2023年03月24日

第3136夜:空き店舗を蘇生させる秘術【黒崎(北九州)】(後編)

 『来街目的』は「買物」が最も多く「通学」「飲食」「通勤」と続いている。回答者の年齢が高いほど「病院」「区役所」「銀行」の回答がみられる。

 消費者(地域内外)にとって黒崎は「買物の便利」という認識が浸透されている。一定の集積は必要だが、物販店の出店も促すことができる調査結果である。

 黒崎駅周辺居住者(徒歩15分以内)「以外」に絞った設問『来街頻度』に関し、「毎日」が32%と最も多く、週12回が23%。半数以上が毎週黒崎に来訪。通勤、通学が主要因と推測できる。

 『黒崎でよく利用する店舗・施設』に関し「コンビニ」が最も多く、「総合スーパー」「飲食店(夜)」「銀行」「飲食店(昼)」「病院」「娯楽施設(パチンコ等)」「区役所」「図書館」と続く。

 コンビニという回答は、調査項目に加えたなら全国共通でも最も高くなると推測される。黒崎に限ったことではない。

 「飲食店(昼)」が相当数あったことも商店街事業者のギャップの一例。黒崎は夜間飲食店しかないというイメージが浸透しすぎている。夜間飲食店のランチ営業やテイクアウト(弁当など)も寄与している。

 分析結果報告会終了後、会議所八幡SCの天地(センター長と最若手)、F野先生と<こげん>。いつも鯨飲した2軒目として通っているので、1軒目訪問はたぶん初めて。

 生で乾杯。お通しをツマミながら、本日のオススメをチェック。

 一丁目一番地に「和牛レバ刺」が。えっ?出していいの?活字にしていいの?

 マスター曰く「低温調理」しているから問題ないとのこと。ブツ降臨。光り輝いている。胡麻油、岩塩、大蒜、生姜を駆使して口へ…。こげんうまかもんが禁止なんておかしか。

 小倉の人気オオバコ焼鳥居酒屋でも牛のレバ刺しを出していたが、低温調理と表記されていたことを思い出す。私は料理に関して食べる専門であり、調理方法など全く分からない。しかし、低温調理という魔法の虜になっている。

 唐揚も驚愕した。こげん旨かったとは。辛子蓮根、もずく天麩羅、とん平焼、ミノポン酢。どれもこげんに旨すぎ。

 生の後は超濃い目なハイボールを数杯。それから泡盛をソーダ割で。このお店、沖縄一色でないが沖縄料理系だったことを思いだす。

 沖縄そばを〆に啜ろうかと思った時、ドアがガラリ開いた。<こげん>対面で輪業を営むHアニキ。週5回はこの店に通っているそうな。アニキの行動パターンは明快。焼鳥居酒屋<菊>か沖縄寄り居酒屋<こげん>へ行けば、95%以上の確率で捕獲できる。

 私の正面に座るF野先生と会議所若手とはまだ半年程度のお付き合い。一方、右隣の会議所S元センター長とは私が神戸新長田時代に視察に来られたそうだから十数年のお付き合い。左隣のHアニキとも干支一回りのお付き合いに。

 泡盛のピッチが加速。話題は森羅万象。気づけばほぼ終電の時間に。料理も酒も店の雰囲気も、こげんに最高。ヨソモノな神戸人の私にも、皆さん地元人のように接して下さる居心地の良さ。

 黒崎の商人が紡ぎだすウェルカムな雰囲気と心意気こそ、今後空き店舗を蘇生させるための、グラフに表せない最高の秘術である。

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低温調理という秘術。

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秘術を駆使する皆さま(私以外)。

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2023年03月22日

第3135夜:空き店舗を蘇生させる秘術【黒崎(北九州)】(前編)

 Q州国際大学。北九州に毎月からいつの間にか毎週のように通うようになりまもなく干支一回り。北九州市内には複数の大学が屹立している。私のミッションにおいても、大学の先生やゼミ生と絡むこともある。

 2022年度に入って黒崎・熊手銀天街にて始まった空き店舗滅失ミッション。その過程において九州K際大学・F野先生と御縁が深まった。

 先生のご専門は法律で、特にお墓関係という。詳細を何度もお聞きしているのにいつも覚えられない。人が死ねばお墓へ入る。生まれ変わることはあるかもしれないが、ゾンビ(ウォーキングデッド)になった正式な事例は地球の歴史上確認されていないはず。

 お店が死ねば空き店舗になる。シャッター街は商店街の墓地といえるかもしれないが、人間と空き店舗の決定的な違いがある。有機物と無機物、魂の有無ではない。

 いや、空き店舗は有機物であり、魂を有している可能性はある。人間は放置されれば朽ちて死を迎える。空き店舗も長期間シャッターも開けず放置され続けば確実に朽ちていくからだ。

 では、人間と空き店舗の決定的な違いは何か。空き店舗は全く別人に生まれ変わることができる、生き返ることができるのである。まあ、人間も同じことができるのかもしれないが。

 熊手のみならず黒崎エリアの空き店舗を蘇生、復活させるべく、F野先生とそのゼミ生十数名が商店街実態調査を決行。熊手銀天街ならび駅前周辺で来街者&来店者アンケ―トである。

 想定以上にサンプル数が集まった。その結果報告会が202211月中旬に開催。集計結果には空き店舗を蘇生させる秘術がグラフで暗号化されていた。

 商店街、F野ゼミ、商工会議所八幡SC、私で暗号解読に勤しんだ。私も想定していなかった事実が浮かび上がった。

 黒崎駅周辺居住者(徒歩15分以内)に絞った設問『住まいの形態』に関し、約71%が持ち家だった(戸建て・分譲マンション)。持ち家に関し、戸建てと分譲は割合が拮抗していた。「住まいに黒崎を選んだ理由」に関し、「住宅の分譲価格が安い」の回答はゼロだった。価格は安くないが黒崎で持ち家を保有した点は、価格以外のプラス要素が高いためと推測できる。

 黒崎駅周辺居住者(徒歩15分以内)に絞った設問『居住年数』に関し、21年以上が36%ともっとも高く、15年が29%と続いた。全体として黒崎駅周辺に11年以上居住している層は55%、10年未満は44%。少子高齢化に伴う街なか居住回帰、公共交通の利便性、分譲や賃貸マンションの相次ぐ竣工等が、住民の入れ替わり要因の一つと推測される。

 黒崎駅周辺居住者(徒歩15分以内)に絞った設問『住まいに黒崎を選んだ理由』に関し、「バ スや鉄道が便利」が最も多く、「勤め先が近い」「買物に便利」「飲食店が多い」と続いている。

 「買物に便利」という点は、商店街の事業者とギャップがある点である。商店街事業者は飲食店ばかりで買物に不便と捉えている者が多い。

 ただしこれは商店街エリアに特化した意見であり、食品スーパーも近隣に多数あることから、住民にとっては黒崎全体として買物に便利と捉えていると考えられる。一方、「教育環境が良い」「治安が良い」等の回答が皆無だった点も黒崎の特徴を表している。〔次夜後編〕

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昨今の大学生には頭が下がります。

posted by machi at 07:16| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月21日

第3134夜:メガハイボールの流儀【春日部(埼玉)】(後編)

 私は春日部で氏から2杯連続同時注文という秘儀「二進法」を会得していた。この夜、氏は東口エリアの各店舗を集金に回らねばならず、ほんの1杯だけといった雰囲気だった。

 料理もK子氏にお任せ。氏は焼豚、餃子、春巻、鶏肉と唐辛子の炒め物を注文。焼豚はかぶるが、絶品なのでむしろ大歓迎。餃子や春巻もカブっているかもしれない。

 私の生が瞬殺で空に。私はハイボールに切り替えようとした。するとK子氏はバイト女性に「メガで、2つ」。

 メガの二進法?さすがに四回転トリプルアクセル級の難易度だ。しかし、もう一つのメガがK子氏用だった。氏のブレーキが壊れ、アクセルが前回になったようだ。

 森羅万象いろんな話をしながらの2時間。絶品料理をツマミにメガハイ鯨飲。私もK子氏もメガハイをそれぞれ5.6杯は飲んだのではないか。クールなA井氏はマイペースに生ビールだ。

 19時半ごろの電車に乗らねば、神戸まで辿りつかない。時間が近づいてきた。両氏にお礼を申し上げ店を発つ。春日部発大宮行きの「神戸の私にとっての」最終列車に間に合った。大宮着後、乗換5分で東京へ。

 途中、車内で猛烈な尿意に襲われた。メガハイ数杯が膀胱で大暴れしている。途中下車すると、新幹線終電に間に合わない。貧乏ゆすりが激しくなった。脂汗が額ににじむ。

 東京駅到着。一目散にトイレに駆け込み、天国へ飛翔する。

 新幹線発車まで5分。コンビニで急いでロング缶を3本買って乗り込む。土曜の姫路終点新幹線、気持ち良いほど空いている。これが金曜なら満席だっただろう。

 ロング缶をカシュっと開ける。グビビビビ。タフな5泊6日の蓄積疲労が溶けていく。普段なら新横浜を超えたあたりで本格的に晩酌を開始する。隣に座ってこられる可能性があるからだ。しかしこの夜はガラガラ。

 品川を超えたあたりで、けいらくテイクアウトを取り出す…。思わず目を剥いた。巨大なスペアリブと巨大な鶏肉の塊。焼豚も超絶に分厚い。

 スペアリブ、手づかみなら新幹線では食べにくいが、箸で食べられる絶妙の焼加減。どれも汁が零れない。テーブルは美しいまま。

 ロング缶3本(発泡酒1本・缶チューハイ2本)が名古屋までになくなった。料理はまだ残っている。私は、売り子さんを待った。ハイボールを注文するつもりで。

 新幹線車内でもハイボールのロング缶(メガ)を取り扱っていただけたらな。そんな思いを馳せながら、終点の姫路まで乗り過ごさないよう必死で睡魔と戦った。

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♯けいらく新幹線

posted by machi at 08:41| Comment(0) | 埼玉県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月19日

第3133夜:メガハイボールの流儀【春日部(埼玉)】(前編)

 メガハイボール。私が春日部市内の呑み屋において、ホッピーの次に浴び続けてきた酒精である。メガがない場合は、2杯同時注文である。

 深秋な土曜の夕方。急遽春日部入りすることになり、春日部最強チャイニーズレストラン<けいらく>へ。そこには粕壁NEXT商店街PJのK子氏&A井氏の新旧春日部YEGコンビが。月末に予定していたYEG関連催しが急遽内容大幅変更になり、その打合せのために春日部入りした。

 この1カ月半ほど前、このコンビと催しについて打合せをしていた。その際は祝日の午前中。私はその日中に神戸に戻らなければならなかったが、かなり余裕だった。

 西口から車で数分のファミレス系カフェで打合せ。その後は春日部駅高架下のファストチェーンカフェでPC猿打し、帰神前に東口商店会エリアで中華総菜(けいらく)や和菓子(青柳)をテイクアウトしていた。

 今回は夕方だった。しかし、2022年度最も内容も量もタフな5泊6日の最終日だった。この日のうちに終電で神戸に戻れれば良い。今だ慣れぬ老眼鏡に首筋あたりのコリで悶絶しているが、安堵感もある。この打合せが最終行程だった。

 <けいらく>をお借りした打合せは16時半スタート。夜の部の営業は17時から。お店の迷惑も鑑み、30分で打合せを片付ける必要がある。お茶を飲みながら両氏と変更ミッションにおける戦略を練り直す。

 途中、店の若オーナーであり、単組組織である商栄会長でもあるSンヤ氏が顔を出して下さった。氏と私はほぼ同い年である。

 私は氏にテイクアウトをお願いした。新幹線晩酌の肴にするためである。何喰っても旨いが、新幹線なのであまり汁が零れるような炒め物は適さない。Sンヤ氏に焼豚をお願いし、もう1,2品は汁が出ないものというリクエストでお任せした。

 打合せは若干時間をオーバーしたが、つつがなく終了。夜の部のお客さんが入り始めた。私も少し飲みたい気分になった。春日部駅を19時半過ぎに発てば、列車遅れが無ければ24時15分には神戸の自宅に戻ることができる。

 Sンヤ氏からテイクアウトを手渡された。ズシリ重い3品。焼豚以外の2品は何だろう。

 気持ちを高ぶらせていると、K子しからせっかくだからこのまま呑まないかと誘われた。A井氏も職場に戻らないそうで、願ったりかなったりのプチ呑み会が始まった。私とA井氏は生、K子氏はハイボールで乾杯。

 K子氏はハイボールのミニサイズを注文している。彼にとってのミニサイズは普通の角ハイジョッキ。どうしたのか。体調でも悪いのか。〔次夜後編〕

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K子氏(右)とA井氏。

posted by machi at 10:40| Comment(0) | 埼玉県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月17日

第3132夜:蘇った江戸の粋【栃木(栃木)】

 「とちぎ秋まつり〜よみがえる江戸の粋〜」。明治7年を起源とする栃木市最大最強の祭りである。会場は蔵の街大通り。今年度(令和4年)はコロナ禍で4年ぶりに開催されたそうな。

 11月11日から3日間。初日はこども祭り。12日・13日が圧巻の人形山車運行。12日の13時過ぎ、栃木駅に降り立つ。駅からどんどん会場へ向かう。この道は何度も歩いたが、これほど人が歩いているのは初めてだ。

 会場が近づいてきた。汗ばむ陽気である。Tシャツ姿も多い。私は会津から直行したので厚着。汗が止まらない。会場の熱気も気温上昇に一役買っているのだろう。

 大通りは歩行者天国に。警察が全力で交通規制誘導している。通りには見事な装飾の人形山車が並んでいる。街なかを長年牽引してこられたと思しきご老人からこれからの栃木を背負って立つ子供たちまで、それぞれが着物というか衣装に身を包んでいる。

 秋まつりのメインは人形山車の運行。チラシでは14の人形が紹介されていた。町内ごとに違うようだ…。なかなか不思議なラインナップだった。統一感があるようで私には見つけられない。

・神様:天照大神、素戔嗚尊

・天皇:神武天皇、仁徳天皇

・源平:弁慶、静御前

・昔話:日本武尊、桃太郎

・中国:劉備玄徳、関羽雲長、張飛翼徳

・動物:雄獅子、雌獅子、諫鼓鶏

 『終末のワルキューレ』的世界観が漂っている。個人的に気になったのが「諫鼓鶏(かんこどり)」。街なかや商店街に絶対飛来してはいけない「閑古鳥(かんこどり)」とは別種なのか。

 山車会館がメイン会場らしい。蔵の街大通り全体に司会や主催者、来賓の声が響き渡る。山車が動き始めるまで30分ぐらい挨拶が続いたのではないか。

 人形山車が動き出した。ゆったりとしたペースである。笛や太鼓の祭囃子が耳に心地よい。ケンカ祭りではないようだ。山車がすれ違う場面が見せ場の一つなのかもしれない。

 沿道にはテキ屋や既存商店の店頭売りがズラリ。この日は会津若松から栃木入りした。朝昼何も喰っておらず空腹を極めた。

 何を食べようか…。祭り縁日に「焼きそば」は欠かせない魅力の一つ。栃木市は「ジャガイモ入り焼きそば」が名物。ちょうど目の前に栃木グランドホテルの屋台ブースが。焼きそば400円は祭り価格として安い。生ビールが500円。栃木県内としては店より安い感覚だ。

 生ビールが飛ぶように売れている。この日は暑かった。私もよく歩き汗ダクだったが、仕事を控える身。涙をこらえ、カバンからペットボトルの水を取り出す。ソースが焼ける香ばしさに抗えず、啜り込んだ。

 コロナ以降、日本各地でイベントや祭りが慎重を期して再開され始めた。万全のコロナ対策なとちぎ秋まつりも4年ぶりとあった。焼そばを味わいながら、これぞウィズコロナ時代の伝統行事の在り方を見た気がした。

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すれ違う迫力。

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栃木市名物じゃがいも入り焼きそば。

posted by machi at 10:24| Comment(0) | 栃木県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする