今回はそのマネージャーであるO口氏のお招きで7月から2か月間、集中的に6回も多治見市に訪問する機会を頂いた。
肌寒い梅雨の金曜の15時前。朝から何も食べていない。駅前のホテルチェックイン時間にはまだある。
何か腹に入れよう。しかし、名物が何か分からない。そもそも名物があるのか。
南口降りてすぐに居酒屋が。「けいちゃん焼」という名物を唄っている。そういえばかなり前に同じ岐阜県中津川市で食べた記憶がある。味もビジュアルもほとんど覚えていないけど。
15時ごろは飲食店の休憩タイム。営業店舗が見当たらない。
数分歩くと「ながせ商店街」に出た。シブい老舗と新たに出店したと思しきシャレた店が混在している。昼飯を喰える店があるのだろうか。
少し歩くと、赤い暖簾が見えた。「中華そば」と唄っている。力強き砂漠のオアシス。しかし、屋号がない……。
よく見ると、壁と同じ色で「鳥竹」とあった。焼鳥屋みたいな屋号だが、冷やし中華始めましたというPOPに日本の夏を感じさせる。
ダイブ。外観はかなりシブい。店内も昭和感満載だが清潔。常連風の熟女が食事中である。
女将と思しき女性がカートでお茶を運んでこられた。イチゲンの私にも笑顔である。
壁面メニューを観る。中華そば600円。20年以上前の良心価格である。
大盛りがプラス150円。そして、五目中華、みそラーメン、カレーラーメンが700円でそれぞれあり、最高値の750円が「天ぷら中華」。……。ラーメンに天ぷらが載っているのか。
一度立ち食いそば屋のラーメンにトッピングしたことあった。微妙だった。しかし、非常に気になる。チャーシューメンがあれば迷わずソレだが、天ぷら中華を冒険する。
『相棒』再放送を斜め見しながら壁面メニューを再度確認。うどん、そば、丼が大充実。暖簾は思いっきり中華そばだが、壁面を観ると4分の3以上がうどん屋メニュー。「ころうどん」という謎のメニューにも心が騒ぐ。
ガラガラとカートの音が聞こえた。ブツ降臨。思わず生唾を飲む。正統派醤油。そして、えび天が一本。圧倒的な存在感である。
中華そばの華はチャーシューだが、ダブル主演といったオモムキか。ゆで卵が嬉しく、メンマたっぷりも嬉しい。ほうれん草も十分にある。
胡椒パラリ、まずはスープ。……。三十数年前にタイムスリップした。濃い目の醤油が切れ味鋭い。麺はストレートの細め。チャーシューも味わい深く脂少なく完全に私好み。
半分ほど啜り終え、天麩羅に挑む。……。出汁を吸って実に旨し。うどん出汁とは異なる味わい。ごはんが欲しくなる魔性っぷりに悶えつつ、気づけば麺1本、汁1滴残さず滅失した。
大満足で店を出る。その正面が<ヒラクビル>だった。私の今夜のミッション先である。「中華そば」の赤暖簾に全集中してしまい、全く気付かなった。

やきものの街に初上陸。

ながせ商店街。

15時。入らずにいられない。

昭和ノスタルジー。

正統派なのに、斬新。

店を出たら、ミッション会場。
(付記)
O口氏はマネージャーではなく、多治見まちづくり鰍フ代表取締役社長だった。それすら分かっていなかった。そんなO口社長曰く、真偽分からぬが岐阜県ではラーメンに天麩羅トッピングは王道らしい。ホントかいな。