2021年12月31日

第2839夜:5番線ホームの立啜きしめん2010【名古屋(愛知)】

 きしめん。うどんを平べったくし、独特のコシを持つ名古屋麺である。名古屋麺は他にもカレーうどん、あんかけスパゲティ、鉄板スパゲティ、味噌煮込うどんなど実力麺ぞろいだ。

 駅の立麺マニアな私にとり、名古屋駅は駅麺の宝庫。各ホームに立ち麺屋が。圧倒的シェアと人気を誇っているのがきしめん。中でも<名代きしめん住よし>は、名古屋人でなくとも名古屋駅を利用した麺喰い愛好者は立ち寄ったことがあるだろう。

 新幹線14番ホームに降りたつ。迷わずに<住よし>の前にある券売機でチケットを購入。ガラス戸を開けて中に入った。注文したのは「かき揚げきしめん」。定番メニューである。

 冷水機の水を呑んでいると、程なくして着丼。たっぷりな海鮮かき揚げがドシン。大き目の海老が数匹入り。鰹節がパラりトッピング。湯気に煽られてダンスしている。

 丼のふちに唇をあて、ズズッ。……。出汁の見た目の濃さは関東風だが、味は関西風。関西出汁よりも甘味少なく、キリっと硬質な中にふくよかな滋味が漂っている。

 鰹節の薫にうっとりしながらズルズルときしめんを啜る。……。唇、舌、喉を通る食感がツルツルと官能的。うどんともそばとも違うノドごしである。

 かき揚げをサクっと齧る。……。香ばしさ、海鮮&野菜の甘みとシャッキリ歯ごたえが頼もしい。ツユにどっぷりと浸すと柔らかく崩れる。麺とモロモロと官能的なかき揚げを一緒に啜る。かき揚げ油とモロモロの具が染みこんだツユをゴキュ。天国である。一滴残らず堪能した。

 天婦羅の油や衣を含んだ煌めくツユに勝る極上のスープは極めて稀。天婦羅麺、かき揚げ麺は味と具の変化を楽しむのがだいご味。いきなり天婦羅を崩してモロモロさせてから麺に挑むのは、最初からカレーライスをグチャグチャにかき混ぜて食べるようなもの。好みの違いだが。

 後日、名古屋駅在来線5・6番ホームのかき揚げきしめんが最も旨いという情報を入手した。ネタ元はコミック『美味しい名古屋を食べに行こまい』(榊こつぶ 日本文芸社)。様々な名古屋めしを紹介したグルメ漫画である。私は雑誌連載時からこの作品のファンだった。

 なぜ5番ホームが旨いのか。ガラスで仕切られた店内タイプではなく、吹きざらしで味わえるシチュエーションが唯一残っているからだそうだ。ちなみにこちらも<住よし>である。

 私は5番ホームでかき揚げきしめんを注文、食べ比べた。見た目はほとんど一緒だ。ところが、やはり旨く感じた。春夏秋冬、晴れと雨、様々な音…。立ち麺はやはり吹きざらしで味わうのが最も楽しめるシチュエーションである。

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たぶん、この写真。

(付記@)
この死蔵ストックは恐らく2010年頃。それから時を経て2021年、名古屋駅在来線ホームきしめんを集中して攻める機会を得た。その麺果は次夜以降。今夜はそのプレリュードである。

(付記A)
このバカブログをご笑覧の御方様、2021年もありがとうございました。毎年最後のネタは出来れば「蕎麦」と決めていますが、今年は「きしめん」で。依然コロナ禍の霧が晴れきらんですた、気合一発であります。2022年も御贔屓に!皆さまにとってステキな1年になりますように。
posted by machi at 08:09| Comment(0) | 愛知県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月29日

第2838夜:徒然コロナ草・2021晩夏【Aho-boiled】

 ?回目の緊急事態宣言。私が一応拠点を置く兵庫県神戸市でも、もう何回目か分からぬ緊急事態宣言が東京五輪が終わってから発令された。

 前回の「徒然コロナ草・2021初夏」で徒然シリーズを終わりにしたいと末尾に書いたが、終われない。2021年度は緊急事態宣言やまん防が発令されていない期間の方が長い気がする。

 コロナに関係なく、例年お盆前後の10日間ほどはヒマになる。ただしその前後はフルスロットル。コロナ禍2年目も4月から7月まではコロナに関係なく飛び回っていたが、8月の第5波は凄まじいブレーキと化した。

 これまで週に5泊が出張だったのが、週1泊程度に。出張放浪とオンラインと読書と酒と惰眠な日々。毎晩17時には晩酌をはじめ、19時には寝室へ。明け方3〜4時には覚醒。日の出とともに目覚め、日暮れとともに寝る。江戸以前のお百姓さんのような暮らしっぷりである。

 片っ端から出張がキャンセルになり、オンラインに切り替わっていく。これを機に緊急事態宣言どころかまん延防止期間も全力で我がミッションを中止へと追い込むがごとき自治体も。

 金の切れ目は縁の切れ目とは先史時代からの格言。私の生業などまさにその通り。

 これまでの御縁滅失はクライアント(自治体や外郭期間)の人事異動や、単年または複数年度の契約ミッション終了での御縁滅失が大半。

 今回のコロナでリアルがオンラインになり、関係性が薄く細くなり、次第に消滅する。令和時代の、ウィズコロナ時代の新たな御縁の滅失スタイルかもしれない。

 一方で、何でもかんでも中止にするのではなく、いかに工夫して実行できるかに注力するサムライ魂溢れる自治体もある。福岡県北九州市と、埼玉県春日部市。特に北九州市とは2010年から御縁を頂き11年目。時を経るごとに御縁が濃くなっていく。

 商店街主催のミッションはともかく、自治体主催ミッションにおいて、この2市の姿勢はブレず、揺るがない。私も迷うことなくブッキングできる。第5波席巻中も動じなかった。

 兵庫県内でソトノミできずとも、県内で全くシゴトがないので何一つ不自由しないが、北九州市と春日部市でのミッション終了後のステイホテルは切ない。早く酒を酌み交わしたい。

 徒然なる惰性の日々を送っていた9月上旬、フリー冊子が届いた。神戸新長田時代にお世話になったFェリシモY川部長が独立され、氏により2021年9月1日に発刊された『月間土日技術』。「週末力」がテーマなオトナ冊子である。

 僭越ながら私も連載陣の末席を穢させていただくことに。私の担当は「日本全国放課後三昧」。要するに普段から書き散らしているこのバカブログの姉妹版である。

 これまで誰から頼まれることもなく勝手にただいまアナタがご笑覧中のバカブログを11年以上継続してきた(気づけば二千数百回も懲りずに更新)、今回は初めてご依頼を頂いて乱筆。光栄の極み。Y川氏の会社(アーベント https://www.abend.co.jp/ )HPでも閲覧可能。私なんかよりも他の豪華執筆陣をぜひご満喫あれ。

 第5波で出張外出に制限が掛かり、オンラインに切り替えるも、従来は現地訪問を前提とした組み立てだったのでどうしても不具合が発生する。

 何か在宅でできるシゴト(少額でも良いからギャラが頂ける)ってないかなと都合の良すぎる空想をぼんやり徒然していたら、月1回のフリー冊子連載依頼が。私にとっても新たな挑戦。

 人生はプラスマイナス。気持ちの持ちようによってはプラスがマイナスを上回るものである。

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2021年12月時点で4号まで発刊。

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私の毎月担当は「日本全国放課後三昧」。
posted by machi at 08:34| Comment(0) | あ〜ほボイルド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月28日

第2837夜:気ままに帰省【田辺(和歌山)】

 秋の風物詩。もう8、9年になるだろうか。私にとっての秋の風物詩は、毎年秋に2回紀伊田辺を訪問することである。熱暑も過ぎ幾分の涼しさが感じられる頃は1回目、2回目は本格的な冬を迎える前にいかにも紀南地方らしいほんのりとした暖かさが優しい時分である。

 私は2010年度から田辺に御縁を頂き、回数の強弱はあれど丸10年は毎年訪問。この数年は年2回が定番。

 田辺ではいろんな夜のお店にお伺いした。美味しい料理もたらふく頂いた。すでに一周している。よって、私の田辺の夜は、19時からが田辺商工会議所。ミッション終了後は愛してやまない<きまま>で打ち上げという黄金ルートが確立されている。

 19時から21時までは会議所にてアヅマ祭り。この数年、恒例である。ブラブラ歩いて<きまま>へ21時半。帰ってきた感ハンパなし。ママも大変だったようだが元気そうで何より。

 ママの店は公務員や銀行関係、団体職員が多い。平時は最高の客筋だが、コロナ禍ではソトノミ自粛を強いられる人種業種。それでも創業31年の実績は揺るがない。

 田辺商工会議所が誇る漢の中の昭和漢、N本氏から前日のメールで<きまま>を予約している旨の連絡を頂いた。

 ミッション終了が21時として、なんやかんやで最短でも21時30分の店入り。コロナ前は当たり前だったこんな時間の居酒屋突撃が極めてシュールで新鮮だ。

 田辺は緊急事態宣言どころかまん延防止も適用されず、呑み屋はフルオープンが続いている。お隣の南紀白浜町は県外ナンバーで溢れているという。

 昭和オヤジのN本氏と爽やかで平成風味なY崎氏の創業ゼミ事務局コンビと生で乾杯。生が染み込むように旨い。


 この店では、生を1,2杯ヤった後は、焼酎のソーダ割。ママ手作りの昔ながらの激烈に塩辛い梅干をつぶさずに1ヶ投下する。この梅干1ヶでジョッキ数杯は軽くイケてしまう。

 事務局コンビやママと談笑しながら、ママの手料理を満喫し、鯨飲する。第1陣は玉子焼、天ぷら、もずく、茄子揚げ浸し、ヒジキ、南瓜煮。どれも微笑こぼれるおばんさい。私のような昭和オヤジの琴線に触れる味である。中休み的なサンドイッチも嬉しい。

 メインディッシュは手作りジューシーで最高のチーズ入りハンバーグ。デミグラスソースが私の中の少年を優しく愛撫する。

 ミニトマトを箸休めに第3弾は太刀魚酢〆、生姜、らっきょ、そして梅干。太刀魚はどなたかから50匹ほど頂いたそうである。他はすべて手作り。おふくろの味、家庭料理という表現は適当ではない。家庭では再現できないプロの味である。

 壁面メニューが一新されていた。毎回メニューなど見ずにママにおまかせするが、じっくり目を通すと実に味わい深い。

 塩さば、もずく、からあげ、ミートボール、たまごやき、ポテトフライ、ハンバーグ、白身フライ。

 子供と大人が好きそうな品が混在している。そのメニューと並列で「パン」「酢のもの」「にもの」「とーふ」とある。これらはメニューというよりカテゴリー。パンと堂々とあるのもシュール。「にもの」など抽象的すぎて禅問答の世界である。

 気づけば時間は24時を大きく回っている。ママに1カ月半後の再訪を依頼。日曜定休だが、明けて下さる。ママは「ショウガマン」を用意しておくと気合が入っている。よく分からないが、楽しみであることだけは確かである。

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壱の陣。

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弐の陣。

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参の陣。

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志の陣。

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伍の陣。

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混在の陣。

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盤石の陣。

posted by machi at 08:03| Comment(0) | 和歌山県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月27日

第2836夜:ファルファルとズキューン【小倉(北九州)】(後編)

 帰神前に小倉駅構内<フジヤマ55>でつけ麺を啜っている際に先生の訃報を知った。

 放心状態で新幹線改札内に入ると、駅弁売場で『キングダム』とのコラボ駅弁が新発売。九州限定という「やまや 騰のファルファル膳」。

 なぜ信でも政でも王騎将軍てもテンちゃんでもなく、騰なのか。ファルファルの意味など原作を読んでいないと分からないだろう(40巻ぐらいまで読んで力尽きている私でもわかりまません)。まあ、ワタクシ、騰のファンですが。

 キングダムはこのペースなら私の存命中も終わらないだろう。ゴルゴはドラちゃんやクレヨン園児のごとく未来永劫続くことが発表され嬉しさも。Gに最終回など必要なし。22世紀になってもスナイパーとして活躍し、ネコ型ロボット(ドラちゃん)とコラボしていただきたい。

 ゴルゴ駅弁を追悼企画として心より希望。先生のご冥福を新幹線車内よりお祈りする。

 自宅晩酌タイム。キングダム駅弁のフタを開ける。大きな明太子がドンと海苔の上に鎮座。その糊には騰の顔が書かれている。原作よりもかなり眼光鋭いが、なかなかの迫力である。

 調整元は「博多いもっ子」様。私にとってはお初である。キングダムとコラボするぐらいだから、かなりの規模なのかもしれぬ。

 この駅弁にはフロクがついている。15種類のブックマーク(要するに、しおり)がランダムに入っているという。

 我がキングダム駅弁には……イカつい豪快そうなオッサンの顔が。麃公将軍だった。これまた激シブと言わざるおえない。

 明太子を塗したじゃが芋と明太子そのまんまに九州やまやの矜持を感じさせる。ウィンナー、ハンバーグなどは中華風でもない。そして、この駅弁最大の謎といえる「どの部分がファルファルなのか」を解明せねばならない。

 原作で騰将軍は敵陣に突っ込む際、独特の剣遣いで「ファルファル」という音を発しながら蹴散らしていく。剣が風を切る音なのだろう。そして、その剣捌きが小さな円を描くように蹂躙していく。スプリングばねのように、五輪マークのように。

 1分ほど眼前の駅弁おかずゾーンをガン視。ふと疑問が浮かんだ。なぜハンバーグはハーフカットサイズ。スパゲティもちょびっと。小さな豚肉が2枚。その中で大き目なイカリングフライが3ヶもあり、異彩を放っている。このフライが重なっている。

 ……。イカリングの重なりで、ファルファルを表現しているのか。大発見である。調整元の真意を私は見抜いた。しかし、問合せる勇気はなかった。たまたまかもしれないからである。

 明太子が抜群のツマミ。酒は、昨晩小倉で買った福岡県のパック酒1.8g。酒を注ぐ杯は、同じ福岡県内の急逝した筑豊飯塚の陶芸作家の湯飲み。福岡トリオである。酒が進むにつれ、私の脳内がファルファルし始めた。

 さいとう先生追悼の気持ちで文庫版の『ゴルゴ13』記念すべき1作目『ビッグセイフ作戦』を寝室で数年以上ぶりに読み返す。ファルファルからの、ズキューンである。

 あまりにもコマ割りが小さく、1コマあたりの文字量も多く、老眼が進む眼には厳しい。まるで昔の絵物語である。自宅に居る際は、毎晩寝る前に最初から1日1冊でなく1日1話づつ読むと誓う。3年ぐらいかかりそうだけど。

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涙のつけ麺。

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惹きが強すぎ。

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フロクもイカつい。

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ファルファル。
posted by machi at 06:38| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月26日

第2835夜:ファルファルとズキューン【小倉(北九州)】(前編)

 世界体操・新体操選手権。東京五輪の余韻がしっかり冷めきった2021年10月中〜下旬にかけて北九州市内で開催された世界大会である。

 大会を約3週間後に控えた9月下旬。小倉入りした私は駅地下で酒やツマミを買い込んで旦過市場へ。世界体操選手権のノボリや吊り下げバナーが華やかで誠によろしい。魚町商店街もびっしり。色目がよく合っている。

 大会を盛り上げるため、旦過市場と魚町商店街を体操がジャック。都市装飾プロジェクトの一環らしい。そういうプロジェクトがあったことを知らなかった。

 魚町商店街は以前から吊り下げバナーやノボリ旗で華やかだたったが、再整備を控えた旦過市場もその環境が整った。吊り下げるための器具を施行補修し、9月17日から市場内の4か所に設置。のぼり旗もビッシリである。

 さらに、9月18日から市場内の協力店にて商品お買い上げの方にオリジナル限定品「旦過マスク」が1000枚プレゼントされた。私ですら入手できない激レア品である。

 そもそも世界体操が北九州で行われることを知ったのが、その1か月前だった。その際は有観客か無観客か決まっていなかった。

 私が北九州入りした2021年9月28日、政府から全国一律で緊急事態宣言が10月1日より解除される発表があった。福岡県内は県独自にまん延防止に移行するかもしれないが、有観客で開催できそうである(9月28日現在)。追い風が吹いている。

 小倉第二の定宿(Cラウンパレス)で小山の皆さまとオンライン会議。栃木(小山)と福岡(北九州)ミッションを1日でこなせるのだから実にアクロバティックといえる。

 旦過市場ミッション終了後、お店は時短営業中ゆえ20時半頃ホテルに戻り、ユニットバスに浸かって晩酌。ニュースを見る。

 この日(9月28日)と翌日(29日)は日本中が狂乱、騒乱、慶賀、希望、そして悲哀に包まれた。

・9月30日で緊急事態宣言解除が正式決定。
・実質の時期総理大臣を決めるイベントである自民党総裁選。
・某アイドルグループのアラフォーお二人がW結婚。同性婚と勘違い多発(私も含めて)。
・台風が近づき気味の中、横綱白鵬関が引退

そして、そして、極めつけが

・「さいとう・たかを先生の訃報」

 先生がゴルゴを生み出さなければ、私は四半世紀もゴルゴ刈(髪型)にしていないだろう。先日もGが「日本人アズマ」を名乗る神回掲載の単行本を入手したばかり。〔次夜後編〕

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魚町もジャック。

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旦過もジャック。

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この第1話が私にとって神回。
posted by machi at 07:45| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする