2024年11月30日

第3548夜:和風天中華【Aho-Boiled】

 和風天中華。マルバヤシ様という広島食品メーカーが製造しているレンジ麺である。500ワットで5分ほど温めると「和風天中華」が完成する。

 この商品を小倉駅前セントシティ地下のスーパーで発見した。税込198(20242月当時)。このメーカーの姉妹シリーズにかき揚げうどんがあり、プラス100円ほどで尾道ラーメンや長崎ちゃんぽんも並べられている。

 神戸までの帰路。重いモノは可能な限り持ちたくないが「和風天中華」を複数カゴに入れた。すべて買い占めたいのだが、消費期限はそれほど長くない。3ヶが限界ラインだ。

 和風天中華とは何か。天麩羅(かき揚げ)そばなのだが、そばが和蕎麦でなく中華麺。ただそれだけなのだが、和風出汁、中華麺、天麩羅のトリオが織りなす魔法陣は銀河系屈指の魅力と魔力を掻き立てる。

 代表格はまねき食品様の「姫路えきそば」。姫路駅ホームに立てば、啜らずにいられない。戦後の物資難が生んだ奇跡の逸品である。まねきは駅弁のレベルも半端なく高く、シウマイの崎陽軒とも以前コラボを展開していたらしい。未食ゆえ、悔しくてたまらない。

 姫路は生姜醤油で頂く「姫路おでん」がB級グルメとして名をはせているが、まねき食品の「えきそば」は他の追従を許さぬソウルフードだろう。私も西から神戸へ戻る途中、用もないのに、改札から出ることもないのに途中下車してしまいそうになる。

 十数年前は駅ホーム以外でも啜ることができた。大阪の百貨店地下やJR元町駅構内にもあった。姫路駅前の商店街や、ホームでない改札内の飲食店でも。しかし、ホームで啜る旨さには同じ味なのに叶わない。特に寒い日の吹きっさらしは最高だった(今はボックス)

 姫路えきそばカップ麺も発売されている。見かけると買いだめしてしまう。「きつね」もあるが「天ぷら」が圧倒的なオススメ。

 日清のどん兵衛に類似品があった。ただし、真逆。ラーメンスープにどん兵衛のそば麺と天麩羅を載せている。ちなみに和風天中華より100円ほど高かった。

 そんなえきそばフェチの私の度肝を抜いたのが冒頭の「和風天中華」。生麺である。レンジで温めるだけ。粉袋を千切ることもない。湯も沸かさない。ただレンジにぶち込むだけ。可能であれば刻み葱は散らしたい。

 天麩羅のジャンクな油が出汁に沁みだし、中華麺が油でコーティングされる。ずずずと啜る。セイウチのような私だが、白鷺に生まれ変わりそうな気分を味わえる。自宅でも再現できるだろうが、恐らく遠く及ばない味。

 この和風天中華、小倉駅前(駅中でありません)の地下スーパーでしか見かけない。日本中すべてのスーパーやコンビニで発売して頂けないか。可能であれば10年後も税込300円未満で。

241130マルバヤシ@.jpg

広島の「マルバヤシ」様シリーズ、ワタシの激推し。

241130マルバヤシA.jpg

カット葱は別途トッピング。無類の旨さ。

posted by machi at 07:11| Comment(0) | あ〜ほボイルド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月29日

第3547夜:首都圏の麺流【小倉(北九州)】(後編)

 待つ間、食べ方や特徴のPOPに目を通す。カロリーは汁ラーメンの3分に2らしい。それにはおどろきだが、Wの私はカロリーはどれぐらいか。卓上のラー油と酢をたっぷりかけて熱々で混ぜて喰うのが作法という。

 卓上調味料は酢、ラー油、胡椒、豆板醤(たぶん)、そして刻み玉葱。玉葱入れ放題が実に心強い。ウォーターポットは氷の他に木炭が。レモン輪切など、水に拘った店はハズレがない。期待がグッと高まる。

 ブツ降臨。なかなかの迫力である。眩しい原色の世界が展開されている。中央に鎮座する半熟卵をつぶすタイミングがこの勝負の分かれ目だ。

 酢のものが好物だがラーメンに酢はあまり合わぬと日頃感じている。郷に入らば何とやら。酢は少なめに、ラー油は多めに掛け回す。軽く混ぜて啜る…。

 旨い。まろやかで刺激的。ラー油の辛みと酢の酸味が激しく絡み合う。3分の1を啜り終え、半熟をつぶす。さらにグッチャグチャに混ぜ合わせる。

 底にタレのようなものが溜まっていたのか、ビジュアルも激しく濃くなった。そして、旨さが増した。紙エプロンが無ければ大惨事。しかしこの日、私は紺の作業着ゆえ何も恐れない。

 麺1本残らず焼失。東京の麺波に抗えぬ。願わくば、追加料金を払ってでてお椀に少しでもスープが添えられていたならば。

 その夜。氷雨降る中、6人で古船場方面へ。目当ての居酒屋が満席で入れなかったので他の店へ。客は誰もいない。奥座敷は暖房を切っていたようで寒い。

 生で乾杯。氷雨の夜だが、生で始める習慣は永遠に終わらない。ただし2杯目からは焼酎に。黒霧島シリーズを世に送り出している酒造メーカーの麦焼酎「ほろる」。芋のようであり、麦でもある。独特の風味の麦焼酎。フルーティーで杯が進む。こんな麦があったのか。

 この店は久しぶりである。山芋鉄板の持ち手カバーが最高に味わい深い。初めて来た際、この店で落研出身のキクちゃんに落語を一席強要した。驚くほどプロの話芸だった。

 そんなキクちゃん、私が4時間前に啜った油そば店をオープン間もない時期に1時間40分も並んで啜っていたらしい。午後から半休を取ったのか。彼はランチパスポートをこよなく愛する男。私と昼飯の店の趣向が極めて似通っている。

 ちょこちょこと料理を注文する中で、気になるメニューがあった。「カレー唐揚」。

 カレー味なのか、カレールーを唐揚に垂らしているのか。あるようでないメニューである。頼まずにいられない。他の料理は早めに出てくるが、カレー唐揚は時間が掛かっているのかなかなか出てこない。まさか、カレーを作るところから?

 2本目の焼酎ボトルが残り半分になった頃、カレー唐揚降臨。…。思わず目を剥いた。えぇッ!?という驚嘆が口から洩れた。

 全く予想していなかった。カレー唐揚、カレーでも鶏でもなかった。「カレイ(鰈)」。魚だった。首都圏や関西ではおそらく「カレイ」だが、北九州では「カレー」と発音するのだろうか。

241129小倉@.jpg

やっぱり汁が欲しいです。

241129小倉A.jpg

激シブの名店です。

241129小倉B.jpg

フルーティです。

241129小倉C.jpg

北九州定番の山芋鉄板。この店は超個性的であります。

241129小倉D.jpg

一番上を注文しました。

241129小倉E.jpg

度肝抜かれました。

posted by machi at 10:16| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月28日

第3546夜:首都圏の麺流【小倉(北九州)】(前編)

 油そば。首都圏でよく目にするラーメンの新形態である。大きな違いはスープがないこと。私は「まぜそば」と「油そば」の違いが分からない。

 首都圏といっても私のミッション先はコロナ以降はほぼ春日部一択。大宮は乗換等で頻繁に下車散策するが、都内はめったに改札から出ない。たまに出るとラーメンの世界は百花繚乱。

 私は「スープ(汁)」を好むので、まぜそばまたは油そばを啜る機会は1年に1度もない。ラーメンとの割合は50:1ぐらいか。

 2024年2月中旬。小倉駅前のアーケードへ。<シロヤ>はいつもながらの大行列。その前の店が工事中だった。短いアーケードだがド一等地ゆえ、店舗が頻繁に入れ替わる。

 その日、最初は工事風景を見ても何とも思わなかったのだが、店舗正面に赤い電飾看板が取り付けられている最中だった。「油そば」とあった。そういえば、北九州で油そばを観たことがないかもしれない。

 小倉でも二郎インスパイア系は見かけるようになった。3店舗ほどで実食済である。横浜家系は<山岡家>が若松に進出した数年前に衝撃を受けた。ただし山岡家は「ラーメン」としか表記がなく、「横浜」の2文字はどこにもない。ちなみに30年前、山岡家は札幌ラーメンだと思い込んでいた。

 当初は若松だけだったが、西港にも山岡家の2店舗目がオープンしていた。確実に家系の醤油豚骨が白濁ド豚骨の九州にも浸透しつつある。

 2023年冬頃、魚町サンロードに「横浜家系」をはっきり名乗るラーメン店がオープンした。横浜家系、東京油そば。首都圏の麺波は確実に九州まで押し寄せている。

 油そば店が工事していた一週間後、その店の前に行列ができていた。もうオープンしていた。あっという間である。その2週間後の16時。小倉駅に到着した私は空腹を極めていた。新幹線車中、ずっと腹がキュルキュル鳴っていた。

ミッションは90分後。馬借の定宿にチェックインしたとしてもたっぷり余裕がある。外は氷雨。アーケード街からはみ出したくない。

 16時ゆえか、油そばの店の前に行列がなかった。店内は1席だけ空いていた。カウンターだけの小さな店のようだ。<東京油組総本店小倉組>の引き戸を開けた。

 券売機と対峙。油そばが並(160g)、大(240g)、W(320g)の3種で、どれも880円均一。迷わず「W」。トッピングも試みるが、まぜそばのトッピングなど分からない。

 「おすすめ」とあったスペシャルトッピングB(チャーシュー2枚・ねぎゴマ・半熟たまご)340円をプッシュ。すりおろしにんにくは無料らしく、迷わずお願いする。〔次夜後編〕

241128小倉@.jpg

魚町サンロードに横浜進出。

241128小倉A.jpg

小倉駅前に東京進出。

posted by machi at 07:11| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月27日

第3545夜:世界のヒナ【小倉(北九州)】

 ヒナ。ひな人形やヒナ鶏など連想するワードはいくつかあれど、令和時代にとっての「ヒナ」とは卓球女子日本代表のエース・H田ひな選手一択である。

 早T選手は北九州市ご出身。親善大使か何かも務められている。そして、生まれ育った北九州の台所・旦過市場のために旦過市場2度目の火災の後、優勝賞金100万円をご寄付下さった。栃木県小山市の居酒屋でたまたまネットニュースで知った。涙が止まらなくなった。

 北九州市内の書店で局地的ベストセラーな『地球の歩き方 北九州市』にH田選手が戸畑区出身者として登場。<資さんうどん>がお気に入りという。さすがである。

 女子卓球の日本代表クラスの選手、私にはどの方も小学生ぐらいにしか見えないのだが、早田選手は別格。旦過市場はH田選手へのお礼の気持ちを込め、早T選手の写真入り応援バナーを釣り下げていた。

 木曜1815分。九州の台所・旦過市場の会議開始時間である。定例会議であったり経営戦略会議であったり名称は異なれど、この曜日とこの時間は固定。

 2014年から旦過市場と御縁を頂き丸10年を迎えつつあった2月中旬から3月下旬にかけて、6週連続でこの曜日と時間の会合に参戦した。基本は第3木曜が私の出番なのだが、諸事情で6週連続に。

 6週連続の1回目終了後、普段は56人だがこの夜は十数人でい居酒屋へ。麦焼酎を鯨飲しながら焼鳥、ポテトフライ、春巻、炙りチャーシュー、唐揚…。茶色の海が卓上に広がる。2軒目は久々に<ムーラン>。気づけば夜中1時。

 翌朝、旦過市場へ。早T選手の五輪用バナーに取り換えられていた。

 「未来へ羽ばたけ!世界のひな! 旦過市場は早田ひなさんを応援しています!」

 H田選手クラスの大スターは安易に画像を使用できない。しかし所属先の企業もご理解がある。そして20242月下旬時点で、このバナーがパリ五輪の会場の客席に掲げられる可能性が残されている。旦過市場もついでに世界へPR

 H田選手出場試合はパブリックビューイングせねばならない。もしくは誰かと呑みながら盛り上がりたい。そして、ぜひ凱旋パレードをお願いしたい。

241127旦過@.jpg

241127旦過A.jpg

(付記)

私は参戦叶わなかったが、隣接する映画館でPVが決行されたようである。パリ五輪でのH田選手の大活躍は周知の通り。これからもH田選手を応援し続けます!

posted by machi at 09:18| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月25日

第3544夜:新幹線バールの流儀【春日部(埼玉)】

 バール(バル)。イタリアやスペインで「酒場」を表す言葉らしい。どちらの国も未踏である。

 ある氷雨降る正午過ぎ。春日部駅西口ララガーデン内のスーパー(Yオコー)で今夜の新幹線晩酌の酒と肴を購入し、新しく完成して間もない春日部市役所新庁舎へ。クールでモダンである。

 市役所の若手お二人と合流し武里エリアへ。2年間予定されている武里スクラム商店街プロジェクトの初年度も年度終わりが近づき佳境。皆さまのご尽力で私の想定以上に進捗した。

 ミッション終了後、春日部駅まで送って頂き、東武野田線で大宮。上野東京ラインで東京駅。時間は17時過ぎ。駅ホームの売店で冷えた缶チューハイのロング缶を買って新幹線に乗り込む。

 スーパーで売られている500円前後のボトルワインに20241月から開眼してしまった。私はバカ舌ゆえワインの良しあしなど全く分からない。

 目の前にあれば呑むが自分から積極的に買おうと思ったこともない。興味がなかったので、スーパーなどのワイン売り場など軽くスルー。これまで売場が視界にも入ってこなかった。

 50歳の槌音が半年後に迫りくる中(当時)、健康に少しだけが気遣うようになった。何故なら、春日部や栃木県もミッションが後1年残されているから。ウィスキーやバーボンのストレート頻度を減らし、ワインに切り替えてみた。特に赤ワインは健康に良いと聞く。

 自宅だけでなく呑み会のない出張先の夜など、スーパーで総菜を買うついでにワインを1本セレクト。安いものなら400円以下も。ワイン売場、ウィスキーや日本酒などより遥かに充実している。選ぶ楽しみがある。

 スペイン、イタリア、チリ…。私のワイン選びの基準は、その店で最も安いワインを選ぶこと。ただし、捻れば開封する簡易式でなくコルク抜きタイプが安ワインでもたまにあるから注意が必要。なるべく違う銘柄を選びたいので、最安値から徐々にグレードが上がってしまう。

 東京から自宅のある新神戸まで3時間弱。この日のワインセレクトは赤の437(税込)。今朝チェックアウトしたホテルの紙コップはリュックの中。1750ml2時間程度の適量だ。

 赤ワインに合うツマミとして籠に放り込んだのは以下の4品。骨なしスペアリブ山賊焼(税込328)、厚切りベーコンと黒胡椒のポテトサラダ(税込213円)、6種チーズパン(税込321)、かぼちゃタルト(税込170)。私の座席がスペインバールになった。

 まずは駅ホームで買った缶チューハイロング缶で喉を開く。新横浜を超えたあたりで赤ワインをキャップをひねり、紙コップにドボボボボ。ツマミはどれも旨い。漫画を読みながら至福に浸る。紙コップのワインが無くなれば、ボトルのキャップを開けてドボドボと注ぐ。

 隣の席のサラリーマン。酒も呑まずお茶と駅弁でさっさと晩飯を済ませていた。彼のドン引きの気配が肩越しに伝わってきた。

IMG_7641.jpg

宴の始まり。

IMG_7638.jpg

1本勝負。

IMG_7644.jpg

自宅状態。

IMG_7647.jpg

最強の酒のアテパン。

IMG_7648.jpg

フィニッシュ。

posted by machi at 07:55| Comment(0) | 埼玉県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする