定番と思しき鯛めし定食を注文。瓶ビールで喉を潤しながら、鯛めしの魅力が紹介されたメニューを熟読する。
鯛めしとは、新鮮な宇和海の生の鯛を三枚におろし、だし汁、薬味、生卵を熱いゴハンにかけて食べる、全国でも宇和島にしかない独特の食べ物であるらしい。2007年、「宇和島鯛めし」として農林水産省郷土料理百選にも選ばれたそうだ。
瓶ビールを半分ほど呑み終えた頃、定食が運ばれてきた。生卵が落とされただし汁に浸っている鯛をヅケとして口に放り込む。……。甘めのツユがシャキっとした新鮮な歯ごたえの鯛刺身を優しく包んでいる。充分なビールの肴だ。
ヅケの鯛刺身を2切ほど、小鉢のおからを肴に瓶ビールを呑み終えた。浅蜊と素麺を具にした絶品のすまし汁を一口啜り、心を休ませてから鯛めしの調理に取りかかる。
調理と言っても、ミニおひつから茶碗に白飯を盛り、ヅケ鯛刺を乗せるだけ。茶碗2杯分の白飯があったので、配分に細心の注意を払いながら1杯目は鯛刺しをオカズに白飯をワシワシ頬張った。……。ヅケ鯛の旨みが白飯に合う。18秒ほどで1杯目を食べ終えた。
2杯目は、残ったヅケ鯛2切れほどと、つぶさずに慎重に泳がしてきた生卵、鉢縁にこすりつけられていたワサビを一気にミニおひつにぶっ掛けた。海賊の宴会である。
レンゲを使わず、箸で啜り込むように口にぶち込んだ。……。鯛の淡泊な旨み、生卵の濃厚なまろやかさ、ワサビの鮮烈な爽やかなさ、白飯の上品な甘み、だし汁のコクが口の中でダイヤモンドを築き上げている。ノドを滑るように流れていく。
瓶ビールを追加した。貝類に目がない私は2種類の初めて体験する貝料理を注文した。
1皿目は「はしり貝」。緑色の殻に包まれ、爪楊枝で割れ目から引っ張りだすと、ヤドカリの本体のような物体が登場。口に放り込んだ。……。焼きイカのような味がした。
勢いに乗った私は2皿目に‘亀の手’を注文した。‘亀の手’とは「せい貝」が正式名称。見た目は緑がかっており、亀の手にしか見えない。
食べ方が分からずまごついていると、店員熟女がご教授して下さる。両側を持ち、軽くヒネリながら引っ張る。柔らかい殻が二つに外れ、その片側にピュっという感じで身が付いている。それをチュッと味わう。淡泊で旨みだ。
たっぷりとある亀の手のさばきにも慣れてきた。楽しくなり、勢いよくヒネって千切ると中の汁が思いっきり飛び出して、目も鼻の穴もワイシャツもビシャビシャになった。
鯛めし定食
はしり貝
亀の手(せい貝)
≪蛇足:昨日のあ〜ほボイルド≫
終日北九州市黒崎。夜は泥酔。

