2012年02月17日

第419夜:聖徳太子の大好物?【斑鳩(奈良)】

 「蘇」。搾りたての牛乳を煮詰めて作った食品で、もしかすると日本最古の加工食品である。奈良・天平時代には薬や供物として使われ、「蘇」(よみがえる)という字が充てられるように、薬効効果もあったそうだ。

 日本最古の医術書「医心方」には『五臓』の気を補給し、蘇は乳糖が多く含まれ、甘味に縁のなかった古代人にとって濃縮された自然の甘味は極めて貴重品。美容と不老長寿効果も期待され、貴人しか口にできなかったものと推測される。

 2011年10月より毎月1回開催された「法隆寺北口商店街活性化セミナー」。昨夜(2012年2月16日)、集大成となる第5回セミナーで、「蘇」をベースにした斑鳩町の新スィーツがお披露目された。まだ完全に商品化されておらず、試作品と思われる。

 商品名(仮称?)は、「ヤマトヒメノミコト」(漢字分からず)。壮大かつ美しいネーミングである。法隆寺北口商店街の<ももたろう>さん渾身の作品だ。

 まずは「蘇」そのものを試食してみた。商品は真空パックされており、巨大なキャラメル、茶色いチーズ…。表現しようのないビジュアルである。

 削った蘇のカケラを楊枝に突き刺して、恐る恐る口に運んだ。……。限りなく牛乳味に近いチーズ。ほのかな甘味もある、シャリっとしたチーズか。ジェリー級のチーズ好きには抵抗なく楽しめるだろうが、完全に好みは二極化されるだろう。みなさんも最初は複雑な表情だったが、食べ慣れてくるといい感じという声もある。ちなみに私にはストライクゾーンだった。

 続いて「蘇」を原料に開発された新商品「ヤマトヒメノミコト」に挑戦。見た目は完全に羊羹。サイコロ状にカットされたブツを同じく楊枝に突き刺し、口に放り込んだ。

 ……。甘い。黒糖ときなこを混ぜ合わせたような味をベースにほのかにチーズが香る羊羹といったところか。銀河系にこの味を一言で表現できる言葉が見当たらないが、思った以上に食べやすい。蘇が効いている。「私これ大好き」「2回以上食べたら完全にクセになる」「もっとチーズを利かせたら」「クッキーやチーズケーキなどに使うといいかも」という感想が出された。

 「蘇」は極めて高価な食材で、日本史上の大スター・聖徳太子氏も大好物だったそうだ。太子氏の御威光を拝借しながら、美容や薬効効果だけでなく、頭がよくなる受験生の糖分補給として合格祈願商品化すると大ブレイクの予感あり。贈答品として売値高騰にも耐えられる。

 試食した後は、3つのグループに分かれてディスカッション。この新名物候補をいかにPRして売り出すか、商店街だけでなく斑鳩町全体にいかに波及させるかがテーマだ。

 聖徳太子氏の有名な逸話の一つに、大勢の話を一度に聞きわけたというものがある。聖徳氏の好物を口にした私にもその能力が備わったのだろうか。試しに各グループの会話を同時に聞きわけようと耳をそばだてたが、さっぱり分からなかった。

120217「蘇」&「ヤマトヒメノミコト」(斑鳩).JPG
古代チーズ「蘇」(下)と、それを原料にした「ヤマトヒメノミコト」(上)

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posted by machi at 06:46| Comment(0) | 奈良県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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