2025年01月30日

第3588夜:夢幻のごとくなり【上三川・栃木・小山(栃木)】

 人間(じんかん)五十年 下天(げてん)の内をくらぶれば、夢幻(ゆめまぼろし)の如くなり

 巷間に伝わるO田信長氏のオハコ(十八番)の幸若舞「敦盛」の一節である。意味はあまり分かっていないが、私自身、この一文は昔から何故か心に刻まれていた。

 まちづくり業界に飛び込んだのは19994月。24歳だった。神戸新長田で20103月までお世話になり、以降は北海道から沖縄まで多くの都道府県と御縁を頂いてきた。

 年度によっては年間300泊ほどホテルを転々。飛行機もJALだけで四十数万マイル、よく利用するビジネスホテルのポイントも50泊以上無料になるほど溜まっている。

 一般の会社務めと異なり、私は自宅事務所の超弱小独り親方。上司も部下もいない。独りである。自営業でもない「自由業」である。ゆえに、精神年齢だけが全く成長しない。その代わりに老眼の進行著しく、疲れが抜けにくく、代謝も落ちている。老化の流れは加速中だ。

 まさか自分が50歳を迎えるとは。半世紀である。マラソンに例えるなら38qあたりか。私の不摂生なら最終競技場のトラックかもしれない。

 誕生日など全く意識せず生活しているので、自分が50歳になったことを朝、知った。フェイスブックに寄せられたお祝いメッセージを見て。ただし、メッセージを送って下さった方の9割は私より恐らく年長者。皆さん、お元気である。

 誕生日の3日前は春日部市内の武里駅東口の居酒屋で懇親会。2日前は午前中が佐野市、午後から小山市でミッション。夜は小山駅西口の私が生まれる前から愛され続けている老舗居酒屋で小山の盟友とサシ呑み。バースディイブ(前日)は宇都宮で懇親会だった。

 50歳という日の朝を小山の定宿で迎えた。午前中は上三川町でミッション、午後から栃木市でミッション。2030代は毎晩呑み会で、夜中23時まで数軒ハシゴでも平気だった。今は(50)3日もソトノミが続くと体力が続かない。ホテルで部屋呑みすることに。

 酒は小山駅前の<ドンキ>で缶チューハイ、赤ワインと白ワイン、ウィスキーを入手。メインディッシュは栃木市役所1階の<東武百貨店>で仕入れた焼鳥、レバースタミナ焼、イモフライドッグ。笑みが漏れる。

 ユニットバスに湯を張り、一日の、そして五十年の凝りを解す。テレビをつけると、プロ野球交流戦が数試合放映されている。私が選んだのは、野球でなく女子バレー(日本vsカナダ)。男女問わずバレー中継などいつぶりか分からぬが、女子は美人ぞろいに驚いた。

 人生50年。20歳までは平々凡々だったが、以降は怒涛のアップダウンな30年。信長公は全国統一目前だったが、私はミッションに訪れたことがない都道府県が10県ほど残っている。

 50歳を栃木県で独りで迎えるとは、数年前まで全く想像しなかった。夢、幻のごとくなり。

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50歳の独り宴@小山駅前ビジネスホテル

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2025年01月21日

第3587夜:懇親会後〜とちぎセレクト編〜【宇都宮(栃木)】

 Y木ファンクラブ。鹿沼のⅯ越氏、小山のS氏、不肖アヅマの3名で20246月中旬に結成した秘密結社である。結成場所は宇都宮駅前の地下居酒屋。簗K氏とは、栃木県全域の商業を下支えするヒロインであり、女神である。

 Y木氏は私が本格的に栃木県と御縁を頂く2019年から2年間大変お世話になった。しかし、タイミングやコロナ禍もあり、酒席をご一緒する機会はなかった。遥か昔から簗K氏と懇意にされていたM越氏の呼びかけで、Y木氏の商業復帰祝いと相成った。

 呑み放題で乾杯。料理がどんどん出てくる。テーブルの上は百花繚乱。刺身も一品料理も凄い量。揚げたての天ぷらもどんどん運ばれてくる。

 しかし、我らは年齢層的になかなか料理が片付かない。呑み放題ゆえ、ハイボールと焼酎ソーダで元を取るべく鯨飲モード。しかし私は早く着きすぎて、真隣の店で独りで餃子12ヶと瓶ビールで独り0次会を決行していた。

 我らオヤジ3人に、女神からオミヤが下賜された。小さな紙袋が2ヶ。ずしりと重い。

 お酒のアテにどうぞと女神。S氏とは前夜も小山でサシ呑みしていたが、M越氏は恐らく半年振りか。女神とは初呑みで、リアルにお会いするのは恐らく5年ぶり。積もる話に華が咲き、頂いたオミヤはホテルに戻ってから封印を解いた。

QUON CHOCOLATEテリーヌ菓子10種詰合せ(栃木県のどこか?)

・国内産大玉葵らっきょう「誉」(栃木県日光市)

・蔵出しワインらっきょう(栃木県日光市)

・元祖しそ南ばん(栃木県大田原市)

・タルタルディップ(栃木県日光市)

・しその実しょうゆ漬(栃木県日光市)

・栃木県オリジナルスケッチブック

 栃木愛が詰まったオリジナルセレクトである。

 らっきょうは大好物で、家の冷蔵庫に常備。シソも大好き。一番好きなチューハイは「しそチューハイ」である。マヨラーなので当然のごとくタルタルも偏愛。甘いスィーツでウィスキーや焼酎などの蒸留酒でヤル時も笑みが止まらない。

 スケッチブックは…。絵心皆無だが、さらさらとスケッチが上手なオヤジになりたいものである。しかし、どうすれば絵が巧くなるのか分からない。

 本格かつ濃密に御縁を頂いた「とちぎまるごと創業プロデュース事業」も最終年度の6年目。ミッションとしての御縁が無くなる次年度以降も、ファンクラブの会合を開きたいものである。今度は私が神戸か北九州のセレクトを詰め合わせねば。

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宴のはじまり。

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チャーターメンバー。

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ずしりと重い。

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とちぎ愛がたっぷり。

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2025年01月20日

第3586夜:懇親会前〜12種餃子編〜【宇都宮(栃木)】

 <K兵衛>。宇都宮駅西口ロータリー沿い地下にある居酒屋である。この前は何度も通っているがその存在を存じ上げなかった。

 6月中旬の日が沈みきる前の平日の黄昏時。この居酒屋で懇親会が開催された。私は栃木県小山市の定宿に4連泊中で、この日も朝4時半に起きて狂ったようにPC猿打。

 ようやく目途がつき、早めに小山を出て宇都宮へ向かう。そうしなければ、ベッドにダイブして爆睡してしまいそうだったから。結果として、懇親会開始の40分前に宇都宮に着いてしまった。もうPCは触りたくない。呑む前にファストフード店やカフェに行きたいと思わない。

 西口の喫煙所で煙草を吸いながら戦略を練るが、正解を導き出せない。本屋という作戦もあるが、変なモードに入って大量購入してしまい荷物が重くなりそうだ。

 とりあえず店の前まで行ってみる。呑み放題で手配して下さっているようだが、早めに入って会計を別にして先にビールをヤルか…。

 懇親会の店の真横が餃子屋。鹿沼がシウマイなら、宇都宮はギョーザ。この店は何店舗もあり、宇都宮駅構内の支店に何度か足を運んだことはある。

 ふとひらめいた。瓶ビールと餃子1人前によるウォームアップ。独り0次会である。時間は30分ちょっと。ベストの選択でないか。もうそれ以上に魅力的なプランは思いつかない。

 飛び込んだ。時間は17時半を回ったあたりだが、かなり混んでいる。2人掛けテーブルに案内される。スマホで注文する今風のスタイルである。

 栃木県ではアルコールの高価格に肝を冷やす。この店も瓶ビールの「中」で670円。税込税抜の区別も分からない。ハッピーアワーなど皆無。大阪の立ち飲み屋や北九州小倉の名店なら「大」を380450円で楽しめる。ちなみに生中で650円、グラスビールが580円だった。

 ギョーカラセット1300(生中・餃子6ヶ・手羽唐3)に惹かれるが、ジョッキでなく瓶を選択。餃子は…「餃子いろいろ12種食べくらべ」を見つけた。960円。独りですべて味わえる。一気にテンションが上がってきた。

 瓶ビールを流し込む。せめてキンキン冷え冷えであってほしかった。1杯目のビールが旨ければ、この日が良い一日、頑張った日である証拠。冷えていないことが要因では死にきれぬ。

 新聞を読んでいると、12種降臨。健太・スタミナ健太・生姜・お肉・ニラ・シソ・激辛・ほたて・ニンンク・チーズ・ゆば・エビ。見た目はどれも一緒。全く分からない。

 11ヶじっくり食べ比べる。私のバカ舌でも理解できたのは「ニラ」「シソ」「激辛」「ほたて」「チーズ」「生姜」「エビ」の7種。他は全く区別つかなかった。

 3012種餃子瓶ビール1本勝負を終え、会計を済ませて店を出ると、店の真ん前に懇親会メンバー2人が地下の居酒屋へ向かう階段の前でスタンバっていた。

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宇都宮駅前。

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12種を食べ比べ。

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見た目ではさっぱり分からぬ。

posted by machi at 07:41| Comment(0) | 栃木県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月19日

第3585夜:なぜ海無し県は魚が旨いのか【小山(栃木)】

 海無し県。日本にいくつあるのか知らぬが(調べたらすぐにわかるが)、私が頻繁に訪れるのは栃木県と埼玉県。2016年までは海無し県にほとんど縁無かった。2017年から濃密に足を運ぶようになり、必然的に飲み食いの機会が爆増する。

 埼玉県ではホッピーと焼きとん、もつ煮込が我が三品同盟ゆえあまり魚介の入り込む余地が無かった。栃木県はそこまでこの三品同盟文化は色濃くなく、逆にバリエーションも増える。

 足を運ぶ日本中のミッション先で、その地の名物、名産に舌を躍らせる。海あり県の中でも、漁港で有名な地などでは魚介に全集中。地酒を合わせる至福は天の祝祭である。

 2018年頃から徐々に海無し県・栃木に足を運ぶようになり、2019年から現在(20246)まで数え切れぬほど呑んできた。鹿沼、宇都宮、日光、佐野、栃木…。最も酒を呑んだ地はおそらく小山市だろう。小山呑みでも8割は西口駅すぐの創業五十余年<東>だろう。

 私と同じ苗字なこのお店。大将も女将も苗字は全く違うのだが、私は愛してやまない。一度だけ独りで呑んだことあるが、それ以外は盟友・S氏と御一緒にだ。

 6月中旬の午後。西口の自治会館で小山市内の不動産会社の3名の社長から栃木市と下野市のご担当者が様々なコトをお聞きする機会を設定。その不動産会社への声がけと会場手配をS氏に依頼。氏は私の意図以上の素晴らしい場をセッティングして頂いた。

 私のダラダラした進行で予定より30分延長して終了。まだ日は明るい。自治会館から歩いて1分以内に<東>が屹立。西日が強くなってきた。まだ営業開始時間前だが、中途半端な時間帯。飛び込んでみると、快く席に座らせて頂いた。

 チンチンに冷えた瓶ビールを一気に流し込む。すかさず2杯目。この日のお通しはホタルイカの煮付。無限に酒が進む。

 この店はとんでもないぐらい魚が旨い。この日は鯨と鰹の刺身、鯖かっぱ(海苔巻)、そして北海道産のあん肝。普段はビールの後はハイボールを鯨飲するのだが、福島県の冷酒をシュッツと決める。旨さが膨らむ。心も膨らむ。

 鯵はフライで。フワフワとサクサク。分厚い。付け合わせのポテサラも最高。ゆでただけのトウモロコシに初夏を感じる。胡瓜、白菜、蕪の漬物は日本屈指の極上の旨さである。

 栃木県で呑む際、よく同行氏になぜ海無し県なのに魚が旨いのか尋ねることがある。当然、港はない。ゆえに鮮度の面では劣るはずである。それなのに、下手な港町より数百倍旨い。鮮度も良い。同行氏たちも首肯する。彼ら彼女たちが口をそろえる理由がある。

 「海が無いから、魚へのあこがれが強い」。

 いい魚を食べたい。食べさせたい。この一年が漁港からの距離を滅失させ、塩漬せずとも獲れたての鮮度を維持させる。人類の進歩と進化の一例である。

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開店直後。

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チンチンに冷えたビールと蛍烏賊。

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至福のあん肝。

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早めに日本酒にチェンジ。

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最高の初鰹。

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酢飯のない鯖と胡瓜巻。

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付け合わせのポテサラも最高。

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夏の季語。

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秘伝のレシピ。

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この御仁がいなければ、私の栃木県ミッションは1oも進まず。
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2025年01月18日

第3584夜:100本の薔薇【佐野(栃木)】

 100万本のバラ。ベテラン女性シンガーソングライターのヒット曲である。私ですらサビは口ずさめる。ちなみにこのシンガーソングライターが80年代に超人気アイドルへ提供した『難破船』は名曲中の名曲。たまにカラオケで唄うこともある。

 私はバラを買ったことも、もらったこともない。もちろん、贈ったこともない。そもそも花束を自分で見繕った記憶がない。

 私が花を買うシチュエーションはただ一択。知人友人が新規オープンした際にお店に送る胡蝶蘭のみ。花屋で注文し、配送場所を告げて金を支払うだけ。私自身、自分が送った胡蝶蘭を見たことがない。

 ある平日の朝8時台。佐野市役所に立ち寄り、花のように華がある役所のY口女史と歩いて<ハナノミセwood spoon>へ。2023年度からスタートした佐野市内創業者インタビュー特集の第4弾であり、2024年度一発目の取材である。

 店舗2階の事務所スペースで17年前に創業した男性オーナーのK林氏からたっぷり1時間以上、ご多忙の中、お時間を割いて頂き様々なお話をお伺い。詳細は佐野市役所ホームページで閲覧できるので割愛するが、2つの事柄が非常に心に残った。

 花屋の特徴として、経営者は男性だが店頭には女性販売員という組み合わせが多いという。なるほどと首肯。言われてみれば、花屋の前を通りかかるとたいていは女性が店頭に。

 ここに商いのキモがあった。30代から50代ぐらいまでの男性は、奥様に誕生日祝い等で花を贈る際、女性店員には恥ずかしいのか注文をためらうという。男性が店頭に立つと、花を買うという習慣から縁遠い中年男性客を掘り起こすことができるらしい。まさに私はその世代。

 シゴト上、脱毛サロンを創業した女性経営者をヒアリングした経験がある。このバカブログでも書いた記憶あるが、私は毛深いのに脱毛など1gも関心なかった。

 脱毛など気にも留めていなかったが「介護脱毛」というジャンルを初めて耳にし、それが可能なタイムリミットの年齢に差し掛かっていることを知った。

 脱毛箇所は「Yライン」「Oライン」。さすがに恥ずかしいので、もし介護脱毛するなら女性でなく男性に施術して頂きたいと感じた。それに近い感覚か。

 冒頭の書いたように、私は胡蝶蘭しか買ったことがない。そのことを話すと、2つ目の衝撃を喰らった。胡蝶蘭、事務所系店舗には喜ばれるらしいが、飲食店や美容室など、店内を人が動き回る業種業態の店舗では、いわゆる人間の「導線」が阻害されるという。

 今までの常識が音を立てて崩れていく。衝撃に目を剥いた私に、胡蝶蘭でなく花束を贈ってはどうかとK林氏。バラの花束を100本贈る方がインパクトもある。ただしすべて赤だと引かれるので、色をはずすという。「色をはずす」という表現にプロっぽさがにじみ出ている。

 花束をもらうと、女性は特に喜ぶ。喜ばない女性はあまりいない。このような話にY口オーナーと意気投合している隣のY口女史に、身長169p、体重0.11トン、顔も体型も体毛も縄文系な50歳の私からでもバラの花束を100本もらうと嬉しいか聞いてみた。

 女史は苦笑して私の視線を外し、何も答えなかった。

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wood spoon
posted by machi at 10:59| Comment(0) | 栃木県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする