2021年05月04日

第2678夜:オヤジたちの最後の牙城【大宮(埼玉)】(後編)

 短尺と串巻は慣れた味。食べやすい。レバと肝は微妙に食感やほろ苦さが異なる。かぶとは複数の頭が串刺しされ中々の迫力。圧力鍋で蒸しているそうで、骨っぽさ皆無。濃厚で蕩ける。

 刮目させられたのは、鰭。ニラと背びれが絶妙のくんずほぐれつ。背びれもトロトロでニラの食感が絶妙のアクセントである。

 1串あたりのボリュームが凄い。蒲焼や白焼よりも遥かに酒が恐ろしく進む。鰻は捨てるところが全くないのだろう。この串焼コースが1700円で楽しめるのだから恐れ入る。

 体が火照ってきた。キンキン冷え冷えのホッピーを追加。ツマミは骨せんべい。サクサクパリパリで絶妙の塩加減。ホッピーもすかさずお替りする。

 最後はうな丼かうな重でシメたいところだが、かなりの満腹感である。いったん店を出てラーメンという選択肢もある。大宮は私の知る限り、日本屈指の激麺地である。

 財布と緊急会議。せっかくの鰻祭。最後まで鰻でいきたい。

 ミニうな丼(1050円)があった。いいじゃないか。ところがさらに下段に目をヤると「うなぎのタレ玉子かけご飯(440円)」が視界に。

 何というB級テイスト。財布に優しすぎる。同じ京浜東北沿線沿いの蕨駅前に鰻屋もタレを使った豚丼を提供して下さるステキな店がある。私のような庶民の味方である。

 程なくして生卵、味噌汁、お新香を従えてブツ降臨。思わず笑みが漏れる。

 まずは味噌汁。五臓六腑に染み渡る。鰻でタルタルになった舌をお新香で引き締める。

 タレかけご飯を頬張る。……。鰻丼の鰻抜きという切なさを感じさせない実力である。タレかけご飯の前にたっぷりと鰻串コースを満喫しているからこその余裕っぷり。この店でタレかけご飯だけを頼む勇気は私にはない。

 後半は生卵をぶち込んで、一気呵成に啜りこむ。鰻屋で生卵を投下することなどないが、タレかけご飯には許される。むしろ、生卵が主役である。最高の呑み〆である。

 大宮で一番好きな店になった。オヤジたちの最後の牙城に再訪を誓っていると、私の右隣の熟女2人組の会話が耳に飛び込んできた。席が近い上に響き渡る声なので嫌でも聞こえてしまう。

 お二人は間もなく還暦らしい。どれだけ不動産を持っているか、外車以外乗ったことがない、海外はどこへまた行きたい、テニススクールがどうこう……。かなりのセレブらしい。

 セレブ2人は私が店に入ってから何も注文していないようだった。お会計は1円単位の支払いで揉めている。ちなみにお二人の合計金額は私1人にも及ばない。セレブ女性がオヤジたちの最後の牙城に本当に来るのだろうか。

 店内のBGMがオフコースの「君が、嘘を、ついた」に変わった。凄いタイミングだった。

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骨せんべい。酒が止まらない。

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鰻の後の最高の〆かも。

(付記)
翌日も再訪してしまいました。
posted by machi at 06:44| Comment(0) | 埼玉県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする