ある昼。八戸に滞在していた私は三沢空港へ向かおうとホテルをチェックアウトした際、濃霧のため使用機欠航メールが携帯に届いた。その日の20時までにどうしても東大阪市に辿り着かねばならない。急ぎ路線検索すると、八戸から東北新幹線に飛び乗り、東京で東海道新幹線に乗り換えれば間に合いそうだ。
ルート切り替えを即座に選択し、八戸駅へ向かう。中心市街地から路線バスで約30分。新幹線発車6分前に到着。猛ダッシュで緑の窓口へ。かろうじて間に合った。これを逃すと1時間待ち。夜のミッションにも間に合わない。
車内で安堵しつつPC猿打していると、3時間で東京駅到着。乗換時間は20分。東海道新幹線18番ホームに向かう。駅弁を捕獲するか駅そばを啜るか5秒ほど迷ったあげく、駅そばを選択。私は関西人なので昆布系薄口醤油出汁透明を愛しているが、何故か無性に鰹節系濃口醤油出汁漆黒の関東系を啜りたい気分だった(それから数年。今やすっかり虜です)。
東京駅ホーム唯一の駅そばが目の前に。<東京グル麺>の券売機前に佇む。この店の看板メニューは「カツ煮そば(570円)」だが、私は季節や期間限定商品にすぐ惹かれてしまう。「季節のかき揚げそば(480円)」のボタンを押した。
出てきたブツのかき揚げはアサリたっぷり。出汁を啜る。キュッとノドが閉まりそうな東京系の王道。かき揚げがモロモロと出汁に崩れ、油膜が広がり、蕎麦に絡みつく。無我夢中で熊啜。
季節のかき揚げそばでエネルギーを注入し、20時からの東大阪布施ミッションも無事完了。神戸市内の自宅に辿り着いたのは深夜1時。大移動の疲労もあってかベッドで泥眠する。
翌朝。今度はまさにほぼ逆ルートで三陸宮古へ向かうことに。伊丹空港から花巻空港へ向かう飛行機がすべて満席。神戸から新幹線で東京へ。東北新幹線に乗り替えて盛岡へ。盛岡からバスで2時間15分かけて宮古へ。9時間の長旅である。
東海道新幹線が18番ホームに入線した。降りると、目の前に<東京グル麺>が。これも何かの導き。券売機で「カツ煮そば」のボタンを押す。まさか2日連続で啜るとは。
カツ煮そばは立ち蕎麦の中でも最強クラスのボリュームとコスパである。これに匹敵するのは我孫子駅ホームの唐揚げそば(2ヶ入)ぐらいか。
玉子でとじられたカツが鉢に浮かぶ。出汁がさらに濃厚になり、甘さも増している。衣が剥がれ落ちるカツに齧りつく。蕎麦を啜る。出汁を含む。シアワセのコンチェルトにうっとりしながら、我がスケジュール管理のアホさ加減に激しく落ち込んだ。

季節のかき揚げそば。

まさに必殺。かつ煮そば。
(付記)
このバカブログをご笑覧の全銀河30名ほどの紳士淑女の皆さま、令和元年も誠にありがとうございました。大晦日といえば、年越しそば。よって令和元年ラストは3年以上前に書いて死蔵していた蕎麦ネタで。皆々様のさらなるご多幸を心より祈念申し上げます。よいお年をお迎えくださいませ。令和2年も御贔屓に!