滑走路の構成は福岡系に特化していない多様性がポイント。北海道、山形、東京、鹿児島などの有名店も軒を連ねている。離発着の多い空港らしく、期間限定店舗が多いため入れ替わりも激しく常にチェックが欠かせない。
この滑走路がいつ竣工したのか存じ上げないが、ある初夏の朝、花巻空港へテイクオフする前にラーメン滑走路へタッチダウン。以降、幾度となく発着陸を繰り返した。

■1番ゲート「花鳥風月」花鳥風月ラーメン
山形県酒田市のワンタンメンの雄である。2015年度に私は酒田へ10回以上足を運んだ。毎回の楽しみがワンタンメンである。
S名誠先生が酒田のワンタンメンはすべての麺類の中で日本一と断言されている実力。私は「月系」によく攻めていたが、花鳥風月は初めてかもしれない。
「花鳥風月ラーメン」のボタンを押す。1050円という価格に怯むが、それだけの価値はある。しかも福岡で啜れるのだからその価値は倍加する。
5年ぶりの酒田ワンタンメンが運ばれてきた。肉と海老のワンタンが3ヶ。まずはスープ。……。あっさりと滋味深い。懐かしさがこみ上げる。麺の喉ごしも申し分なし。そして、ワンタン。
……。まさに「雲を呑む」官能。フワフワのトロトロ。ふと気づけば丼は空に。
店内ポスターは酒田市長がラーメンを啜っている。キャプションが面白い。「実際、撮影時に二杯完食した山形県酒田市ラーメン大好き市長〇〇〇」。私ももう1杯完食したくなった。

■2番ゲート「玉龍」玉龍ラーメン
福岡屋台系らしい。一番シンプルな看板メニュー700円を召還。王道の味。辛子高菜が明太子入りである点がポイント高しである。

■3番ゲート「つじ田」濃厚特製らーめん
行列ができるという東京系の有名店だが、こういった店に並ばずに啜れるのも滑走路の魅力。
つけ麺がメインのようだが、私は普通に汁系で飛びたくて「濃厚特製らーめん」に。
券売機のチケットを店員さんに渡すと「つけ麺じゃないですが、大丈夫ですか?」と念押しされる。私は力強く首肯。店内を見渡すと全員つけ麺のようである。
カウンターに着座して紙エプロンを装着。紙エプロンも自分で首後ろでくくらねばならないペラペラ紙ではなく、そのままかぶることができる高品質タイプである点もポイント高しである。〔次夜その2〕