「大阪ローストビーフ丼」。新大阪駅新幹線改札内で捕獲したローストビーフはもとより肉系駅弁の決定打である。値段は肉系としては最安値に近い850円。パッケージは大阪らしく極彩色。内容の充実ぶりは壮絶だ。
パッケージを外す。ソースは別添である。ローストビーフはソースをかける前と後でビジュアルが全く異なる。タラリと垂らす。ぐっと引き締まる。真ん中にわさびマヨネーズで和えられた牛カルビ焼肉が鎮座している。
ローストビーフでびっしりである。1枚あたりがデカい。早速口に運ぶ。……。柔らかい。噛みしめるほどにあっさりと淡白な赤身肉の旨味が口の中で溢れる。ご飯との相性も抜群。
ご飯も決して少なくなく、むしろ大盛ぐらい。それ以上に肉が多い。肉の海に溺れそうである。ライスが足りなくなるかもしれない。
ワサビマヨ和え焼肉も秀逸。どんな酒にも、パンにも、ライスにも合う。贅沢な逸品である。あっという間に滅失。満足度は通天閣級。これからの新大阪駅弁は「コレ」である。
それから世界が一変。緊急事態宣言解除後の10月。紀伊田辺へ向かう途中に新大阪で乗り換え。は駅弁売場も総菜弁当専門店ゾーンもリニューアル後は素晴らしく充実。前回の大阪ローストビーフ丼が衝撃的にウマかったゆえ、久々に探した。……見つからぬ。
飲食店ゾーンにローストビーフ丼がランチのメイン風な呑み系の店がある。豪快なメニュー写真だ。ところがこのご時世、駅構内かつ丼系なのにテイクアウトできないという。ある意味で時代に逆流する潔さと剛毅が心地よさすら感じさせる。
専門店ゾーン<神戸ビフテキ亭>は驚愕品質なローストビーフ系弁当が大充実。当然実食済。決して高いと思わぬ高品質。しかしこの店の3万円ステーキ弁当に度肝ぬかれる。
この昼はあまり腹が減っておらず、財布とも相談し、特急くろしお車内で軽くカツサンドとペットボトルの珈琲で済ませることに。
新大阪駅は肉系サンドイッチも充実を極めている。私もいろいろお手合わせした。その中でたまたま見つけた「たむら牛カルビサンド」。
「たむら」と大阪で表記された肉料理は、言わずと知れたあの芸人さんプロデュース。私はファンでもなんでもないが試しに購入。理由は一つ。最安値(500円)だったからだ。
約1年ぶりのくろしお。揺れに身をまかせながらPC猿打。和歌山駅を大きく超えたあたりで少し空腹を覚えた。
サンドイッチと対峙。カツサンドは頻繁にお世話になるも、焼肉サンドはあまり経験ない。焼肉を直訳するとローストビーフかもしれぬから、合わぬはずなし。
齧りつく。カルビが思った以上に主張せず、パンと相性が良い。肉系駅弁は冷めるとどうしても難がある。これは充分に旨い。思った以上にボリュームも。小食の人はこれで満腹だろう。私はまだ余裕だが、少なくとも飢餓感よりも満足感と満腹感が遥かに上回っている。
製造者は「一富士ケータリング」。前回感動した大阪ローストビーフ丼と同じ調整元。この会社、要注目である。
新大阪駅はめったに利用することはない。これから無理にでも途中下車するか。ローストビーフ、カツサンド……。肉の密林が生い茂っているのだから。