神戸人の私にとって、埼玉の暑さは太陽と日差しの凶暴さが異なる。もはや暴力としか思えない亜熱帯の暑さ。日差しと湿気。これまで夏バテ経験などなく、むしろ夏は暑ければ暑いほど調子が良くなっていた私だったが、さすがにゲンナリしそうになる。埼玉の暑さだけでなく、私の加齢も原因の一つに違いないけれど。
寄居駅で蒸気機関車を目撃した時、私は神戸から埼玉入りし、蕨市・寄居町・越谷市を縦横する2泊3日の真っ最中だった。午後2時間、夜2時間のダブルヘッダーもあり、エアコンの効いた快適室内でのミッションとはいえ緊張も強いられる。
バテ気味でも食欲と酒欲だけは減退皆無。昼は麺類、夜はビールやホッピーを浴びながら焼鳥&焼とん。夜の居酒屋は最近どこもエアコンが効きすぎているように思えるが、蒸し暑い屋外からエアコンガンガンの室内に入り、おしぼりと戯れた後間髪いれずノドに放り込む生ビールの旨さはこの世の奇跡。特にミッション中、しゃべり倒した後は格別だ。
昼は麺類だが、あえてアッサリ系で無く濃厚ギトギト系で勝負。二郎系も良いが、私は横浜家系をさらに好む。家系濃厚豚骨醤油中毒の私は、関西でも最近増えてきた家系ラーメン店へ足しげく通う。私が注文するのは「ネギラーメン」。しかしこの日は蕨(厳密にはたぶん西川口)であえて「MAXラーメン」(壱角家)というトッピングオールスターズを啜りきった。
越谷駅前にある関東イコール日本最強の立ち蕎麦チェーン<富士そば>の煮干しラーメンも最近ハマっている。450円とは思えぬ質の高さで手抜きなし。煮干し系をこよなく愛する私にとって、手軽にいつでもこれだけの品質を啜ることができる関東の麺友たちに羨望だ。
タフな2泊も終わり帰路に着く。越谷から途中秋葉原でJRに乗り換えて東京へ。秋葉原の地上(昭和通り口)に浮上した時、新幹線駅弁昼酌も頭を過ったが車中でPC猿打せねばならない。昼酌を諦め、麺類一択で何か啜ろう。しかし、暑さと人の多さで探索する気になれぬ。
家系ラーメン、つけ麺系、立ち蕎麦…。目移りするが、私の心を鷲掴みにしたのが<パンチョ>。大盛ナポリタンスパゲティの店である。新橋駅前地下に存在しているのを知っていたが、今や都内の至るところに進出しているのだろうか。
大盛料金無料。目玉焼トッピングで740円の券売機スイッチを押す。紙エプロンを装着し、準備万端。ブツ完成。タバスコと粉チーズを鬼のようにぶっかけ、目玉焼の黄身を潰して絡めながら口の周りがケチャップだらけのアキバ啜。私の口と胃と心は濃厚極まりない蒸気機関車状態に。やはり私に夏バテは無縁である。

秩父鉄道寄居駅にて。

<壱角家>のMAXラーメン。

<富士そば>の煮干し出汁がバッチリ効いたラーメン。

<パンチョ>のナポリタン大盛。