2012年04月24日

第465夜:至福と背徳の屋台村【高知(高知)】

 ひろめ市場。高知市内中心市街地商店街に位置し、県内の郷土料理をはじめ様々な飲食店、物販点など60店舗以上が集積した、酒呑みにとっては夢のような巨大屋台村である。

 「ひろめ」とは、高知を「ひろめる」という意味に加え、土佐山内家の名家老の姓が「ひろめ」さんであり、ご家老の屋敷が現在のひろめ市場にあったことが由来だそうだ。

 1998年に誕生し、勢いは衰えず増すばかり。私はオープンして3年後に視察を兼ねて訪れたことがあるが、10年ぶりに再訪して、明らかに以前より凄味と活気に拍車がかかっている。

 施設中央や路地のような一画に、所狭しとテーブルが並んでいる。来場者は酒や店でお気に入りの酒や肴を買い込み、テーブルに持ち寄って堪能するシステム。撤収はアルバイトスタッフがワゴンカートを押しながら巡回し、随時片付けていくシステムだ。ほとんどのテーブルに灰皿が置いてあり、分煙思想を蹴散らす土佐っぽの気風が力強さ満点だ。

 施設自体は8時ごろから開いており、23時まで営業している。店によって営業時間がバラバラだが、10時ごろには飲食系の店が開きだす。

 私が訪れたのは日曜日の10時ごろ。すでに500ほどある席がほとんど埋まっており、すでに生ビールや地酒、料理を楽しんでいるグループや家族連れで激しく賑わっている。慌てて席を確保し、迷路のような酒呑みワンダーランド冒険の旅に出た。

 生ビールと焼酎に加え、様々な店で購入した高知名産郷土料理をズラリとテーブルに並べる。朝10時の生ビールが末梢神経まで沁み渡る。揚げたて熱々の「四万十鶏唐揚」を頬張る。……。ガリっと衣を歯で噛み切ると、肉汁がピュっと飛び出してくる。唐揚と生ビールという龍馬氏&お龍さんばりの相性に悶絶する。

 獲れたてのイワシの稚魚を生のまま味わう「ドロメ」。見た目は生しらすのようだ(分かりにくい例えですね)。ぽん酢をぶっかけて口に運ぶ。……。ネットリとして魚と磯の旨みが凝縮されている。高知に訪れないと味わえない珍味だ。

 アナゴ類の稚魚を生でいただく「ノレソレ」。純白の白で、形状はイカのようだが、よく見るとそれぞれに目があることが分かる。ドロメ以上に希少性の高い晩春&初夏の風物詩だそうである。箸でつまもうとすると、すごいヌメリにツルツルと滑り落ちる。

 そうめんのように口にツルツルと運んだ。……。生臭み皆無。イカでもなく、魚でもないけど魚類ということはハッキリしている独得の食感と旨みだ。

 高知県内の麦焼酎をグビっとやりながら、「田舎寿司」に挑む。にぎり鮨なのだが、ネタが魚ではなく野菜という精進料理さながらの逸品。様々な種類があり、私が購入したのは蒟蒻、筍、茗荷、葱(たぶん)といった陣容。ネタに下味が仕事されており、醤油いらずのヘルシーさだ。

 会場内は席を確保できず途方に暮れている来場者で溢れている。ひろめ市場システムは高知という気風と抜群の施設立地だからこそ最高を生み出しているのだろう。アレンジせず安易にシステムを他の街に導入しようとしても、幸せな結果は生まれない。土地に合ったシステムを一から構築することに勝るものはなし。

 午前中の飲酒がもたらす背徳の酔い心地とともに、高知に訪れないと味わえない至福の空間に陶然とした。

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早朝から呑んだくれで賑わう<ひろめ市場>

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ドロメ(上)&ノレソレ(下)

120424野菜寿司(高知).JPG
ネタを野菜に見立てた「田舎寿司」

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posted by machi at 07:58| Comment(0) | 高知県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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