ステイタス。私には縁のない世界の出来事だが、唯一「ステイタス」らしきものを十数年間教授してきた。JALカードのステイタスだった。
富良野から3年以上ぶりにバスで旭川空港へ。カードラウンジで珈琲飲んで、10時過ぎの羽田行きJALに乗る。ちなみに旭川空港や神戸空港のラウンジ利用に関し、ステイタスとは少し異なる。余分な年会費さえ払えば利用できる。
コロナ前あたりから北海道と沖縄以外は日本中どこでも陸路移動が増えた。飛行機にしても神戸空港発着ばかり利用するようになった。
神戸において圧倒的に幅を利かせているのがSKY。ANAも一応存在するが、JALは影形なし。神戸から新千歳、那覇、長崎などが発着し、凄まじく便利だったのでこの3路線をヘビーユーズしていた。そして、コロナ以降は年に1度程度しか飛行機を利用しなくなった。
結果として何が生じたか。私のJALカードのランクダウンである。一時期は最高位のダイヤモンド会員まで上り詰めた。ラウンジもサクラでなくダイアモンドと最上級。マイルは有効期限なし。我が保有マイル、最大で45万マイルほどあった。
昔、アメトーークでロケ芸人特集があった。D川氏だけは100万マイル以上保有し圧倒されたが、他の芸人さんは私よりも少なかった。ちなみに四十数万マイルとは、日本⇔ロンドンをビジネスで3往復、世界なら2周できるそうな。
JALの利用頻度が減少し続けて、ダイヤモンド会員からサファイア会員に格下げになっていた。サファイアになると、マイルの有効期限が発生する。コロナ以降、毎月のようにマイルの有効期限が迫る。飛行機など乗らないので、何らかの商品をマイルと交換していた。
コロナが5類なった2023年6月。旭川空港から羽田を経由して福岡空港へJALを乗り継いだ。その時、私の保有マイルは10万を割っていた。そして、ステイタスもサファイアからヒラに。
ヒラになれば、ダイヤモンドラウンジは当然としてサクララウンジも使えない。機内に荷物を預けても優先的に扱ってもらえない。専用検査場も通れず混みあう一般検査場に並ばねばならない。そして搭乗の際、優先登場できない。
旭川空港で優先登場開始のアナウンスが流れた。今までの習性でつい颯爽とゲートを通りそうになった。危うく大恥だった。華麗に優先搭乗するエグゼクティブな皆さまを見送る。敗北、卑屈、後退、落伍…。見送る方は、こんな気分だったのか。
旭川空港発便は定刻に羽田に到着。福岡行きまで1時間。コロナ前まで、羽田空港内ではダイヤモンドラウンジを使っていた。おにぎりやスープなど、軽食も食べ放題だった。サクララウンジでもゆったりと珈琲を飲んで寛いでいた。しかし、私にはラウンジを利用できる権利が滅失。
福岡行き搭乗ゲートのすぐ横に小さなフードコートがあった。。北海道味噌バターコーンラーメン1100円、荻窪ラーメン800円、しらすおろしぶっかけうどんとじゃこ天うどんが650円。
フードコートといえ、羽田空港の、しかも搭乗ゲート付近であることを勘案すれば安いだろう。
私が選んだのは、唯一の麺類以外メニュー「金沢(ロースカツ)カレー」。ゴーゴーカレー監修とある。並で1100円、大盛1200円。100円の差なら迷わず大盛りである。
4人掛けテーブルしか空いておらず、肩身狭めに待っていると私の番号(50番)が呼ばれた。受け取る。ずしり重い。値段分の価値はたっぷりありそうだ。
さっそく食らいつく。ゴーゴーカレーの味である。濃厚で舌に絡みつく。カツも大きい。願わくば福神漬入れ放題、千切りキャベツ用のマヨネーズが欲しいところだが、空港内フードコートでは満足この上なし。格下げされなければ出会えなかった体験だ。
そのフードコートは本屋を併設している。食後の腹ごなしに新刊(文庫・コミック)をチェック。そして、雑誌コーナーへ。充実のラインナップの中で、ひときわ私の関心を惹いたのが『ムー』。圧倒的情報量も活字量、付録もついて950円。
・ヒトラーの大予言と最終軍隊ラストバタリオン
・エリザベス女王の葬儀に巨大UFOが出現していた!!
こころ踊る特集タイトル。思わず手に取り、レジへ向かった。私は昔から「ムー系」であったが、この日から本格的な「ムー人」になる決意を固めた。マイルやステイタスだけでなく、これからさらに多くのモノを失いそうだけど。