親方。相撲の世界ではおなじみの存在である。プロ野球の監督などと違い、それほど憧れるスポーツ系職業でもないが、そのネーミングといい圧倒的な存在感を醸し出している。
私が有する親方の仕事のイメージの中に、新弟子のスカウトがある。学生服(詰襟・ブレザー)をキツそうに着た学生横綱や将来有望な大器と親方が握手し、フラッシュライトを浴びているシーン。その握手に至るまで、さぞ大器にたっぷりメシを喰わせたことだろう。
10月下旬の秋晴れの午後、千葉県野田市の街なかで商店街貸店舗ツアーが決行された。1年半の準備の上での本場所である。会場は商工会議所。レイアウトは土俵の円でなくロの字。
相撲協会では理事長にあたる野田市商連O安会長の貫禄溢れるご挨拶の後、急遽カリキュラムを変更し、野田市商連の取組紹介。その大役を担ったのは、生霊に憑りつかれた肉便器ことK出氏。資料も作り込んでいた。実に有望な大器である。
その後は私の漫談、ツアー、商店街プロジェクトメンバーとツアー参加者の意見交換会。沖縄からの参加者があったことに度肝抜かれた。
無事終了。肉便器関が所属するギルド部屋へ出稽古に。たっぷり2時間弱PC猿打。この日は朝にカレーライス大盛を腹に入れていたが(定宿の朝食バイキング)、さすがに空腹を覚えた。ヨゴレなアヅマ親方はギルド部屋の部屋頭でもある肉便器関と彼の運転でメシを喰いに。
最初に寿司屋を2軒回ろうとしたどちらも満席か何かで入れず、焼肉屋にたどり着いた。関取は車なので烏龍茶(たしか)。私は瓶ビール。
山形牛上カルビ、和牛上ハラミ、レバー、上塩タンをガンガン頼む。私はセンマイ刺、レバー、ウィンナーなどをツマミながら瓶ビール2本、後はひたすらプレーンチューハイ。
眼前の肉便器関、たしかダイエットしていたはずである。ところが彼は4人前ほどあった肉サラダをペロリ、1合は軽くありそうなライス大盛をペロリ。網で焼かれた肉を凄まじい勢いで平らげていく。見ていて気持ちがいい。新弟子をスカウトする親方の気分だ。
女将さんらしき人に彼の大盛ライスをお代わり注文。女将、少し引いていた。
「よく食べるでしょ。私は親方で、彼をスカウトしてるんです」とすかさずフォロー。女将、何故か納得した表情で厨房へ。
彼とバカ話して大笑いしていたら、私の上半身からブチっと音がした。この日、上下作業着だった。上着のファスナーが何も触れていないのに弾け飛んだ。これまでズボンのボタンは弾け飛んだことはある。Yシャツの前ボタンも。しかし、ジャンパー系のファスナーは初めて。
私はタニマチのつもりだったが、完全に親方だった。それも、引退まもない、マゲも落としていない、まだ減量していないパッツパツの。
新弟子とダイブ。
すべて注文。
親方(アヅマ)のツマミ。
親方(アヅマ)のツマミ。
新弟子の夕飯。
新弟子の夕飯。
親方(アヅマ)のツマミ。
有望な新弟子。