春菊天そばのボタンを押すつもりが、期間限定っぽいミニタルタルかつ丼セット660円。もちろん温かいそば(かけ)。
1分ほどで拝受。寒いので七味を多めに。ちなみに西日本は一味。東日本は七味が多い気が。
出汁。……。パンチ弱いが、和風のそば(うどん)出汁が恐らく3カ月ぶりぐらい(外出自粛等)。しみじみ旨い。蕎麦はかなりの本格派。ごまをすって風味をアレンジ。
麺を啜り切り、残った出汁は吸物代わりにミニタルタルかつ丼に挑む。タルタルは控えめに添えられている。カツは3切れ。ちなみに豚肉。チキンカツのタルタルは何度も経験済だが、トンカツのタルタルはあまり口にした記憶ない。
ミニとはいえ、ライスは大盛めしほどある。まずはタルタルしていないカツ。タレがほのかに効いている。
今度はタルタルをたっぷり。……。思わず目を細める。口角が上がる。ライスを追いかける。喉をグイグイ押し広げる感覚が心地よい。気づけばあっという間に完食。
それから2週間後。宇都宮駅構内で70分待ちを余儀なくされる。新幹線改札内コンビニで珈琲捕獲し待合室でPC。昼飯は<いろり庵きらく>ではなく未だ見啜の駅ホーム<野洲そば>へ。<野洲そば>は駅そばらしくない11時オープン。故にタイミングこれまで合わず。
宇都宮駅構内は<いろり庵きらく>が改札内外に2か所、<野洲そば>が在来線ホームに一か所。計3か所である。駅構内を出ると、私には立ち蕎麦屋を発見することはできなかった。
時間は13時過ぎ。いそいそと向かう。券売機はタッチパネル。メニューはオーソドックスだが、小山駅ホーム<きそば>の昭和レトロ感は他の追従を許していないことを思い知らされる。
立ち蕎麦で最も私が惚れているメニュー「かき揚げ+玉子」そば。定番中の定番である。500円投下し、ボタンを押す。30円お釣りが出る。
1分ほど待つ間にウォータークーラーからコップに水を灌ぐ。喉を湿らせると着丼。七味をパラリし、まずは出汁。……。パンチのある濃いめ。関東そばは濃い口醤油&かつお節が濃厚で、西日本系から離れれば離れるほど旅情が増す。
蕎麦はコシがあり、本格的すぎる一歩手前でバランス良し。かき揚げは作り置きだが、その方が揚げたてよりも出汁を吸うので美味し。
半分ほど啜り、黄身を潰して絡める。これぞ立ち蕎麦の醍醐味。マイルドな食感に官能で震える。汁1滴残さない熊啜。これから宇都宮駅で立ち蕎麦啜る際は時間さえ合えばここ一択。
そう心に決めて「ごちそうさま」と食器を返却した瞬間、店員さんの作業着の胸に「いろり庵きらく」の文字が。
……。少々混乱しながら日光線ホームへ向かう。そもそも何故「野洲」なのか。野洲駅と言えば滋賀県。まあ、闇の深さの味のうち。淫靡なスパイスである。

「期間限定」「タルタル」という字面に弱い。

いいんじゃないでしょうか。

なかなかの風格。

これぞ関東系駅そば。