和風天中華。マルバヤシ様という広島食品メーカーが製造しているレンジ麺である。500ワットで5分ほど温めると「和風天中華」が完成する。
この商品を小倉駅前セントシティ地下のスーパーで発見した。税込198円(2024年2月当時)。このメーカーの姉妹シリーズにかき揚げうどんがあり、プラス100円ほどで尾道ラーメンや長崎ちゃんぽんも並べられている。
神戸までの帰路。重いモノは可能な限り持ちたくないが「和風天中華」を複数カゴに入れた。すべて買い占めたいのだが、消費期限はそれほど長くない。3ヶが限界ラインだ。
和風天中華とは何か。天麩羅(かき揚げ)そばなのだが、そばが和蕎麦でなく中華麺。ただそれだけなのだが、和風出汁、中華麺、天麩羅のトリオが織りなす魔法陣は銀河系屈指の魅力と魔力を掻き立てる。
代表格はまねき食品様の「姫路えきそば」。姫路駅ホームに立てば、啜らずにいられない。戦後の物資難が生んだ奇跡の逸品である。まねきは駅弁のレベルも半端なく高く、シウマイの崎陽軒とも以前コラボを展開していたらしい。未食ゆえ、悔しくてたまらない。
姫路は生姜醤油で頂く「姫路おでん」がB級グルメとして名をはせているが、まねき食品の「えきそば」は他の追従を許さぬソウルフードだろう。私も西から神戸へ戻る途中、用もないのに、改札から出ることもないのに途中下車してしまいそうになる。
十数年前は駅ホーム以外でも啜ることができた。大阪の百貨店地下やJR元町駅構内にもあった。姫路駅前の商店街や、ホームでない改札内の飲食店でも。しかし、ホームで啜る旨さには同じ味なのに叶わない。特に寒い日の吹きっさらしは最高だった(今はボックス)。
姫路えきそばカップ麺も発売されている。見かけると買いだめしてしまう。「きつね」もあるが「天ぷら」が圧倒的なオススメ。
日清のどん兵衛に類似品があった。ただし、真逆。ラーメンスープにどん兵衛のそば麺と天麩羅を載せている。ちなみに和風天中華より100円ほど高かった。
そんなえきそばフェチの私の度肝を抜いたのが冒頭の「和風天中華」。生麺である。レンジで温めるだけ。粉袋を千切ることもない。湯も沸かさない。ただレンジにぶち込むだけ。可能であれば刻み葱は散らしたい。
天麩羅のジャンクな油が出汁に沁みだし、中華麺が油でコーティングされる。ずずずと啜る。セイウチのような私だが、白鷺に生まれ変わりそうな気分を味わえる。自宅でも再現できるだろうが、恐らく遠く及ばない味。
この和風天中華、小倉駅前(駅中でありません)の地下スーパーでしか見かけない。日本中すべてのスーパーやコンビニで発売して頂けないか。可能であれば10年後も税込300円未満で。
広島の「マルバヤシ」様シリーズ、ワタシの激推し。
カット葱は別途トッピング。無類の旨さ。