2024年06月08日

第3433夜:悪魔と天使【黒崎・小倉(北九州)】(後編)

 この日の宿は小倉。24時前に中座し駅ホームへ。2分後に来る小倉方面の電車、普通と思いきや、特急だった。小倉までプラス500円払わねばならない。普通と特急でそれほど時間も変わらぬが、この特急を逃すと20分待たねばならぬ。

 ホームの特急券売機に500円投下。ウィ〜ンという音がして、止まった。券が出てこない。

 500円玉は戻ってきた形跡がない。返金レバーを引くと、ウィ〜ンという音がするが、硬貨を吐き出さない。便座に座ってウンウン唸るも、身が出ずに屁しか出ない情けない状況に。500円は大金である。黒崎駅のかしわうどんならお釣りがくる。悪魔のごとき券売機である。

 特急が入線してきた。改札まで戻って駅員さんに窮状を訴える時間はない。券は持っていないが500円は払ったので乗り込んだ。車窓さんがチェックに来たら、真実を話して信じて頂けるかか。それともさらに500円支払うハメになるのか。

 ドキドキしながら自由席に座る。領収書など当然ない。少なくとも、私が500円投下した瞬間を駅の防犯カメラに写っていることを祈念して。

 結局車掌さんで出会うことなく24時過ぎ小倉着。急に腹が減ってきた。しかし、祝日の24時以降に街なかで開いているラーメン屋を私は知らない。

 駅前には牛丼チェーンが2店舗あるが、せっかくの北九州。毎週のように通っているとはいえ地のモノでシメたい。ラーメンを欲した。ラーメンでなくとも汁モノを腹に入れたかった。

 魚町2番街の<資さん>は年中無休の24時間営業。オアシスであり、希望であり、神である。最後に資さんしたのは8カ月前の枝光のイオンモールだったか。

 珍しく空いていた。呑み屋もやっていないから酔客も少ないのか。座って違和感に気づいた。注文がタッチパネルに。資さんにも非接触の波が押し寄せていた。

 明太とろたまうどんが「推し」に。しかし私の琴線に響かない。肉ごぼう天うどんが我が王道なれど、卓上には入れ放題の揚玉が。ゆえに「肉うどん」に生卵を追加するのが私の正解。

 タッチパネルで他メニューもチェック。牛丼ミニが500円。確か昔は280円でなかったか。丼ページは「カツとじ丼」が主役。ソース味のチキンカツ丼なるメニューも爆誕していた。

 50歳の大台まで後8カ月。めっきりとカツ丼への意欲が薄れてきた。しかし、カツ丼を喰えなくなったら仕事もオトコも引退すると決めている。引退にはまだ早い。

 カツとじ丼をタッチ。ミニうどん付で。時間は24時を大きく回っている。背徳の時間帯に

 程なくしてブツ降臨。思わず目を剥いた。あれ?カツ、こんなに大きかったか?

 私の記憶のビジュアルと違っている。カツ、1.5倍ぐらい大きくなっていないか。その分、玉子とじの部分が少なくなっている気も。

 一味を丼とうどんにパラリ。丼につぼ漬、うどんにとろろ昆布と揚玉投下。準備は整った。

 出汁から…。変わらぬ資さんの良心と慈愛。泣けるほど旨い。私がここのうどん出汁(1人前)を大量購入し、自宅で温めて吸物にすることもある。

 カツに齧りつく。柔らかい。甘めで濃い目のツユがエロティックに白飯と絡む。カツが大きすぎて白飯と同時ゴールできるか不安になる。啜る、飲む、齧るの無限ループ。気づけば汁1滴、米1粒残っていなかった。

 お会計へ。機械が鎮座している。支払いも自動精算なのか…。店員さんが駆け寄ってきた。

 「現金でいいですか?」首肯した。どうやら、機械に現金を投下するシステムらしい。

 1000円入れた。程なくして90円を吐き出した。天使である。どこかのホームの特急券販売機みたいだったら、と一抹の不安があった。資さんのレジ機械、体調は良好のようである。

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悪魔。

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深夜の審判。

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天使。

posted by machi at 09:17| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする