2023年11月03日

第3189夜:生誕150周年【栃木・下野(栃木)】

「誕生150年」。何が誕生したのか。栃木県である。ちなみに地球誕生は「138億年」だ。

 このセンテンスが栃木市役所の吹き抜けに力強く掲示されている。栃木市役所は東武百貨店の2階以上にあり、各フロアへはエスカレーターが超便利。

私はいつもまず4階に行くが、エスカレーターを上がりながら吹き抜けを見下ろしたら「栃木県誕生150年」と書かれた巨大なバナーがフロアの床に。明らかにエスカレーター利用客向けの角度である。登り切るまでの間、思わず凝視。見事な四次元的空間活用である。

 150年ほど前の廃藩置県の際、現在の栃木県は宇都宮県と栃木県に分かれていたらしい。宇都宮県の県庁所在地が宇都宮。栃木県の県庁所在地が栃木。

 明治6年(1873年)、栃木県と宇都宮県が合併し、現在の栃木県が誕生。今年(2023年)は確かに記念すべき150周年。栃木市は「栃木県」の県庁が最初に置かれた場所という。ちなみにその場所は現在の栃木市入舟町。

 栃木市は何年か前に旧栃木市、大平町、都賀町、藤岡町、西方町、そして入舟町が1市5町合併。厳密に言えば、旧栃木市に県庁所在地があったわけではないと読み取れる。しかし合併したのだから、文章としては間違いない。

 恐らく、宇都宮県でなく栃木県と呼称する引き換えに、県庁所在地を宇都宮に置く生臭い取り決めが150年前になされたのだろう。時代は変われど、人間の本質は変わらぬようだ。

 ある5月下旬の爽やかな朝。そんな150年の歴史を感じながら栃木駅から蔵の街大通りを歩きつつ、20分かけて栃木市役所へ。

 途中、世界のビール祭り会場の前を横切った。数日間開催されているようで、この日はまさに真っ最中。ただし私が歩いているのは朝9時半過ぎ。会場は誰もおらず静まり返っている。

 ぜひビール祭りに参戦したいものだが、貧乏暇なし町民長屋の私にそんな贅沢は許されぬ。その日は午後から栃木県下野市でミッションがあった。

 下野市は平成18年、3町(南河内町・石橋町・国分寺町)が合併し「下野市」に。

 キーワードは「国分寺」である。天武天皇の飛鳥時代673年に「下野薬師寺」が創建。聖武天皇の奈良時代741年には「下野国分寺・尼寺」が建立されている。以降、時代は豪快に下り江戸時代には日光街道の宿場町(小金井宿・石橋宿)として繁栄したそうな。

 そもそも「国分寺」が何かよくわかっていなかったので、ネットで調べてみた。今から1300年ほど前、国内には80ほど国分寺があった。調べてもよく分からなかったが、まあ、今でいう仏教の香りが濃厚な県庁のようなものか。

 下野国分寺は日本列島で最も東に位置していた。1300年ほど前、今の栃木県の中心は宇都宮市でも栃木市でもなく、下野市だったようだ。栃木県のみならずヤマト王朝の東国支配の最前線だったのかもしれない。

 栃木県誕生150周年だが、あと十数年で下野国分寺誕生1300周年。1300周年にはとっくに栃木県と御縁は滅失しているだろうが、栃木県誕生150周年の記念すべき年に月に数回も栃木県(栃木市・佐野市・下野市・上三川町+小山市・鹿沼市+α)を訪れることができ光栄である。

 1300年前どころか150年前も摂津国(神戸)から下野国(栃木県)へ月6回も訪れることは不可能だっただろう。人間の本質は変わらないが、技術の進歩は目覚ましいものである。

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posted by machi at 07:52| Comment(0) | 栃木県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする