「特製おつまみ弁当『祭』」。東京駅改札内で最も賑わっている日本各地の有名駅弁を網羅した売場<祭>で捕獲した至極の逸品である。調整元は<大船軒>様。この調整元に外れナシ。
おかずの割合を増やしたおつまみ系駅弁を私はこれまでかなり実食してきた。ド定番は天下の<崎陽軒>「シウマイ弁当」だろう。シウマイのみを捕獲するとさらにオツマミ度が増す。
この「祭」はその究極かもしれない。新幹線で呑みながらじっくり楽しもうとしたが、急ぎPCせねばならず自宅に持ち帰り、超古代文明の謎を大きなお世話的に解明しようとするドキュメンタリーを観ながら思う存分満喫した。
15マスに区切られている。それぞれに15種類の料理が収められている。フタを開けた瞬間、ツタンカーメン王墓を発掘したカーター氏の気分が十分に理解できた。宝箱である。
無秩序に箸を伸ばしてはならない。食べ順という名の軍略が極めて重要である。ウィスキーをグビグビやりながら、普段の仕事では考えられない集中力を発揮する。
1の矢:「三浦ひじきと油揚げの煮物」
2の矢:「三種の煮物(高野豆腐・人参・椎茸)」
まずは煮物から初陣を飾る。ひじきもブランドっぽく歯ごたえ充分。煮物はどれもよく出汁が染み込み、酒をグイグイ進ませる。
3の矢:「玉子焼きと紅白蒲鉾」
ここで歯ごたえを楽しみたい。玉子焼きは甘目だが、蒲鉾が何もつけずとも旨い。小田原の蒲鉾は私的に日本一。調整元は神奈川なのでゆえに蒲鉾にも凝っているのか。
4の矢:「牛肉とごぼうの甘煮」
5の矢:「ラタトゥイユ」
6の矢:「キャロットラペ」
サラダがわりの野菜陣に挑む。ごぼうの甘煮はチョビチョビ味わうとどこまでも酒が呑める実力。ラタトゥイユはズッキーニなどのトマト煮。洋風の不意打ちが嬉しい。キャロットラペは何か分らぬが、人参を甘目に味づけ。カットチーズのトッピングに微笑させられる。
7の矢:「炙り〆鯵と紅白なます」
ここで魚系に。酢のもので少し甘くなった舌を引き締める。サバではなくアジである点もこだわりを感じさせる。
8の矢:「竹輪の磯辺揚げ」
揚げ物は竹輪。この一角だけ醤油が入っている。チョロチョロとかけて噛り付く。絶妙の味づけ。冷めてもこれほど旨いとは。2ヶ入りも嬉しさを倍加させる。
9の矢:「枝豆と鶏肉の梅肉和え」
10の矢:「鶏団子の甘酢餡」
いよいよ肉である。まずは鶏料理2種。枝豆&鶏肉はチビチビつまんで酒の勢いをつけるべし。鶏団子は一口で。口いっぱいに旨味が広がりシアワセの海に溺れそうである。
11の矢:「鎌倉ハムのポテトサラダ」
ただのポテサラではない。鎌倉ハム入りである(よく分らぬが)。お惣菜感から一気に「洋食感」に確変する。ソースをかけても旨いだろう。
12の矢:「豚肉の黒胡椒塩炒め」
メインディッシュと位置付けた。これも凝った味づけである。噛みしめるほどに旨味があふれ出す。
13の矢:「鯖の塩焼き生姜の甘酢漬け添え」
14の矢:「小鯛の一口ちらし寿し」
まずは小鯛を口に運ぶ。上品な酸味が好ましい。そしてちらし寿しを一口。鯖の塩焼きも脂がのり絶妙の塩加減。口内がしょっぱくなったところでちらし寿しで追いかける。思わず目を細める。生姜のシブいアシストを見せている。
最後の矢:「グリ茶の羊羹」
私は普段絶対に羊羹を口にすることはないが、駅弁に入っているスィーツはこれも含めて一つの完成された小宇宙。口に運ぶ。……。ほろ苦いオトナの甘さ。フィニッシュに相応しい。
15ゾーン、どれも手抜きなしの本格派。この1箱で90分以上持つ。その間にウィスキーがボトル半分以上空いてしまう。まさに「一人祭」。大満足である。
東京駅の<祭>には他にも駅弁というより、完全な「おつまみ」(おかずのみ)が異彩を放っている。「大相撲やきとり」はこのバカブログでも紹介した。
「鳥つくね棒カツ」も<大船軒>様の作品。棒状のつくねをフライにし、特製ソースを垂らして頬張る。冷めても旨い。缶ビールのお供に好適。大きめが2本なのでボリュームも良し。
シュウマイ単品は崎陽軒様の専売特許でもなさそうだ。同じ神奈川県の<東華軒>様の「駅弁屋のシュウマイ」は12ヶ入り。醤油&辛子に浸しながらチョンチョンつまむ。どんな酒にも合いそうだ。私は自宅で楽しんだが、我がオリジナル「ウスターソース&豆板醤」という組み合わせも自画自賛。
酒を呑まない(呑めない)時は肉系などの単品ガッツリ系、のんびり酒を呑める時はおかずたっぷしオツマミ幕の内系。皆さま、駅弁ライフをご満喫あれ。自宅でも楽しめることを保証いたします。

2018年3月実食。

充実の15マス。
posted by machi at 07:49|
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