いもフライ。ラーメンが圧倒的な名物である佐野において、たぶん2番手を追走していると思しきご当地料理である。いもフライMAPまで作成されている。
10月最終日の夜。佐野駅にほど近いホテルでPC猿打後、20時頃にフラフラと屋外へ。佐野は駅周辺に呑み屋が充実。向かった先は半月前に足を運んだ激シブ店<若葉>。
前回はママが一人で切盛りしていたが、ドアを開けると娘さんぐらいの方と2人で厨房に。小上がりには目視70歳オーバーのゴキゲンなオヤジ3人組。
瓶ビール(大)を注文。お通しをツマミながら「もつ煮」「いもフライ」を注文。
もつ煮は関東の呑み屋定番メニュー。ところが佐野はもつ煮を名物として売り出していないが、ラーメンともつ煮を一緒に食べる文化が存在するという。
初めて佐野入りした際、食堂でラーメンを頼み、餃子か半チャーハンなどの付け合わせを尋ねたらもつ煮を勧められ、言葉を消化できなかった記憶がある。どちらも汁モノ。あまり試そうという気に何故かならない。
ラーメンと合わせる気分になれぬ、アルコールなら別。ちなみに私はラーメンとアルコールはあまり合わせぬ。もつ煮は関東では珍しくないが、食し方の文化としての佐野名物といえる。
この日の今朝、新神戸駅で買ったデイリースポーツ1面Oリックス日本一ニュースを読みながらビールとお通しをつついていると、もつ煮降臨。たっぷりである。
七味をたっぷりふりかけ、まずはもつ…。柔らかい。味が染み込んでいる。根野菜も深い味わい。汁が旨い。佐野だから美味いという以上に、この店が旨いのだろう。
もつ煮が無くなった頃という絶妙タイミングでいもフライ降臨。じゃがいものフライというそのまんまの料理。関西なら串カツとして定番。この店は串にささっていないが、10ヶほどお皿に。一人客の量ではない。
まずは塩で。じゃがいものほのかな甘みとホクホクが嬉しい。衣は上品なサクサクで油っこくない。単なるじゃがいものフライかと思いきや、恐れ入った。2ヶ目からはソースを駆使しながら、すべて完食してしまった。
さすがに腹に溜まる。ビールも大瓶で2本滅失。しかし、もう少し食べて呑みたい。
3杯目は日本酒にして、3品目はいか焼き。このお店の名物で、半月前も味わった。佐野名物でなく若葉名物なのだろう。
チビチビやっていると、降臨。圧倒的迫力である。生姜醤油が掛かっているが、好みでわさび醤油も。私はマヨネーズをもらい、七味を掛ける。マヨ七味といか焼き。無双ツマミとなる。酒の冷や(常温)がノドを滑り、胃を焼く。小皿にたっぷり零れているのも嬉しい。
いか焼きもかなりの大きさだが、美味しく完食。日本酒も無くなった。お通しを含めて4品。瓶ビール大2本と日本酒1合。所要時間は50分。かなりの満足度。満腹である。
店を出る。ブラブラホテルに向かう途中「らーめん」という文字が視界に。満腹だけど近づいてみたら「らーめん予備校」とあった。佐野ラーメン店開業を志す者たちの予備校。2か月ほど前にその仕掛け人の方とお会いする機会があった。ここに予備校はあったのか。
翌日は午前中が佐野ミッション。午後からは神戸に戻るだけ。明日の昼は佐野最強名物・佐野ラーメンを啜るか。不気味な笑みを浮かべながらホテルに戻る。
ロビーに備え付けられていたスポーツ新聞が視界に。神戸では一面が当然オリックス日本一。佐野では、というより関東では「タッキー ジャニーズ事務所退社」。……。日本は広い。
激シブ旅情。
もつ煮とビールと贔屓チームの優勝記事。至福。
地醤油(たぶん)。
いもフライ。量多し。
いか焼き。量多し。
入学せんばいけん。
(付記)
後日、池波正太郎先生の食エッセイを読んでいたら「ポテトフライ」の話が出てきた。ファストフード系でなく、まさに佐野で食した「いもフライ」。エッセイを読んで、また食べたくなった。ビールのお供として。キャベツの千切り&ウスターソースを添えて。