ある晩秋の朝。鹿沼の駅前旅館を出て日光線、新幹線や在来線を乗り継いで神田駅へ。
神田はランチ天国である。街の規模といい、魅力的すぎる昼飯の味の多さといい、東京から一駅と思えぬ落ち着きぶりが私の心と胃袋を捉えて離さない。
タフな日々が続いていた。この日は帰神するだけである。ご褒美に贅沢して鰻を喰いたかったが、日和って<神山>というラーメン屋さんに初ダイブ。
特盛(3倍)召還。濃厚ではなくノーマルを選んだが、ちょうど良い浸透圧。分厚いチャーシューも旨し。気づけば1本残らず滅失。〆に割りスープまで堪能。最近、つけ麺にも恋している。
大満腹のまま神田駅に向かうと、駅構内に<崎陽軒>直営売店が。世界一完成度の高いシウマイ弁当の崎陽軒様は、令和2年から横浜でなく鹿沼のイメージ(の予定)。
なぜ鹿沼がシウマイなのか。崎陽軒様の創業者様が鹿沼のご出身という。触るだけで切れそうな細い糸だが、現在鹿沼の飲食店はオリジナルシウマイ開発に勤しんでいる。会議所が仕掛けたのかたまたまなのか存じ上げぬが、鹿沼駅前にシウマイ専門店もオープンするという。
鹿沼と崎陽軒様に愛をこめて自宅晩酌のツマミでシウマイ弁当捕獲しようとしたら「2020オールスターシウマイ御弁当」なる新作を発見。迷わず捕獲した。定番より120円ほど高額だ。
神戸に帰宅後、荷を解いてシャワーを浴び、晩酌の準備。駅前旅館のフロントでご自由にお取りくださいな雰囲気で積まれていた「木のまち鹿沼」という雑なキャッチコピーがプリントされた木製コースターに栃木県内の蔵元のカップ酒をセットする。
オールスターなシウマイ弁当が120円高い理由。通常はノーマル5ヶだが、オールスターは「昔ながらの」「黒豚」「えび」「かに」「きのこ」の5種。今まで意識しなかったが、「昔ながらの」が定番なのか。他のおかず構成は定番と同一。
いつ対峙してもスキのない惚れ惚れする布陣である。どのおかずも酒のサカナに無敵。行木の香りの好もしく爽やかなもち米が凄まじく旨い。これだけで酒のサカナになる。
2020年下半期になって鹿沼シウマイPJが表面化し、シウマイを意識して口にするようになった。餃子と比べたら地味かもしれぬが、非常に奥深い。
私は小ぶりサイズよりも551蓬莱や<串カツJu−so>で開発中の大きなタイプが好み。<中華料理嘉蒂>でも<ラーメン山いち>でもオリジナル焼売を開発中。
令和3年、JR鹿沼駅前にシウマイ像が設置される。それに先駆け、鹿沼産のニラを使ったオリジナルシウマイが発売され、オールスターに加わる日も間もなくである(ような気がする)。

つけ麺。

オールスター版。

通常版。