竜王戦。将棋の八大タイトルの一角である。将棋は駒の動かし方だけはかろうじてしているが、二手先すら読めず、対戦相手をこれまで一度も「詰めた」ことがない私だが、将棋マンガや将棋小説(ミステリ)はたまに読む。
朝からWi−Fiビンビンな多治見駅前の定宿に籠りオンライン会議。岐阜に居ながら栃木(下野)とオンラインできる人類の進化っぷりに改めて驚愕と戦慄したら、腹が減ってきた。
時間は正午前。たじみDMOのO口社長&M井側用人が定宿まで迎えに来てくれ、昼飯へ。向かった先は<味の龍王>。サッポロラーメン店である。
私の多治見の昼飯は「鰻」と決めている。これまで10回は堪能しているはず。鰻でない場合は、入り時間が遅い時や昼のラストオーダーが終わってしまった時。
12泊13日目の最終12泊目の昼。私から<龍王>をリクエスト。両氏から昨晩、この店の「冷やし中華」の画像を見せられたから。画像、圧倒的な原色。芳醇な熱帯が写っていた。
店内はL字カウンターのみ。時間は11時半で満席。少しだけ待って店内へ。メニューはO口氏と同じ夏季限定の「ピリ辛冷やし中華」の大盛(2玉)。ちなみに特盛は3玉とある。
トッピング欄に「チャーシュー(国産・自家製)」が。冷やし中華にトッピングできるか店員さんに聞いてみたら笑顔で快諾。
4,5名で切盛されているが、すべて女性。年齢層も50歳は幅がありそうだ。最若手も最高齢(目視です)も見事な役割分担でキビキビ動かれている。外観と屋号で、ややこしそうな頑固おやじの店と思い込んでいた。このギャップがタマラナイ。
ブツが眼前に。圧倒的な熱帯である。芳醇な原色の花々の生命が躍動している。
チャーシューの分厚く熟れた花弁が満開。たっぷりのレタスの緑、大きくカットされたトマトの赤、錦糸卵とコーンの黄、刻み海苔の黒、そしてピリ辛味噌の朱。
麺が全く見えない。辛子だけでなくマヨネーズがたっぷりと淵にこんもり。さらに「良かったらどうぞ」と巨大マヨのチューブがカウンターに置かれた。
まずは茶褐色の花弁から…。湿り気を帯びた歓喜の吐息が口から洩れた。濃いのに上品。脂のノリも乱れ気味なのにどこか清楚。チャーシューメンが食べたくなった。
一通り野菜を味わう。サラダを食べている感覚。ようやく麺を見えてきたところで、辛みそやマヨも一気にぐちゃぐちゃ。啜り込む。…。エロさが増した。情熱と羞恥、官能と放天、背徳と甘美。ジャンクなのに芯が通っている。
2玉、凄まじい。啜っても減らない。途中、O口氏に勧められ酢で味変。舌がキュっと引き締まり、リフレッシュな味わいに。
気合で啜り切った。カウンター越しの厨房はすべて女性。コチラ(カウンター)側はすべて中年男性。
カウンターという盤を挟んだ、オンナとオトコの竜王戦ならぬ龍王戦。圧倒的な旨さと迫力の前に、私はなすすべもなく投了。
1年後か数年後か、もし再び挑戦権が与えられるなら、味噌ラーメン大盛にチャーシューとコーンをトッピングという戦法でいく。いや、大盛でなく、特盛か。
大人気店。
芳醇の熱帯。