数年以上、コシの強い讃岐系は全く啜ってこなかった。九州北部や関西の柔らかいうどんばかり。久々のタフなノド越しに活が入る。それ以上に、大(2玉)を侮っていた。もし特大だったら啜り切らんかったかもしれない。

 ラストは土生姜を投下し、キリリと引き締める。ため池が枯渇するほどの熊啜である。

 店を出る時、再度張り出されているメニューを見た。それぞれにキャッチコピーが付いている。

 私が満喫した肉うどんは「問答無用。まさに力技。」。剛力無双な力強さに納得である。その横は肉ぶっかけうどん。キャッチが「濃い目の出汁に絡む肉汁。」何か官能的で卑猥な響きがある。値段は「ぶっかけ」の方が30円高い。

 どちらも意味はともなく勢いは感じさせる秀逸なキャッチコピーである。しかしノーマルとぶっかけの違いがさっぱり分からない。

 ちなみにこの店の我がベストキャッチが「いきなり食べたくなる味」。正解はカレーうどん。確かに発作的にいきなり食べたくなる時があることだけは言われてみればそのとおりである。

200101さか枝うどん@.jpg
肉うどんをカスタマイズ。

200101さか枝うどんA.jpg
こんなお店が近所にあれば、毎日通ってしまいそう。

200101さか枝うどんB.jpg
キャッチコピーが秀逸。

(付記)
新年あけましておめでとうございます。2019年ラストは「年越しそば」。2020年1発目は「年明けうどん」ということでうどんブログでございます。2020年もこのバカブログをご笑覧の皆さまにとってステキな1年になりますように。今年も御贔屓に!
posted by machi at 10:30| Comment(0) | 香川県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: