鯛だし。鰹節、昆布、鶏ガラ、豚骨、干し椎茸…。日本には数限りなく「ダシ」になる食材が溢れている。年を重ねるにつれ、ダシの重要さ、不可欠さを改めて実感するようになった。しかし、鯛のダシは未経験だった。2022年の師走までは。
北関東最大の都市・宇都宮。駅東口の開発発展が凄まじい。新たな駅前商業ビルもオープン。私が宇都宮によく泊まっていた令和3年度まではずっと工事中だったが、あっという間のイメージ。周辺も様々な工事が繰り広げられている。宇都宮、勢いが感じられる。
一方、西口のトナリエは様々な店が入れ替え改装中。師走の午後、この地下の飲食ゾーン(らーめん横丁)で遅い昼ラーを啜ろうとしたが、改装中のため経路が封鎖されていた。
1階に以前は無かった飲食ゾーンがあった。地下の店がそのまま地上に出てきたようだが、1店舗だけ見知らぬ店が。<灯花>というラーメン店。しかも「鯛塩そば」がメインだそうな。醤油系中華そば、鯛塩つけ麺に鯛茶漬けも充実している。
味噌、塩、醤油の3択なら、私はほぼ醤油一択。ごくたまに寒い日などは味噌。塩は滅多に頼まない。しかし、この店はどう考えても「鯛塩そば」を頼まぬ選択肢はなかった。せっかくなのでオープン記念も兼ねて「特製」に。
店内は女性客だけ。ラーメン店では珍しい光景である。店内の女性客は皆さん鯛茶漬けのセットを楽しまれているようだ。
冷たく美味しい水を飲みながら店内POPを読む。スープは鯛だけを使っているそうな。鯛だけのスープ。もはや吸物ではないか。そんな疑問が頭によぎっているとブツ降臨。
美しい。まさに和装美女。丁寧に仕上げられているのが伝わる。煌めくスープの油膜にラーメンを感じさせる。鯛塩の旨味を味わうために胡椒パラリせず、まずは黄金色のスープ…。
鯛の味がどうか我がバカ舌では判別不能だが、あっさり和風なのに中華。中華なのに和風。思わずレンゲでスープを連続5回啜り。我がラーメン人生で、麺啜前の5回スープ啜りは初めてかもしれぬ。啜るほどに味わいが深まる気がする。
麺はストレート。メンマが妙に長い。チャーシューと煮卵にラーメンの矜持があるものの、これが無ければラーメンに見えないかも。温かい冷や麦のビジュアルである。
スープを啜り切った。二日酔いには最適かもしれぬ。鯛茶漬けも気になったが、ラーメンを愛してやまない私は恐らく注文することはないだろう。
以前、地下には3店舗のラーメン店で横丁を形成していた。現在、地下は改装中。さらにパワーアップしたラーメン横丁復活を願う。鯛塩などのあっさりも妙味だが、できれば家系、二郎系、鶏白湯系、豚骨魚介Wスープなどの濃厚コテコテ系で。
開発が凄まじい宇都宮駅東口。
まだまだ発展しそうな東口の空中庭園。
西口商業ビルの1階。
もはや、和食。