原作を読了した私にとって、マドンナとは単なるあだ名であり坊っちゃんとほとんど絡まないことは承知済だが、夫婦のごとく並んでツガイで売られていると、思わず手に取ってしまう。
毎月松山を訪れている私は、帰路の特急列車にて月を跨いで二つの駅弁を食べ比べた。
■「坊っちゃん弁当」
昔の竹藁風の包み紙が印象的である。時代劇などに出てくるタイプで、オニギリを包んだだけでも妙に旨そうに見えるから不思議だ。値段も600円台という駅弁にしては破格の安さだ。
包みを広げると、どど〜んと大きなオニギリが2ヶ入っている。一つは梅干しが中央に埋め込まれた定番タイプ。ところが、もう一つが全体に黄土色。味噌にぎり飯のようだ。
黄土色オニギリを齧った。……。吹き出しそうになった。味噌ではなく、きな粉だった。強烈な不意打ちに目を白黒させてしまう。
おかずはシンプル。エビの天ぷらがメインで、カニカマ入り玉子焼、肉野菜フライ、鮭などが彩りを添えている。
■「マドンナ弁当」
私のようなオッサンが一人で注文するのが恥ずかしくなる。ピンクの布紙で丁寧に包まれており、袴を着たハイカラ女子の手提げ巾着といったオモムキだ。小さめの重箱2段重ねである。
私も女子になった気分でハラリと包みを解いた。少しドキドキした。一の重は錦糸玉子がまぶされた酢飯。二の重はおかずとデザートだ。
おかずは「坊っちゃん弁当」と極めて似通っていることが分かった。海老天ぷらの代わりはサツマイモの天ぷら。栗の甘煮などが入っていることもマドンナの特徴か。
ボリュームはなかなかで、味付けはあっさりと上品に仕上げられている。値段は800円台後半。男子より女子の方が何かと入り用である。
松山駅弁として圧倒的に有名なのが「醤油めし」。他には海鮮チラシ系が主流のようだ。文学の香り溢れる松山らしく、豪快さよりも繊細さが際立つラインナップである。
松山から岡山へ向かう特急列車では、進行方向左側の窓側席をおススメする。美しい瀬戸内の海や島々を臨場感あふれる目線で眺めることができる。当然ながら、岡山から松山へ向かう際は、進行方向右側の窓側席が基本だ。
「坊っちゃん」「マドンナ」が各々駅弁化されているならば、「赤シャツ弁当」「のだいこ弁当」「山嵐弁当」「うらなり弁当」もシリーズ化して頂きたいものだ。
松山駅「坊ちゃん弁当」
松山駅「マドンナ弁当」

