2016年04月28日

第1442夜:黄金色の溶岩【富士宮(静岡)】(後編)

 ゴクリと唾を呑み込んだ。コップの水を口に含んで逸る心を抑えようとした瞬間、ビールが不可欠であることに気付いた。焼きそばとビール。無敵最強カップルベスト5位に入っている。しかし、25分後にはミッションが開始される。アルコールは当たり前だがご法度である。

 短い後ろ髪を惹かれつつ再度メニュー確認。「缶ビール350円」の下に「キ●ンフリー250円」があった。ノンアルコールビールである。普段は視界にすら入ってこないが、一際大きな輝きを放っている。私は恥ずかしさと誇らしさが入り混じった声で「ノンアル1本、お願いします」。

 若いマスターは「どちらにされますか?」と2種類のノンアルを提示してきた。まさか2種類もあったとは。キリ●フリーとオール●リー(サン●リー)。一瞬迷ったが、オ●ルフリーに。

 いきなり目玉を崩すのではなく、まずはイワシの削り粉がたっぷり掛かった裾野から攻める。箸でむんずとつかみ、グっと啜る。……。これほどコシの強い焼きそばは初めて。コシの強いうどんやそばは実食済だが、コシの強い焼きそばは初めてである。アクセントの肉とイカの噛み応えも心地よい。最初はコシの強さに戸惑ったが、2口目から慣れてくると旨みが伝わってくる。

 ノンアル缶をカシュっと開け、一気にノドに流し込む。焼きそばの旨さが倍加する。ソース味が占領している口内をサッパリシュワっと洗い流す。次のひと箸がさらに旨くなる。ビールでなくてもよい。冷えたノンアルは昼の焼きそばに欠かせない(夜はアルアルが欠かせませんが)。

 富士宮やきそば、あっさりだがコクもある。強烈な主張はないけれど、いつまでも飽きのこない完成した味。毎日でも食べ続けられる。大盛の上にコシもあるので満腹感が一気に襲ってくるが、いくらでもノドを滑っていく。箸が止まらない。

 3分の2を啜り終えた。いよいよ、目玉焼の黄身を崩す。クライマックスである。箸でチョンと突く。薄膜が敗れ、黄身が溶岩のように流れだす。茶褐色の裾野を流れる黄金色の溶岩。富士山頂は拝めなかったが、目の前の富士宮やきそばでお釣りがくるほどの満足感である。

 卵を絡めながら麺を啜る。……。いっきに官能的な味わいに確変。妖艶な熟女に筆おろしされている気分になる。

 その夜。ミッションを終えた私は富士宮から電車とタクシーを乗り継いで富士市吉原本町へ。数年来お世話になっているNPO東海道吉原宿S野氏とバカ話しながら痛飲。いつの間にか富士宮行きの終電が消失。NPOスタッフのAスミンに富士宮まで送っていただく。

 ホテルに近いコンビニへ。さすが富士宮、カップ焼そばも「富士宮やきそば」。思わずレジに向かいそうになったが、思いとどまった。富士吉原のご当地B級グルメ「つけナポリタン」を数年前に啜ったことを思い出したからだ。無性に食べたくなり、惣菜弁当コーナーへ。……。残念ながら、隣町のご当地B級グルメは王国には存在しなかった。

160427虹屋ミミ@富士宮A.jpg
富士宮やきそば&ノンアル。
posted by machi at 07:27| Comment(0) | 静岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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