2022年03月31日

第2898夜:ライスお付けしますか?【宇都宮(栃木)】

 サービスライス。ラーメン店などで昼限定で無料になったりする嬉しいサービスである。

 ある師走の15時40分過ぎ。北関東最大の都市・宇都宮着。鹿沼方面行き電車まで40分待ち。

 この日は朝に九州の新幹線玄関口・小倉駅ホーム(在来線)で月見かしわうどんを啜ったのみ。空腹を覚えた。夜メシにありつけるのは早くて21時半だろう。

 駅構内の3カ月ほど前にオープンしたフードコートへ。ラーメン発見。一番人気らしい「豚とろチャーシュー味噌らーめん」を召還。

 私と同年配と思しきアナログ感濃い目な男性店員さんがお会計で手間取っている間の数秒間、ヒマつぶしにレジカウンターメニューをガン視。

 餃子が4ヶでセットできるのか。小ライス100円か…。ふと、凄まじく目だたない一文が視界の隅に。

 「16時まで小ライス無料」。

 うん?無料?店員さんに、ここに書かれているけど無料なのかお聞きした。

 店員オヤジ(目視アラフィフの我が同年代)は怪訝な表情を浮かべた。笑みもない。

 「え?ええ、まあ、16時までは無料なんですけど‥‥‥。じゃあ、お付けしますか?」

 実際には聞こえていないが、オヤジの舌打ちが幻聴としてコダマした。私も、何故か少しイラっとした。

 「ライスなんかいらねぇ」という啖呵をきる勇気もなく、「あ、お願いします」とヘコヘコ。私が頼んだ味噌ラーメン、チャーシューわずか1枚で1,056円である。

 ブザーを渡されフードコートに陣取る。改めてフードコートは苦手なことを痛感する。

 ブザーが震えた。俯きながら受け取る。小ライスは、本当に掛け値なしの小サイズ。太り過ぎの私への気遣いといえる。

 胡椒パラリし、トレーをもってテーブルへ。啜る‥‥。旨い。

 近年の味噌ラーメンの進化っぷりに驚嘆。私は基本的に醤油一択、次が横浜家系か神戸もっこす系、福岡では豚骨一択(最近他に浮気気味)。最近は味噌比率が最近増えてきた気がする。

 翌朝。鹿沼のジューソー2階で起床。寄贈させて頂いたT-faL大活躍。インスタント珈琲入れ放題。最高に便利で快適なコワーキングスペースに変貌する。

 20分かけてブラブラ歩いてJR鹿沼駅。ちょうど1時間に1本の電車が入線したので宇都宮へ。昼メシ時だった。

 昨夕訪れたフードコートをガン無視し、駅前トナリエ地下の「宇都宮らーめん横丁」へ。3軒とも実力高しで制覇済。私のお気に入りは「白」の<希家>。横浜家系である。

 この店は二郎系もあり、佐野系ジャンボ餃子もあり、スタ丼系もラインナップ。関東の美味しいジャンク系が揃う貴重な店。店内の男性比率はいつ行っても100%。昨日の店(宇都宮駅のフードコート)の1000倍ぐらい目立つポスターサイズで「ライス食べ放題」とある。

 これまでこの店では横浜家系豚骨スペシャル(醤油)、がっつりラーメン(二郎系)、ジャンボ餃子定食などを腹に入れた。どれも大満足である。

 最近の味噌モードが確変中。昨夕の味噌も旨かった。券売機と対峙。味噌があった。「辛みそ」ジャンル。横浜家系スープをベースにした味噌。間違いない旨さが保証されている。

 ノーマルが辛みそラーメン720円。ねぎが加わると830円。そしてチャーシューが加わると1280円。私は「辛みそネギ叉焼」のボタンを押した。

 着座し、チケットを店員さんに渡す。紙エプロンをお願いする。そして「ライスお付けしますか?」と店員さんからご質問を賜る。激しく首肯する。

 ブツ降臨。チャーシューたっぷりである。丁寧な仕上がり。ライスもセコさ皆無なたっぷり1人前。昨日の店に画像を見せたくなる衝動に駆られる。

 胡椒パラリし、まずはスープ。濃厚な家系に味噌がコーティング。ほのかなピリ辛で体あたたまる。ネギもシャキシャキで抜群。麺は太麺の縮れ。スープとエロスに絡みつく。

 ぐいぐい啜る。焼豚を齧り、ライスを頬張る。スープで追従。気づけば麺1本、コーン1粒、スープ1滴、コメ一粒残っていなかった。ライスはお代わりせずとも十分な量だった。

 この店は時間に関係なくラーメン類を頼めば常時ライス食べ放題というジャスティスっぷり。サービスするなら、堂々と。ネット社会な昨今、いずれ白日に晒されるからである。

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宇都宮駅構内1階のフードコート(ホール)。

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サッポロ系味噌。旨し。

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宇都宮駅前ビル地下のらーめん横丁。

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ヨコハマ家系味噌。旨すぎ。
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2022年03月30日

第2897夜:ギムレットのペースが早すぎる【飯塚(福岡)】

 ギムレットには早すぎる。

 チャンドラー、ハードボイルド、マーロウ‥‥‥。これらの単語に心当たりのない方には意味不明の一文だろう。心当たりのある方、ニヤリとされた方は我が同士でもあり、私と同様にちょっとヘンで面倒くさい御仁ともいえる。

 12月中旬、筑豊飯塚の夜。飯塚市商連の旦那衆と向かったのは活性化の中心・本町商店街すぐ近くのパブ。1973年創業。地元の皆さまから長年愛され続けている人気店であるらしい。風格とカジュアルが絶妙なバランスで同居している。

 屋号からして喫茶店かcaféバーかと思いきや、昼営業はされていないという。旦那衆はかなりヘビーユーズしているようだが、飯塚と11年前に御縁を頂いて以来、私は初ダイブだった。

 7人で生で乾杯。ジョッキがいつまでも冷え続ける魔法系からして凝っている。

 幹事役・履物のN田氏が料理おまかせで予約。レーズンバター&クラッカーで始まり、サラダ、箸でホロホロと崩れるまで美味しく煮込まれたスペアリブ&ガーリックトースト。生2杯の後はバーボンソーダ。すっきり旨い。

 ウィンナー&玉子焼、絶品だったフライドチキンを経て、〆はスパゲティ。どれも旨かった。願わくばフィッシュ&チップスがメニュー化されているならぜひ味わってみたかった。

 緑道公園のイルミネーションを眺めながら、2次会は2か月前に3人で訪れたライブバー。この前はショットで適当に頼んだが。3500円で呑み放題唄い放題のコースが。

 飲物の充実っぷりが素晴らしい。ウィスキーはなんとオールド。カクテルの種類も豊富だ。

 私は乾杯用にハイボール。時間がかかるというギムレットも。グラス交換制でない心強さ。ハイボールも濃い目で旨し。

 旦那衆と談笑していると、ギムレットが。シェイカーで振られた本格派である。作って下さったのは、店のママ(になるのかな)の美人なEリカ嬢。還暦のマスターと一月ほど前に結婚し、マスターの息子と同い年というシュールな世界を醸し出している。

 N田氏がステージで歌う『Miss You♪』やK家氏の上手すぎる美声を聴きながら、ギムレットをお代わりする。同じタイミングでハイボールも追加。

 ギムレットはバカバカお代わりするものでもない。しかも、濃い目のハイボールをチェイサーにするべきでない。私は「ギムレットのペースが速すぎる」ようだ。

 計6杯(もっとかもしれない)呑み、ステージで唄(メッ!)を唄う。気づけば2時間経過。店を出る。ホテルまで歩いて1分。旦那衆に「よいお年を」と年末のご挨拶で2021年ラスト飯塚ナイトを完結させた。

 タフでなければ筑豊の夜は生きていけないのである。

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私、レーズンバターで呑むのが好き。

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王道。

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熊啜。

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緑道公園の味わい深いイルミネーション。

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ハイボールをチェイサーに、ギムレット。

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強心臓。
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2022年03月29日

第2896夜:おもてなしの神髄【日光(栃木)】(後編)

 ジョッキを凍らせた生で乾杯。5泊6日の最終日。ノドに沁み込む。

 色々料理注文。お通しをツマミながら談笑し、生ビールを呷っていると、枝豆が運ばれてきた。誰か頼んだっけ?

 「お料理お待たせして申し訳ございません。枝豆どうぞ。もう少々お待ちください」

 特に待たされた感もない。気配りに恐縮する。気づけばカウンター席も小上がりも満席に。

 焼鳥、ポテトフライ、揚げ茄子、手羽中唐揚‥‥‥。どれも旨い。一気に料理が出てくるのではなく、一品づつ絶妙のタイミングで出てくる。

 焼酎の湯割に切り替え談笑していると、SL大樹タイアップな厚焼玉子降臨。

 ドカンな迫力。皿に「大変おまたせしました」POPが。思わず微笑。なんとも言えない温かい気持ちに。

 時間も21時半に。ラストオーダーである。22時が完全閉店なので同行氏たちはお店にタクシーをお願いする。しかし、50分〜1時間待ち。

 冷静に考えれば、12月の第二週の金曜日である。本来なら忘年会の第一ピーク。店に入れることも、タクシーが手配できることすら珍しいことをこの2年間で忘れてしまっていた。

 ラストオーダー終了。22時完全閉店ゆえ居座るとご迷惑に。

 とりあえず店を出てどこか入るか。すると、女将さんがタクシーが来るまで店に居ても大丈夫とおっしゃる。甘えることに。

 さらにハイボールを注文し、調子に乗って何かシメになるようなものを注文した。

 女将さんは厨房へ。なかなか出てこない。親方と相談しているのだろう。親方から「ふざけるんじゃない」と叱責されているのかもしれない。

 数分後、厨房から親方が出てこられた。コワモテである。

 怒られるかと思いきや、柔らかな笑みを浮かべて「カレーうどんとかいかがですか?(3人で)2玉ぐらいにしましょうか」。

 我ら激しく首肯。感動の嵐が吹き抜ける。

 女将さんが黄色いバスタオルを3枚持ってこられた。私の背後に回り、首の周りに巻き付けた。

 わけわからず目を剥いていると、「カレーうどんはこうしないと危険ですからね」。

 何というホスピタリティ。3人とも999の星野哲郎状態。外から見たらかなりマヌケだ。

 小さめの椀にカレーうどんが。まずは出汁。

 ……。定番メニューにすれば間違いなく人気になるだろう。恐ろしいほどの旨さ。出汁も効いており、具にもカレーが染み込んでいる。

 あっという間に啜り、満足していると女将さんが「おかわりどうぞ」と2杯目を。

 私は言葉を失った。人間は本当に感動した時、言葉がでないことを体感した。

 ちょうど啜り終えた頃、絶妙タイミングでタクシーが。時間は23時前。1時間も延長して下さった。

 POPづくりやおもてなし講座を開催するなら、講師を呼んで会議室で行うのではなく、下今市駅前の<婦美のや>さんで腰を据えて食べて呑む方が遥かに身につくだろう。

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どれも絶品なプロの味。

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添えられたPOPに微笑。

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星野哲郎状態。

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ハネを気にせずカレーうどんをお代わりする私。
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2022年03月28日

第2895夜:おもてなしの神髄【日光(栃木)】(前編)

 <婦美のや>。東武下今市駅にほど近い居酒屋である。

 外観は高級そうな割烹風。私は何度もこの店の前を通りがかったが、店が開いているタイミングに通りかかることはなかった。

 本来なら観光シーズンも終わり冬眠期に突入しているはずの東武日光〜東照宮エリア。裏通り?を歩きながら目的地に向かっていると、地元の小学生らしき一団たちとすれ違う。

 小学生たち全員が私たちに「こんにちは〜」。すれ違う地元の小学生はすべて「こんにちは〜」。

 猛烈に感動。これぞホンモノの観光地が醸し出す究極のおもてなしである。

 私の住むマンション(約200戸)など、小学生は山ほど見かけるが、私が挨拶しても返答してくれるのは20人に1人もいない。ヘンなオヤジから声掛けられたら(挨拶でも)無視するよう学校で教えられているのか、親がマナーを知らないバカなのか。

 東武日光駅付近で出くわした修学旅行か遠足っぽい小学生たちは全員は、我ら不審オヤジたちに目も合わせず挨拶ゼロ。善悪はともかく、日光市内の子供でない区別はついた。

 キーマン2氏から詳細で有益極まりない情報をお伺い。私のようなヨソモノにも師走の忙しい時期にお時間を割いて下さる。日光市民のDNAレベルのホスピタリティなのだろう。

 その夜は日光創業P事務局コンビと忘年会。日光市はいまだ呑み会4人以下制限が掛かっている。県庁は解除されたようだが、なかなかの慎重ぶり。よって3人でプチ忘年会に。

 両氏が向かったのは冒頭の<婦美のや>。緊張しながら店内へ。小上がりに陣取る。

 これまで通りがかるだけでは当たり前だが気づかなかったが、店の内外に張り巡らされたPOPがキュートである。

・1945年創業。現在還暦オーバーの2代目親方が頑張っています!
・理系女子ポロ子先輩御用達 フライドポテト
・鉄男も鉄子も食べなきゃ!SL大樹タイアップ商品 あつやきたまご(Sサイズ・Lサイズ)
・「包丁侍」が焼くやきとりのおいしいお店はここです
・昭和…平成……そして令和の味 もつにこみ
・安定供給のため一時的な仕入調整のうえ営業しております。そのため欠品多し…でもがんばって営業しております
・昔から…そして今日もみなさまにお世話になります
・小人数様のご予約もよろこんでお受けしております
・トイレがせまくてゴメンナサイ…せまいトイレほど「トイレの神様」がいるとか…

 他にもセンスと愛情あふれるPOPが目白押し。厨房でPOP曰く還暦オーバーの親方が、ホールは奥様っぽい方の2人で切盛り。親方は職人気質っぽいので女将さんがすべてのPOPをかかれているのだろう。〔次夜後編〕

ヤッツケではない、心のこもったPOPギャラリー。
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2022年03月27日

第2894夜:親心の流儀【春日部(埼玉)】

 親心。恋心なら分からぬでもないが、子育て経験無き私にはイマイチ分からぬ感情である。

 12月中旬の15時。東武野田線岩槻駅前ホテルにチェックイン。いったん寝間着に着替え、すべての衣類を袋に詰め込み、コインランドリーへ。洗濯機を回す。約40分後、乾燥機へ。このホテルの乾燥機は通常の3倍パワーなので25分で済む。

 乾燥終了予定時刻に回収に向かう。その際、ズボンを触ったときに違和感が。尻ポケットのあたりが固い‥‥‥。

 定期入れだった。慌てて取り忘れていた。カード類をはじめかなり必要なギアが詰まっている。乾いているが、一度びしゃびしゃになったはず。私の頬も涙、流れるままである。

 悲劇から4時間半後。私にとって本年(2021年)ラストの春日部ミッション終了後、16人で春日部駅西口の人気海鮮系居酒屋へ。NEXT商店街PJほぼフルメンバー忘年会である。

 詰めながら座敷に座る。「席を詰める」という行為が新鮮である。

 我らの開始時間が21時半。その時間までびっしり他の予約で埋まっていたという。この時期なら本来当然な思いっきり忘年会シーズン。ビフォーコロナの感覚を最早忘れている。夜の経済回復の槌音が力強い。

 16人で乾杯。魂の震えるオーケストラである。生の後はメガハイボール。春日部の皆さまは本当によく呑む。凄まじいピッチでジョッキが入れ替わる。

 私の正面に座ったのが役所入庁2年目というK田嬢。入庁早々にコロナ禍で、いまだ職場で歓迎会も忘年会も新年会も未経験。我ら民間人との呑み会など初めてらしい。

 K田嬢は箱入り娘のようである。カルピスチューハイを飲んでいる。2杯目はカシスか何か。ビールは飲んだことがないのか、まだ美味しいと思わなかったかは失念した。

 嬢は3杯目を何にしようか思案している。目の前のオヤジ(私)がホッピーを進めた。嬢は挑戦するという。当然呑んだこともなければ、作り方も何もかも分からないようだ。

 ホッピーが運ばれてきた。「中(甲類焼酎)」割と多めである。ドボドボと外を私が注ぎ、マドラーでいつもより多めにかき混ぜる。K田嬢、ホッピー処女を喪失する瞬間である。

 同じ宅の飯Y代行、Sンヤ氏、ともに嬢がホッピーを口に運ぶところ食い入るように見ている。ドキドキする。嬢は口を外し、満面の笑みで「おいしいです!呑みやすいです!」。

 我らオヤジ、破顔一笑。私は子育て経験というものがない。恐らく娘が成長し、二十歳になって初めて一緒に酒を飲むときの気分を疑似体験できた。

 嬢のスマホが先ほどから頻繁に震えていた。彼氏だろうか‥‥‥。ホンモノのオヤジさんだった。門限はないらしいが、迎えに来ているという。すでに店の近くにスタンバイしているらしい。まるでDリヘル嬢の送迎のようである。

 これぞ本物の親心。私のようなバカ親父が娘にホッピーデビューさせたことを知ったら間違いなく激高されるだろう。

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令和3年12月の奇跡。
posted by machi at 11:48| Comment(0) | 埼玉県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする