喫茶部門は若いカップルや女性グループ、子連れの若い主婦等で満席。皆さま上品にステキな午後を寛いでいる。ヨゴレが跋扈する街では見かけない品が漂っている。
私がレジに手渡した本は『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』。
北Q州商工会議所M渡アニキ推薦。舞台は北九州市の門司港にある「テンダネス」というコンビニらしい。本屋大賞受賞作家・町田そのこ先生原作の新潮文庫である。
ブックカバーが多治見の街なかのマップでお店情報も楽しい。カバーだけでもじっくり楽しむことができる。余談ついでに、オリジナルのしおりの強度が頼もしく使いやすい。
小説ならミステリかサスペンス、冒険しか読まぬ故、普段なら絶対に手が伸びぬジャンルだが…。
面白かった。どこかのコンビニがモデルなのかもしれぬが、数年前から月1回ペースで門司港に通っているので作中の情景や地名、空気感が鮮明に分かる。
老松公園が登場した時、公園を挟む門司中央市場とプラザ祇園も登場させてと心でツッこんだ。私が毎週のように北九州入りしているからより楽しめたのだろう。門司港、素敵な街である。
どこか既視感もあったが、コンビニを舞台に描き切った良作。無性に玉子サンドが喰いたくなり、翌日に神戸の<イスズベーカリー>まで買いに行ったほど。
私もコンビニ好きだけど、見方がさらに変わりそう。続編があるならぜひ読んでみたい。

■7月△日(火) <澤中>+『おれたちを齧るな!わしらは怪しい雑魚釣り隊』
この日も13時ちょうどに多治見着。世界最先端の地域商社「たじみDMO」O口COOは超多忙ゆえ、COO側近・M井氏と氏おススメの名店<澤中>へ。
数ある多治見市内の鰻店。市民それぞれにお気に入りがあるという。M井氏は注文を取りに来た女将さんと親戚のように談笑されている。
この店、来た事あったかなと思いきや、初だった。<澤千>と勘違いしていた。暖簾分けか何かだろうか。シーズンUで、初の鰻店。期待が否応にも高まる。
鰻丼が小・中・並・大・特。味ではなく量の違いである。小が1600円、特でも3600円。税込表記に誠実と正義を感じる。鰻の魔力は、これを安いと感じさせることでもある。
鰻重が丼特と同じ3600円。ひつまぶしは最高値の4000円だが、ここは名古屋ではなく多治見。視界に入らない。鰻御飯はどのようなメニューかお聞きすると、白飯と蒲焼という。夜に酒を呑めるときならアリだが、昼はタレ、鰻、白飯の三位一体のワシワシに敵わない。
肝吸い、漬物、特上鰻丼。旨すぎて骨盤が割れそうに。サクサクした関西風だが、上品さも。関東系蒸しのフワフワと正対だが、鰻の焼き方一つとっても奥深すぎ。これだけ極上の鰻なのに、サービスやサイズ、その他を勘案すると、スーパーより遥かに安い。〔次夜その3〕


(付記)
『コンビニ兄弟』、11月中旬に本屋さんで続編を発見。楽しみであります。