2012年01月13日

第394夜:坊っちゃん列車に揺られながら【松山(愛媛)】

 坊っちゃん列車。松山市内の中心部を走るSLの形をした路面電車である。2002年、松山城築城400年を記念して復活したそうだ。

 松山市内を巡回するなら、とにかく路面電車が便利である。各路線は1時間に10本は運行しているような感覚になる。1回の乗車でわずか150円。1日乗り放題キップもある。

 仕事っぽいことを終え、路面電車JR松山駅まで戻ろうとした私の目の前に現れたのは、漆黒のボディを持つミニSL。観光客に大人気の「坊っちゃん列車」である。

 松山市内の幹線道路沿いや停留所、路面電車道を歩いていると、坊っちゃん列車を見かけることはある。ただし、この列車の停車駅は主要駅しか止まらない上、本数は極めて少ない。乗る機会などめったにない幻の列車と言えよう。私は迷わず、列車に乗り込もうとした。

 すると、明治時代のレトロな鉄道マンの衣装に扮した車掌さんから、料金前払いでキップを買うシステムを告げられた。300円。一般の路面電車の倍である。コンマ2秒ほど躊躇ったが、貴重な機会である。私は木造の車両に乗り込んだ。キップは記念として持ち帰ることができる。

 列車は動き出した。複数の号車で連結しており、一つの車両は10名程度乗車可能。木の長イスをはじめ、至る所に細かいレトロ感が散りばめられている。エアコンなどないため、車内はウチワが常備されている。

 ぼんやりと車窓を眺める。一般の路面電車以上に旅情気分が高まる。この列車がかなり目を引くので、特に観光客は羨望のまなざしで見つめている。私も優越感に浸ることができる。

 要所で車掌さんが観光案内や絶景スポットを伝えて下さる。列車は大街道、県庁、松山城を抜け、松山駅に向かっている。それにしても、ガッタンガッタン良く揺れる。車掌さん曰く、明治期のSL列車の半端ない揺れも再現していると思ってほしいとのこと。納得である。

 同じ車両に乗っていた観光客たちは途中の観光スポットで下車し、いつの間にか車内は私一人になった。極めて贅沢な空間、時間だ。

 列車はJR松山駅に到着した。わずか20分弱のレトロなタイムスリップ。私の愛読するコミック『駅弁ひとり旅』(双葉社)第2巻の冒頭に、主人公が坊っちゃん列車を楽しむシーンが活写されている。

 松山駅ホームの屋台風売店で駅弁を物色した。数ある中から私が選んだのは「坊っちゃん弁当」。坊っちゃん列車の後に相応しい。

 特急列車が動き出した。揺れなど感じないほどのスムーズだ。明治時代の坊っちゃん列車と、平成の特急列車。車窓を眺め駅弁を頬張りながら、輸送技術の進歩を実感しながらも、旅情気分は今も100年前も変わらないことも体感した。

120113松山坊っちゃん列車.JPG
松山坊ちゃん列車

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posted by machi at 06:34| Comment(0) | 愛媛県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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