ある朝の博多駅。前夜に北九州折尾で試した「焼ちゃんぽん」が思いのほか旨く、「博多麺街道」で焼ちゃんぽんの店を探す。しかし、「博多ちゃんぽん」は長崎のように‘汁チャン’。
方針を切り替え、まだ未踏の店へ向かう。4月下旬に新オープンしたらしい<名島亭>で「スペシャル豚骨ラーメン」。券売機ではなく最初にレジで支払うスタイル。
それは良しとして、まさかのセルフサービス。しかもスペシャル、定番の300円増の税込1069円。チャーシュー麺より100円高い。失敗したかとほろ苦い気持ちで辛子高菜と紅生姜をぶち込み、全力で熊啜。ちなみにお味はあっさり。九州ラーメン総選挙2008のグランプリ店らしい。
ある風の強い冬の正午前。麺街道に久々に足を運んだ。数店舗が入れ替わっているような気がした。かなりの激戦である。空き店舗などないところにポテンシャルの高さを感じさせる。賃料は決して安くないだろうが、順番待ちなのかもしれない。
お初の<博多辛麺 狛虎>へ。券売機スタイルでない点も好感が持てる。初めての店ではルールが分からず後ろに並ばれるとプレッシャー甚だしい。じっくり戦略を練りたいものである。
4種類の辛麺から選択。醤油ベース「黒辛麺」、豆乳ベース「白辛麺」、炙りモツみそベース「博多辛麺」、トマトベース「赤辛麺」。どう見ても「黒」が定番っぽいので迷わなかった。
次に辛さを選ぶ。0辛から25辛まで。0辛がベースで辛さが5段階上がるごとに値段が100円上がる。高い金を払って辛さでツラくなるのもバカらしいが、0辛も味気ないので「5辛」で。
麺の量はレギュラーとスモール(3分の2)。ここは迷わずレギュラーだ。ちなみに黒が750円、白が900円、赤が950円、博多が1300円。やはり黒である。
麺は3種類から。そば粉ベースの「韓国麺(太・細)」。定番っぽい「ちぢれ麺」、ストレート細麺な「生麺」。
少し迷ったが「ちぢれ」に。トッピングも色々あったがスルー。その代わりにランチ限定セットが4種。私は高菜一枚葉おにぎり2ヶ(+330円)を召還。
ブツ降臨。なかなかパンチのあるビジュアルである、スープの黒赤、ニラの緑、玉子の白黄。カラフルである。これで5辛なら25辛はどんなに激しいのか。
紙エプロンを装着し、まずはスープ。……。思ったより辛くない。辛さよりも旨みが濃い。汗びしょびしょではなく、じんわりと体内の芯から暖まる。
店員さんにオススメの辛さを聞いたら「みなさま5辛をよく頼まれます」。模範解答通りである。麺の絡みもセクシー。温かな高菜おにぎりのほのかな塩気が食欲を刺激する。
替玉は150円なのだが、平日限定ですべての種類の麺が替玉無料。それも食べ放題とある。今度は「韓国麺(太)」に。
食感が幾分異なるが、スープが強いので一気呵成。さすがにスープは呑みきらんかったが、大満足で外に出る。
何となくだが、デジャブがあった。いつか忘れたが、小倉の鍛冶町か栄町あたりで深夜に同じような辛麺を啜ったような気が……。

九州ラーメン総選挙2008グランプリ。

黒の5辛。
(付記)
世界史の教科書に500年後も太字で記されるであろう激動と1年もあとわずか。麺街道へ令和2年は足を運ぶことができませんでした。その分、福岡空港ラーメン滑走路を攻めました。2020年ラストは年越しそばがわりのラーメンブログで。このバカブログをご笑覧の全人類30名ほどのセニョール&セニョリータ、よいお年をお迎えくださいませ。来年も細々と続けてまいりますので、これからも御贔屓に!皆さま、大晦日イブの夜もご安全に。