ある7月の熊本市内に台風が襲い掛かる日の前夜。水前寺参道商店街や市、会議所、観光協会の`もっこす´`もうじょ´たちと勉強会。スムーズに終了し、その日は皆さんご都合悪いようで懇親会も呑み会もない、私にとって1年に1度あるかなしかの夜になった。
いったんホテルに戻ってユニットバスに浸かったら22時前に。遅めの昼に水前寺横の<味千拉麺>でこの支店限定の水前寺もやしをたっぷりトッピングしたラーメンを啜っていたので空腹感はなかったのだが、さすがにノドが渇いた。ホテルの飲食店マップを参照すると、22時には大抵の店が閉店っぽい。コンビニで何か買うか……。
念のためフロントに一人でも入れるオススメ店をお聞きする。どこも一人で充分に満喫できるそうだ。中でもホテル対岸の<五郎八>は人気店という。しかしいつもイッパイで入れるかどうか……というご返答。しかし営業時間は24時までという頼もしさ。攻めねばなるまい。
店構えは間口狭く、かなり年季が入っている。焼肉、ラーメン、ちゃんぽんと看板にある。何屋か分からぬ雰囲気だ。
ドアを開ける。一人である旨を伝えるとカウンターに通される。入って驚愕。奥行が凄まじく広く、びっしり満員の大賑わいである。店内も厨房も活気に満ち溢れている。観光客皆無の雰囲気で純度100%`もっこす&もうじょ’で制圧されている。
キンキンに冷えた生ビールをほぼ一気飲み。少し落ち着いた。メニューを見る。目も眩むような垂涎メニューが並ぶ。一人ではなく大勢で訪れたいラインナップ。ラーメンや定食、丼もある。かなり種類豊富だ。店内はどんどん客が入れ替わる。22時前なのに予約客ばかりだ。
私のファーストチョイスは「さくら納豆」。醤油を垂らし、瓶ビールをヤリながら刻まれた馬肉をチビチビつまむ。2番目の料理が出てくるまでの見事な先頭打者の文字通り「ネバリ」である。生卵を突き崩すとまろやかさが際立つ。
セカンドチョイスの焼肉が運ばれてきた。豚肉、牛肉、馬肉から選ぶ。もちろん「馬」。馬の焼肉は初めてかも。たっぷりのピーマンと炒められている。香ばしさが食欲を刺激する。
口に運ぶ。……。柔らかい。ジューシー。タレが絶妙。上品な脂の甘さもほんのり広がる。ビールが止まらない。ピーマンや玉葱も抜群。見事な相乗効果だ。
時間は22時を回っただろうか。店員さんが私に歩み寄り「ラストオーダーですが」。目を剥いた。24時閉店で22時ラストという荒業。しかし、納得させられる。活気に満ちており、売切れも続出。ドリンクは注文可能なので安堵するが、ラーメン〆の選択は滅失する。
最後にオーダーしてた「馬ホルモン炒め」はかなりの量。一味をパラリし口に運ぶ。……。一人で思わず嘶きそうになった。なんだ、この旨さは。野生と上品が超高難度に同居したタフで精妙な味わい。白岳ロックのピッチも加速する。これ1品でも十分な満足度である。
さくら納豆が残っていた。最後にぐちゃくちゃにかき混ぜ、啜り込んで全力フィニッシュ。うっとりするような満足感を抱えながら店を出る。たまたまの一人呑みだったが、これほどの名店に出会うとは。何かの嵐の前触れかもしれない。
さくら納豆。
焼肉(馬)。
馬ホルモン。

