東日本大震災から9年目を迎えた日の午後。信じられぬほどガラ空きの新幹線で新横浜駅へ。横浜線ホームで20分待ちゆえ、駅ホーム<濱そば>でかき揚げ天玉そば。安定の組合せである。
私が都内で他人様と呑むのは八王子だけ。それも何のミッションもなくただ呑むためだけに。ギャラを貰わねば基本的に1oも動かぬヨゴレまちづくり屋の私が自腹で足を運ぶのも、自分でもよくわからんが何故か八王子だけ。私のようなヨゴレに呑みにおいでよとお誘い頂けるだけでS木会長に感謝である。
会長がわざわざホテルまで迎えに来て下さり、まずは<海賊船>に乗船。ここは旨そうなメニューが安くてびっしり。全部注文したくなる。程なくしてU本氏合流。梅M氏の新型コロナの商売への影響はドン引き級。呑まないとやってられないだろう。心中お察しする。
炙り〆鯖は目の前でバーナーで焙る見事な演出。蛍烏賊も噛みしめるほどに旨味が溢れる。私はこの店3回目のはず。必ず注文するのが鮪の刺身。こぼれんばかりにたっぷり。確かエベレスト盛りだったかチョモランマ盛りだったか。
鯨の竜田揚げ、フィッシュ&チップスも熱々のサクサク。酒が進む。豆腐ステーキには刮目。これほど豆腐がこってりと旨く化けるのか。
市役所の職員には現在戒厳令が布告されているようで呑みに行ってはいけないらしい。そんな戒厳令の夜にレジスタンスとしてU奥氏が合流。嬉しい限りだ。
気づけばホッピー12杯(たぶん)、ワインボール3杯、出汁割焼酎……。この出汁割焼酎、「昔懐かしい」とキャッチにあったが、懐かしいどころか全く新しい22世紀の味。2020年現在ではあまりにも前衛的である。
5時間呑みっぱなし。しゃべりっぱなし。会長にお礼を申し上げ、U本氏とU奥氏でさらにもう一軒。新型の影響で人通りはかなり減っているらしいが、それでも十分に賑やか。夜の街はポン引きで大賑わいである。
ポン引き氏たちの軽妙トークをかいくぐりながら向かった先は2階にある<シラサキBar>。マスターは福井出身らしく、両氏とも知り合い。
今日の八王子は夏の暑さ。ジントニックとバーボンソーダで火照った心を冷ます。カリッとパンを温め直せる機会に驚嘆。3万円ぐらいするそうだが、思わず欲しくなる。まあ、買っても年に1回も使わないだろうけど。
深夜1時を回った。八王子にはご当地ラーメンがある。その名も「八王子ラーメン」。カップ麺として見かけることもある。刻み玉葱のトッピングが特徴である。ただし刻み玉葱は地元人にも賛否があるらしい。
ラーメンで〆ねば私の夜は終わらない。八王子はラーメン激戦区。地元人が好む店に何も考えずついていくのが最も優れた戦法である。
向かった先はホテルからほど近い<一麵>。店の外で啜っている御仁がいる。超満員か……。ところが、スっと入れた。普段は行列必至らしい。かなりの幸運である。
私はネギチャーシューメン召還。談笑していると、仕事終わりのポン引きがひっきりなしにご来店。後3分遅かったら入れなかったかもしれない。
ブツ降臨。ネギたっぷり。その下に刻み玉葱が沈殿。チャーシューもたっぷりと潜んでいる。
胡椒をパラリ。まずはスープ……。呑み〆最強系である。ネギと玉葱の爽やかな辛みが舌を洗う。スープな濃厚な濃い口醤油。ストレート麺とのカラミも良い。チャーシューはモモであっさりと私好み。バラチャーシューメンは別にある。見事な使い分けである。
途中から談笑も辞めて一心不乱。汁一滴残さず全力フィニッシュな深夜1時半である。
翌朝。駅に向かう途中、どこかで朝ラーしようとした。駅前には24時間営業のH高屋やF士そばがある。ラーメンではないがM屋の新作丼(ガリたま牛めし)も旨そうだ。
キョロキョロしていると、あるバナーが視界に。「あなたのみちを、あるけるまち 八王子」。
私は日本中でラーメンを啜り、深夜まで酒友たちと鯨飲し、漆黒の業界でもあるまちづくりという修羅の道を歩き続けるだけである。

新横浜駅ホームにて。



海賊船の絶品メニュー。


謎の出汁割り焼酎。

毎年ありがとうございます。

2軒目のバーにて。

普段は行列必至という。

泣けてくる旨さ。