2023年08月31日

第3242夜:3軒目焼肉【門司(北九州)】 

 夜の3軒目。一般的にはスナック、バー、〆のラーメン店あたりだろうか。

 春爛漫な小倉3連泊中の中日。黄金市場商店街N川青年部長と隣町・門司の<やまかど>へ。門司の夜の帝王・S氏も合流。3人でまずは1次会。

 生で乾杯後、お通し3種。度肝抜かれたのが、薩摩芋。ガツンとカット。芳醇な甘みである。お通しに意外なほどイケる。

 タピオカブーム滅失後、その後継店舗にさつま芋スィーツの店が日本中で乱立気味な2023年春。私はじゃがいもは大好きだけど、薩摩芋はめったに口にしない。しかし<やまかど>はすべて予想を超えてくる。嬉しい不意打ちの味。しかし、腹が一気に満たされる。

 筍の刺身が秀逸だった。小倉南区の合馬(おうま)という地区は高級筍の産地らしく、京都の料亭で使われるという。北九州に通い始めて十数年。恥ずかしながら合馬という地名も筍が名産ということも1gも知らなかった。

 山葵醤油で頂く。フレッシュでみずみずしく、柔らかい。上品な甘みが舌に溶ける。不摂生を極めた体内が浄化される。

 貝刺身の盛り合わせ無双。量もたっぷり。牡蠣、栄螺…。私は刺身では貝類が一番好き。鰹たたき、てっさ(ふぐ)で我が刺身御三家を構成している。てっさは数年に1度も口にする機会はないけれど。

 牛すじスクランブル(エッグ)、ベーコンチーズ焼、小海老唐揚、和牛たたき…。すべてが超絶ハイレベル。大将独りで調理されているのだから凄まじい。メニューは読むのがつらいほどびっしり。すべて注文したいが量も多い。そして、安い。

 黄金のO中氏が合流。酒をたしなまない氏はライスを注文し、目の前の残った料理をうまそうに平らげていく。彼の喰いっぷりを見ると腹が減ってくる。

 2軒目は<もぐもぐ>で自家製梅サワー。しょっぱさが唯一無二。焼酎居酒屋なので品ぞろえ半端ないが、私はここではほぼ梅サワー一択である。

 3軒目の〆<アンジェ>に向かう途中、<太平楽>の前を通りかかったら席が空いていた。飛び込む。3軒目に焼肉である。ロースとレバーが終わっていたので焼酎を飲みながら豚バラ、カルビ、ミノを焼く。旨い。安い。感動に包まれる。門司のポテンシャル、超絶無比。

 最後に<アンジェ>。ママが翌日から誕生祭。私は行けないのでその前祝い。N川氏、O中氏、私とそれぞれシャンパンを開ける。

 O中氏のシャンパンが我ら3人の中で最高値。漢気である。そんな彼の御母堂様の起業家スピリッツのお話に圧倒された。目の前を全力尽くすこと。未来はどうでもよい、今現在に全集中である。3軒目焼肉で肉だけでなくしょぼくれ気味の私の心にも火が付いた。

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抜群すぎるお通し3種。

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合馬の筍の刺身。

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至福すぎる貝刺盛合せ。

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無限に呑める焼酎炭酸割セット。

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百花繚乱。

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2軒目は焼酎の森へ。

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3軒目焼肉。

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焼酎もたっぷり。

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4軒目。我がバカボトルは鬼殺隊仕様。

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周年おめでとうございます。

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2023年08月30日

第3241夜:黄金転生【小倉(北九州)】

 転生。古くは『魔界転生』から昨今の異世界転生モノまで夢、希望、神秘、可能性を秘めている事象である。蘇りではなく、生まれ変わりの方が近いだろう。

 ある弥生晴れの最高の気持ち良い正午前。小倉馬借の定宿からブラブラ歩いて黄金市場商店街へ。時間は11時半過ぎ。<寿し・弁当 一葉>の前は行列が出来ている。それを横目に向かったのは<東洋軒>。数十年の間、黄金が誇る名店中の名店である。いや、名店「だった」。

 しかしコロナ禍に人気絶頂のまま消失。創業の地は更地に。熱烈なファンは途方に暮れていた。私も含め。啜った回数は多くないが、豚骨ラーメンでは私にとって世界で一番旨かった。

 悲嘆に暮れる中、弟子筋か真偽不明だが北九州市内や筑豊あたりで<東洋軒>を名乗る店がコロナ禍にオープン。その真打といえる店が令和5年年明けぐらいにオープンしたという。

 啜らねばならない。啜らぬ選択肢はない。しかし、普段黄金市場は昼飯時に行くことはめったになく機会がなかった。絶好のチャンスである。

 店を発見。行列なし。ラッキーと思いドアへ向かうと「出口」だった。入口へ回ると5人ぐらい並んでいる。さすがである。私も並ぶ。

 新聞を読みながら待つこと数分。店内へ。券売機と対峙する。大盛ワンタンチャーシューメンを迷わず押す。そして、テンション上がったのかおにぎり2ヶも。替玉はないからおにぎりで保険をかける。麺は大盛だけど。

 カウンターへ。詰めれば優に6人は座れるが4席のみ。テーブル席がいくつかある。店内はかなりゆったり。ウィズコロナで人数を絞っているようだ。

 水を飲みながらわくわく。トキメキが止まらない。おにぎり2ヶ登壇後、ブツ降臨…。見とれた。東洋の美、ここに極まれり。

 胡椒パラリ、ゴマパラリ。まずはスープ…。こってりなのに、あっさり。逆もしかり。トロミあるのにサラリ。以前より久留米香は減った気がしないでもないが、私のバカ舌などあてにならない。私にとってはまごうかたなき東洋軒の味である。

 店主の代替わりなどで味が落ちたという話はよく耳にする。そういうこともあるだろうが、記憶の美化によるところも大きい。食べたことない人にとっては最高クラスの1杯のはずだ。

 夢中で啜り、チャーシューを齧る。ニンニクや辛味噌で味変を楽しむ。おにぎりもかぶりつく。私は今、仮想空間でない、転生した東洋軒の現実世界に居る。これだけでも幸せである。

 前の店は歴史があり味わい深かったが、転生店はピッカピカ。愛想も良く、店内に緊張感なく気兼ねなく楽しめる。次回はピンクたけのことゆで卵をトッピングしよう。

 出口から店外へ。「これからも黄金町に東洋軒の伝統を引き継いでいきます」と心強く書かれている。頼もしい限りである。東洋軒は小倉の、それも黄金町の名物である。

 ブラブラと再度<一葉>の前を通る。先ほどは<東洋軒>より長い行列だったが、この時は店頭に客が2,3名。近づいて納得。商品がほぼすべて完売していた。オープン実働2時間。恐るべし一葉である。

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入口かと思いきや、出口。

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至福を待つ人々。

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転生の歓び。

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最強の行列店。

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2023年08月29日

第3240夜:続・ウィズコロナ時代の拉麺密地帯【大宮(埼玉)】(その8)

 この店の前は何度も通りかかったが、あまり食指は伸びなかった。北海道のラーメンは北海道で啜る方が旨い。固定観念かもしれぬが、経験上間違いでもない。

 コロナ前は最低月イチペースで北海道に通っていたので思う存分啜ってきた。コロナ以降は北海道と御縁が完全に滅失。我が北海道ラーメン愛が抑えられなくなっていた。

 店外に券売機がある。札幌味噌、函館塩、旭川醤油の北海道3大メジャーが味わえるようだ。

 この3つなら私は迷うことなく「旭川醤油」。喜多方系でも佐野系でも高井戸系でもない。豚骨醤油だが神戸もっこす系でも京都第一旭系でもない。旭川醤油味としか言いようのない孤高。札幌味噌840円で、旭川醤油740円。100円浮いた分、チャーシュー増し300円ボタンを押す。

 カウンターで水を飲みつつメニュー再チェック。札幌味噌が不動の一番人気とあり、函館塩が女性人気ナンバーワンとある。旭川醤油は「定番の味」。他にも数種類の辛味噌系メニューが。

 気になったトッピングメニューがあった。「でっかいどう」。麺とスープが2倍で360円。対峙してみたいが、初めての店で味の相性が合わなければ悲劇。

 ブツ降臨。久々の旭川醤油。胡椒パラリ。まずはスープ…。久々すぎて旭川醤油味を忘れていたので、最初よく分からない。さらに一口。炒めたラードの風味に北海道を感じ始めた。かん水の効いた真っ黄色なちぢれ麺。これぞ北海道系の真骨頂である。

これまで旭川ラーメンの名店を啜ってきた。どこもハズさない。定義は分からぬが、この店もまごうことなき旭川系。懐かしさがこみあげる。気づけば汁1滴残っていなかった。

 そろそろ鰻串が焼きあがる頃である。鰻を受け取り、再度<ひむろ>の前を通る。次回は「でっかいどう」に「チャーシュー増し」を試すか。札幌味噌か、旭川醤油か…。函館塩はないかな。

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【12麺目:武蔵家】チャーシューめん(中)+青ネギ

 朝5時から会津若松の定宿でPC猿打。風呂入って7時半の神明通り商店街からバスで郡山に何故か20分程早く到着。いつもは大行列の切符売場も誰も並んでいなかった。そして2分程入線が遅れた新幹線に間に合った。そして、奇跡の9時59分大宮着。間髪入れず<武蔵家>へ。 

 何度もこのバカブログに書き散らしてきた大人気店。隣店全焼火災を免れた生命力も魅力。この店の惹きには抗えないので「神奈川代表」と位置付けた。横浜家系ラーメンなのだから。

 チャーシュー麺(中)に新商品という青ネギをトッピング。西日本でラーメン葱といえば青ネギ(のはず)だが、東日本では長ネギか白ネギが多い。私はどちらも好き。しかし濃厚な横浜家系には苦みと歯ごたえが強い白ネギの細切りが合うのでは…。青ネギ、キマっていた

 漬物、海苔、焼豚をおかずに無料ライス大盛をワシワシ。麺ズルズル。新幹線に早く乗れたから11時前に入店できた。そして知らなかったが、11時前に入店すると煮卵がサービスだった。

 隣店舗は火事で全焼で解体中。生き残った武蔵家はますます隆盛を極めているようだ。ちなみに朝7時オープン。24時間営業以上に有難みと気合を余計に感じてしまう摩訶不思議。〔終〕

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2023年08月28日

第3239夜:続・ウィズコロナ時代の拉麺密地帯【大宮(埼玉)】(その7)

 しっかりとニンニクの味が立った。生姜と共存している。風邪ひきの時の最強の一杯系だ。

 いつか長岡に再訪出来たら。そんな思いを馳せながら、汁1滴残さない戊辰啜り。

 店を出る時、ふと気づいた。横浜家系や二郎系などと比較し、客の年齢層が高めであることを。学生風は一人もいない。若者は隣の鶏白湯に入っているのだろうか。同じ店の系列なら、年齢層ごとに味を変え、幅広い客層を逃さない。河合継之助ばりの見事な軍略である。

10麺目:TOKYO豚骨BASE】濃厚醤油豚骨玉子落とし

 オシャレな外観、凝った店名…。大宮駅東口高架下ド一等地にある豚骨ラーメン店は天下にとどろく<一風堂>がプロデュースしているらしい。

 20年以上前の神戸新長田時代。県外出張など年に数回もなく、豚骨ラーメンもまだ本州では珍しかった。特に替玉など。そんなとき、神戸元町にオープンした<一風堂>に入った時、衝撃を受けた。こんなに旨いのか、豚骨とは。

 替玉も楽しく、紅生姜や辛子高菜などで味変するのも楽しい。すっかり虜になった。以降、神戸市内でオープンした豚骨店を見つけては啜り込んできた。

 神戸新長田を離れた12年前から、豚骨を啜らなくなった。厳密に言えば、北九州に毎月通うようになり、本場で啜るようになったため、九州地方以外では啜らなくなった。

 ある晩秋の秋の15時過ぎ。大宮駅前で火災が発生し数店舗が焼失した翌日。火災前日に啜った全焼店舗の隣店舗<武蔵家>の無事を確かめた。しかし、さすがに休業中だった。そのまま前述の<TOKYO豚骨BASE>に飛び込む。

 券売機と対峙。定番、醤油豚骨、味噌豚骨があった。そして期間限定で「濃厚醤油豚骨玉子落とし」があった。必殺技のようなネーミングである。普段なら初めての店では定番の白濁豚骨だが、ここは大宮。本場で麺道の修行に邁進する私には、これぐらいの亜流が敢えて好ましい。

 紙エプロンをお願いする。卓上に紅生姜と辛子高菜がないので、カウンターに注文する。入れ放題の気軽さはない。店内はcafé的ムード。若い女性の一人客もある。

 ブツ降臨。こだわりを感じる黒胡椒パラり。まずはスープ…。濃厚である。醤油ベース。しかし、凄まじくあっさりに感じた。普段、いかに本場でいかに濃厚を啜っているからか。 

 生卵と絡め、海苔で麺を巻く。紅生姜、辛子高菜で味変を楽しむ。濃厚豚骨醤油だけど、私にはあっさりだった。ちなみに最安値の定番が790円。決して安くないが、この賃料高そうな一等地で食材値上がりの時期に700円台は天晴である。

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11麺目:ひむろ】旭川醤油らぁ麺+チャーシュー増

 タフな日々のご褒美に<うな鐵>で串焼7本セット持ち帰り。30分ほどかかるのでその間に昼ラー。向かった先は徒歩30秒ほどの<ひむろ>。北海道ラーメンの店である。北海道に「北海道ラーメン」店はあまりないだろう。広い道内、それぞれに特徴があるからだ。〔次夜その8〕

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2023年08月27日

第3238夜:続・ウィズコロナ時代の拉麺密地帯【大宮(埼玉)】(その6) 

【閑話休題】

 大宮は全国のご当地ラーメンが味わえる「拉麺銀座」。しかし、神戸人の私は横浜で横浜家系、蒙古系(N本)、二郎系のように、関東発祥を敢えて攻め続けた。大宮は首都圏でありド関東ゆえに、関西や九州で容易に啜れるブツを大宮で啜ろうと思わなかった。

 毎月どころか隔週、毎週のように大宮駅改札を出るようになり、新規開拓の速度低下。気に入った店をリピートしてしまう私の保守根性もマシマシ。未開拓の駒(関東系)が減ってきた。

 全国の有名店、資本力のある店が勝負をかける大宮で、恐らくドン引くほど賃料の高い拉麺密地帯で勝負に挑む「上京組」の実力を試したくなった。ウィズコロナになり、全国各地へ行けなくなりご当地系を本場で対峙する機会が減ってしまったことが主な要因かもしれない。

【9麺目:みずさわ】特製生姜醤油らーめん大盛+チャーシュー

 活気や人の多さは南銀のある駅東口だが、西口は落ち着いた雰囲気がある。それでも充分に人で溢れている。ブラブラと西口のラーメン店が3軒並んでいるエリアへ。

 一軒は実食済(桜木)。後の2軒は<水沢>と<みずさわ>。うん?同じ店?よく見れば、<水沢>は赤基調で鶏白湯系、<みずさわ>は白基調で長岡生姜系。

 迷わなかった。<みずさわ>に飛びこむ。店内カウンターのみで、7割以上埋まっている。

 券売機と対峙。後ろには誰もいないのでじっくり吟味。写真入りの大きなボタンが2つ。

 「特製生姜醤油らーめん(1040円)」と「特使背脂醤油らーめん(1120円)」。ノーマルな生姜醤油らーめんが760円で、これがベースらしい。塩、味噌、まぜそばもあった。

 初めての店であるし、そもそも醤油が糟糠の妻ゆえ迷わない。背脂、実はそれほど好きではない。「特製生姜醤油」のボタンを押す。大盛り(120円)も。チャーシュー(200円)も。

 水を飲みながら店内をぼんやり見渡す。ライス無料とあった。うぉっと思いきや、ディナー限定とある。ランチ限定で無料の店は山ほどあれど、ディナー限定は初めて見たかもしれぬ。

 新潟県長岡市には数年前に5〜6回集中訪問したが、長岡駅前の商店街限定で一歩もはみ出さず。その際、長岡は生姜ラーメンが名物と知ったが、タイミングや場所の関係で、恐らく啜ることができなかった。「恐らく」と書いたのは啜ったかもしれないが覚えていないからである。

 ブツ降臨。生姜の香りが漂ってくる。胡椒をパラリ。まずはスープ…。しっかり生姜が効いている。醤油の味が締まる。麺はさすが大盛、たっぷりである。ちぢれがスープに絡む。

 チャーシューは嬉しいほどたっぷり。ウデ肉らしく、さっぱりあっさり。私が最も好む焼豚の部位である。メンマ、ほうれんそうも見事な脇役ぶり。

 卓上にニンニクを普段なら迷わず途中からぶち込む。しかし、生姜の香りが消える気もする。ゆえに、残り3分の1で少しだけ投入…。(次夜その7〕

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赤か白か。漢字かひらがなか。

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オヤジたちには「白」がお気に入り。

posted by machi at 09:15| Comment(0) | 埼玉県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする