北海道物産展。北九州の流行最先端(たぶん)<井筒屋>本館で10月下旬から11月上旬にかけて展開されていた催事である。
私は物産展に惹かれない。駅弁マニアだが、百貨店の駅弁フェアにも足が向かない。取り寄せなどでなく、現地で購入し、現地で味わいたいからである。ただし、私の全国の知人が例えば神戸市内の百貨店に催事出店していれば顔を出すこともある。
物産展の中でも「北海道」の売上と集客は群を抜いているという。そんな北海道物産展でも私が足を運ぶことはない。20代前半に4年間北海道(札幌)に住んでいた。2023年現在でも月1回ペースで北海道入りしている。私に北海道はレア感もない。
この昼、鰻が食べたかった。その3日ほど前、北九州市内で開催された竜王戦にてF井八冠の「対戦者」の勝負メシが鰻だったそうな。ちなみに八冠は北九州庶民のソウルフード<資さん>の肉ごぼう天うどんだったそうな。分かってらっしゃる。
あと半年で50歳に大台に乗る秋頃から、I波正太郎先生の『仕掛人藤枝梅安』にドハマり。ただし、先生の原作は未読でコンビニコミック(Sいとう・たかを先生)中心。
池波作品ならではの料理シーンが秀逸。特に日本酒をキュっとヤる場面がタマラナイ。日本酒、それも熱燗に合う料理を土曜の昼間から…。鰻が最もふさわしい。
私の昼はラーメン、カツカレー、カツ丼が御三家。夜晩酌ではポテトフライ、餃子、鰹たたき、貝類全般を愛している。唐揚や焼鳥、串カツなども。
ある秋の金曜の夜。花金という言葉の復活を思い出させる賑やかさの小倉駅前。北Q州商工会議所の漢たちと餃子居酒屋<ダンダダン>へ。首都圏スタイルの攻めたホッピーが北九州どころか西日本で呑める貴重な店である。
やかんホッピーを鯨飲しつつ肉汁たっぷり餃子や麻婆豆腐、油淋鶏、餃子の皮煎餅などを満喫。気づけば23時半。1週間後の再会を確認してお開きに。
翌朝。鰻で昼呑みしたく、朝6時から珈琲飲みながらPC猿打。私みたいなヨゴレのクズでも、ヤる時はヤる。I筒屋本館7階レストランフロア<川淀>は11時オープン。同じフロアで前述の北海道物産展が開催されていた。
20分早く着いたのでブラブラ見学…。どころじゃない。凄まじい人。歩けないほどである。観光客は皆無だろうから、オールキタキュウ人がその周辺市の住民だけのはず。各ブース、掛け値なく大行列。
恐れ入った。北海道物産展を侮っていた。これほどの集客効果があるのか。コンパクトなスペースにすべてが詰まっている。道内の空港やどの土産物売り場よりも充実している。
知っている店はないか…。発見。富良野の<SHINYA>。私の北海道ミッション先は富良野市の新相生商店街。その新相生商店街に<SHINYA>さんは屹立。この店の店長(たぶん)と夜中まで呑んだこともある。雪解けチーズケーキが無双人気だ。
私の知人はいなかったが、遠く離れた北九州で知り合いの店を発見するのは味わい深い。ちなみにその5日後、私は富良野入りする。<SHINYA>本店の真ん前のドミトリーに宿泊する。私は前述の信念通り、現地で購入することに。
<川淀>オープンと同時に満席。キンキンに冷えた瓶ビールから始め、鰻肝焼、香物でじっくり待つ。熱燗に切り替えた頃、白焼が。わさび醤油と生姜ポン酢。どちらも旨いが、わさび醤油に軍配が上がる。白焼はパリっとした方が好みゆえ、西日本だ。
真打の蒲焼降臨。香り高い山椒をパラリ…。無限に酒が呑める。熱燗を2本お代わり。キューっとヤる醍醐味は江戸も令和も変わらない。
<川淀>はコロナ禍に一度訪れた。かなり厳しい時期だったので、アルコールが呑めなかった。お茶で味わった。ようやく酒でヤる念願が叶った。
ほろ酔いで小倉駅へ向かう。魚町銀天街には歌舞伎役者の名前が染め抜かれたノボリ旗がはためいている。「平成中村座」が1か月ほど小屋を建てて興行する小倉の晩秋の風物詩。翌日は商店街を役者たちが「お練り」するそうな。
私にとって10月28日の小倉は江戸のような風情に感じた。ほろ酔いも後押しして。
百貨店の鉄板催事。
このお店にはお世話になっております。
催事会場と同じフロア。
ビールから。この後は熱燗へ。
香物。
鰻肝。
白焼。
蒲焼。
ノボリが壮観な魚町銀天街。