2020年11月07日

第2557夜:柳の地底樹海【盛岡(岩手)】

 大ヒレ。豚一頭につき1sしか取れない希少部位だそうである。`1sも‘ではなく`1sしか’である。

 そんな高級そうな部位を白ワインに漬けこみ、メニューに「惜しげもなく」とあり山盛りトッピングされているが、実物は惜しむようにひっそりだった白味噌仕立ての逸品が「大ヒレ玉ねぎラーメン」である(と書かれている)。

 盛岡どころか岩手ラーメン界を席巻制覇している<柳家>さん2015年夏時点のイチオシっぽいメニューである。

 キムチ納豆ラーメンという神戸人の私だけでなく全国一般的に勘案してもキワモノ的存在が看板商品だが、その系列店や支店、暖簾分け店の増殖は留まること知らず。我が宮古にも魚菜市場近くに<清兵衛>がある。

 基本のキムチ納豆以外に店舗限定メニューも豊富。しかもかなりアナーキーである。まさにラーメン界の抜け出せない樹海のごとき魔力を秘めている。「それ、本当に美味しいの?」と疑問を挟みたくなるが、試さずにはいられない惹きの強さを放っている。

 聖地(本店)に潜入したことはないが、盛岡駅地下フェザン店は朝10時オープン(2015年当時)なのでバスの待ち時間に重宝している。メニュー表にある定番(定番にしてはかなりポップなラインナップだが)以外に期間限定やコラボ系も数多し。

 私も神戸市民なのに頻度が高い時は隔週の割合でフェザン店で啜っているが、そのたびに新作に出会っているような気がする。まさに「柳の樹海」といえる。

 キムチ納豆を最初啜った時は匂いから絶句。ところが、かなり印象に残る。時が立つほど気になり、無性に啜りたくなる魔性ぶりである。

 これにレアチーズを入れた爆弾メニューにはさすがに轟沈したが、個性的な担々麺「こまち」、甘目のスープに背脂が効いた「はやぶさ」という東北新幹線便乗メニューには刮目させられる。

 前述の大ヒレ玉ねぎラーメンもポタージュのごときトロミで、和風でありながら中華でどことなく洋風の下地も。メニューをよく読むと。我がトラウマのレアチーズを隠し味にしているとのこと。レアチーズはラーメンにとって隠し味であり、メインを張るものでもないと強く確信している。

 驚愕のラーメンコミック『ラーメン大好き小泉さん』でさりげなく(主人公の一言セリフだけで)この店の「レアチーズ」に触れている一コマがある(店舗名は出ていないが、確実に<柳家>さんと推測できる。私もその影響で啜ってみたのだが(2夜前にご紹介)……。

 この店に臨む際、ある程度今日はこれで勝負しようと決めてから暖簾を潜る。しかし、張り出された限定メニューを見ると、我が心のラーメンコンパスが狂う。矢印が定まらない。心かき乱される。まさに盛岡駅の地下に妖しく広がる「柳の生い茂る樹海」である。

201107柳家D.jpg
<柳家>再起を祈念した4夜連続の3夜目。
posted by machi at 07:34| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする