2020年06月08日

第2462夜:熊汁【宮古(岩手)】

 ジビエ。畜産ではなく狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を意味するフランス語である(らしい)。特定の宗教に帰依しない限り、一般的には牛・豚・鶏が3大メジャーだろう。地域によっては羊・猪・鹿も頻繁に口にすることがあるかもしれない。

 ある1月上旬の夜。埼玉県春日部市から岩手県宮古市へ直行後、末広町商店街<りあす亭>へ。翌日の神事・黒森神楽の舞台設営をしていた。皆さん、慣れたものである。よって我がミッションは、商店街の皆さまは客席で、私だけが畳が敷き詰められた演台座敷で。

 微妙な感じだったが一応の令和2年初の宮古ミッション終了後、9人で久しぶりに<暖>へ。

 何故か保温ポットがなく、焼酎湯割のための湯が普通のプラスチック容器なのがかなりツラかったが、料理は旨くて安い。人手不足らしく「時間がかなりかかります」という割には配膳もスピーディー。餃子もニクニクシイ。刺身の鮮度も良く、餃子も肉汁溢れるジューシーさだ。

 オススメ手書きボードに気になるメニューがあった。「熊汁」である。ジビエの代表格かもしれない。日本中を放浪している45歳アヅマだが、熊肉はこれまで一度も口にした記憶がない。缶詰ですらない。生肉など観たこともない。

 何かの漫画かエッセイで熊の手が旨いと書いてあった。果物などをその手で剥ぐかららしい。本当だろうか。宮古の商店街の皆さまと9年間呑み続けているが、熊肉が話題になったことはないように記憶する。

 オススメな「熊汁」に初めて挑む。談笑していると、ブツ降臨。小鍋かと思いきや、大き目な味噌汁の椀サイズだった。

 まずは出汁を啜る。……。何というか、初めての風味である。かなり濃厚なコクがある。そして、かなり旨い。しかし、どこに熊肉が入っているのかわからない。どこかにまぎれこんでいるのか。熊汁というより、きのこ汁である。しかしきのこだけではこれだけの旨味と濃味は出ない。

 わずかな肉片らしきものがあった。口に運ぶが、小さすぎて味が良く分からない。しかしほんの小さな肉片でこれほどの旨味を醸し出すのだから、肉が多すぎると逆にしつこすぎるのかもしれない。ちなみに、何熊なのだろうか。宮古ならツキノワか。ヒグマは北海道だろうから。

 熊汁を味わい続ける。熊のような体型の私の右隣は、熊に勝てると豪語するS香親分。熊殺しを自称する親分の隣で味わう妙味。ただし親分は熊も道着を着て爪を切ることが条件らしい。……。熊に道着を着せることができ、熊の爪を切れるヤツがいればそいつが世界最強である。

 2軒目は当然<myフレンド>へ。新年早々熊殺しなS香親分のカラオケを数年ぶりに聞けるシアワセ。M井氏のビブラート効きまくりなムード歌謡も毎回ながら圧巻。アヅマハイボール(超濃いめのメガサイズ)を痛飲しながら楽しいときは過ぎる。

 最後はS香親分と2人で<エルアミーゴ>へ。ギネスをヤっていると、S香親分の長年の知人である県議ご夫妻がカウンターに。私は初めてなのでご挨拶する。

 県議先生のポスターを何度か目にしたことがある。そのお写真はたまたまかもしれぬが毎回1gも笑みを浮かべない鋭い眼光。宮古の街なかにはマタギのごときオヤジばかりである。

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舞台設営。

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妙なポジション。

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熊汁。

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<myフレンド>にて。
posted by machi at 08:24| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする