2020年02月01日

第2370夜:Oeuf mayonnaise【宮古(岩手)】

 Oeuf mayonnaise。何のことかさっぱりわからないでしょう。Mayonnaiseは強引に発音してみたらピンと来るかもしれない。しかしOeufがピンとこないはず。もしピンと来れば、貴方は少しヘンな人かフランス語が堪能な方、もしくはフランス人である。

 ある晩秋の宮古の夜。中央通キャンドルストリートの撤収作業もスピーディに完了。3連泊中の2泊目の夜19時過ぎ。中央通商店街S本姐さんと商店街内<ラターシュ>へ足を運んだ。

 この店はオープンして約9年。私も多いときは月1回ペースで足を運んできた。ただしほとんどが深夜24時過ぎの泥酔状態。ずっとスタンディングバーと思い込んでいた。

 当夜、一軒目だったため当然空腹である。何か腹に入れようと初めてフードのメニューを観た。ナッツかチーズぐらいしかないだろうが、何か腹に溜まるものがあればそれで良い。

 そんな雑な気分を吹き飛ばす充実したメニューの数々。アルファベットと日本語が併記されているが、そのアルファベットが読めない。マスターに何だこれはと問う。フランス語という。

 この店、フランス料理のビストロだったらしい。全く気付かなかった。改めてよくメニューを観ると、確かにそれっぽい。しかし、それっぽいとしか表現できない。私にとってフランス料理など冥王星よりも彼方の遠すぎる存在だからだ。

 よくわからないのでマスターに料理は任せる。「呑兵衛セット」というフランス料理から海王星ほどに離れた名称を作ってくれた。呑兵衛とあるが、ドリンクがセットなわけではない。1枚の皿に酒が進みそうなツマミが色鮮やかに花を咲かせている。

 サンマを酢締めしたもの(マリネというのか)。豚タンらしきものの上に自家製っぽいタルタルソースがたっぷり。ピクルスっぽいもの。ハムっぽいもの。焼鳥っぽいもの。

 マスターから説明を受けた1秒後には忘れている。どれもフランス料理らしい。途中から外国産の黒ビールに切り替えた。実に芳醇。外国産の黒は冷やさなくとも旨い。

 そして、最も気になるメニューが冒頭の「Oeuf mayonnaise」。日本語は「ゆで卵のマヨネーズ掛け」。

 ……。ジョークなのかと問いただす。自信たっぷりにポピュラーなフランス料理といって譲らない。……。まあ、外国人がライスボールを日本料理ですと説明されたようなものか。しかも、1人分しか作れないという。それほど人気なのか、誰も頼まないのか。

 神戸人の私は角打ち(酒屋の立ち飲み)のツマミでゆで卵を好んでいた。今でも酒の肴としてよく口にする。しかし、宮古人はその習慣なく、居酒屋のマスターに大津波の年にゆで卵をリクエストしたら全員にドン引きされた記憶が蘇る。

 ゆで卵のフレンチが降臨。……。半分に割られ、自家製らしいマヨネーズと黒コショウが掛かっている。……。マヨネーズが自家製という点さえ除けば、自宅でも余裕で再現可能だ。しかし、この料理には正統な食べ方がある。ナイフとフォークである。

 このバカブログをご覧の紳士淑女。ご家族や恋人の前でぜひこのフランス料理をナイフとフォークで。決して尊敬されずに「バカじゃないの」と一笑に付されるだけになりますが。ちなみにご自宅で一人で実践すれば、情けなくて涙流れるままになることを必至である。

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ナイフとフォークでいただきます。

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呑兵衛セット。

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ベルギーの黒ビール。

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半熟が絶品。

200201宮古ラターシュD.jpg
読めません。
posted by machi at 09:21| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする