ホルモン鍋。毎月どころか毎週福岡(北九州ですが)に訪れている私は福岡県民でないわりに「もつ鍋」に接する機会は多い。居ても立っても居られないほど好物かといえば、そこまで熱くない。しかし、もつから滲んで油膜が浮いた出汁は絶品。これだけで酒が呑める。クタクタに煮えてコクが染み込んだ野菜も頬っぺた落としだ。
もつ煮は好物だが、私は関西人でありながら「豚」派。西日本は「牛」だろうが、どうしても脂がキツすぎる。もつ煮に関しては東日本系の「豚」に岡惚れしている。
前置きが牛もつのように脂っこくなったが、少し夜が涼しくなってきた忍者の隠れ里・伊賀市の中心・上野銀座商店街。<いとう>さんへ22時過ぎに商店街の旦那衆と足を運んだ。この店は3、4回通っていると思うが、何を食べても絶品。ボリュームも半端ない。特に「伊賀牛」をこの店で味わうことは人生を確実にワンランク豊かにする。
その日の夜の卓上にはカセットコンロが。鍋なのだろうか。生で乾杯し談笑し始めると、ドカンと予測通り鍋が鎮座した。たっぷりのニラが中央でこんもり盛り上がっている。その下にはプリプリしてそうなホルモンがたっぷり。「伊賀牛のホルモン鍋」だった。ステーキ肉は幾度となくご馳走になったが、伊賀牛ホルモン童貞喪失のチャンスである。
煮えるまでのアテとして七味マヨネーズが添えられたウィンナー炒めと手羽餃子が運ばれてきた。空腹気味の酒呑みの心をざわつかせる。これで充分なメイン料理だ。
ホルモン鍋が煮えてきた。取り分けて、まずは出汁を啜る。……。様々な旨みが溶け込み、ホルモンの脂がいつまでも熱を溶かさない。さっそくホルモンを口に運ぶ。……。クドさ、しつこさともにゼロ。純粋な脂の旨みと甘みだけが昇華される。そして柔らかい。和牛の、それも伊賀牛のホルモンとはこれほど上品で艶やかなのか。
少し辛みを加えようと旦那方が輪切の粗挽唐辛子を注文。投下した。プリっと味が引き締まり変化した。さらにウィンナーを何本も注文。鍋に投下。私は焼肉屋では必ずウィンナーを頼むし、自宅鍋にはウィンナーは欠かせないアイテム。見事な「三変化」である。
焼酎に切り替え、伊賀牛ホルモン鍋をつつく。具は無くなってきた。シメはラーメンである。私の鍋シメは米ではなく麺原理主義者なので思わず笑みが漏れる。
麺が煮えた。しかし、何か足りない。旦那衆は厨房に刻み葱を注文。すぐに運ばれてきたので投下し「四変化」。メンマも欲しいと叫び声があがり、さすがに常備じていないと思いきや分殺で卓上へ。極上のネギメンマラーメン「五変化」。疋田天功もビックリのイリュージョンに圧倒されていると胡椒がないと声があがる。胡椒パッパの「六変化」。
涎が垂れるのを我慢しつつ麺とスープを一心不乱。最早鍋〆の粋を遥かに超えている。伊賀牛ホルモン鍋六変化。翌朝、私がさらに2sほど太って「七変化」。
火入れ直前。
鍋が煮えるまで。その一。
鍋が煮えるまで。その二。
中盤にウィンナー投下。
2016年12月17日
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