北九州小倉のオオバコ居酒屋で、忘年会シーズンなど関係なく年中予約取れない超人気店といえば<ぱんち松吾郎>。この超弩級の宝店に比するのは、私の乏しい経験値で恐縮だが西日本では長崎の「二見」。東日本では会津若松の「しゃとれ蔵」。
ここの絶品和牛を若松の食肉王・K山氏が納めている御縁で、K山氏が属する若松商店街連合会の皆さまと何度か入店することができた。小倉のお店だが、何故か若松の皆さんとしか行ったことがない。強力なコネが必要である。
そんな北九州最強店ですらコロナで厳しいという噂が漏れ伝わってきた。
2020年ラストの北九州若松ミッション終了後、本来数カ月前に予約せねば入れぬ超絶人気居酒屋の苦境を「察し」、8人でタクシーを分乗してGoTo小倉。
小倉駅前の飲食ビルへ。エレベーターに乗り4階へ向かおうとしたら、1枚のポスターが視界に入った。我らが向かう松吾郎のポスターである。そこには、このように書かれていた。
「宴会コース値上げいたします」
思わず目を剥いた。読み違いかと思い、再度読み直した。「値下げします」というPOPは珍しくない。ここまで力強く「値上げします」と書かれたPOPは初めて拝見する。
値上げを知らせる場合はコソコソと目立たぬよう「申し訳ありません」「私が悪いのではございません」という想いがサイズや字体からにじみ出ているものである。
しかし良く観ると、気づかないほどの小さな文章があった。
「察してください…」
泣きのポスターに想いを深く察しながら4階へ。確かに過去の訪問時より座席に余裕がある。店内が肌寒いのは換気のために窓を少し開けているためらしい。
最初は生で、後は獺祭など超プレミアム地酒や焼酎が呑み放題なので片っ端から鯨飲。料理はおきゅうと、茶碗蒸しに始まり、大トロ中トロ赤身がそろい踏みの鮪刺身大皿、胡麻鯖、熱々のすり身揚げ、巨大な鰆塩焼、そして大量の蟹。
すでに腹いっぱいの中、トドメは鹿児島和牛のすき焼き(うどん付)。数年ぶりに、来るたびに深い感動に溺れそうになる。値上げと言っても煙草2箱以下程度である。
夜も遅い。若松チームはタクシーで帰路へ。私は定宿へ直帰し、深夜のコインランドリー。
私の苦境を察して下さった若松商店街の皆さまのおかげで一生忘れられぬ2020年を何とか乗り越えられそうである。感謝の百乗。若松商店街の皆さまは、私を此岸に繋いで下さる舫である。

察してください。

怒涛の呑み放題。

満漢全席@

満漢全席A

満漢全席B

満漢全席C

満漢全席D

満漢全席E

若松商店街の皆さま、本当にありがとうございます。