2019年09月23日

第2283夜:ゆかたの流儀【春日部(埼玉)】

 ゆかたでナイト2019。春日部駅東口から徒歩すぐに揺蕩う古利根川のテラスで開催される仲町商店街真夏の風物詩である。2019年度は8月2日から4日の3日間開催された。私は最終日の4日に足を運ぶ機会を得た。

 西口駅前に聳える我が定宿に荷物を預け、東口駅前で休日にも関わらずご対応して下さった春日部市役所のT口氏と&M田氏と合流。酷暑の中、申し訳ない気持ちと感謝でいっぱいだ。思いっきり休みモードでくつろいでいるチョッキもいた。

 日中は激しい酷暑である。日は蒼天から徐々に傾き始めているとはいえ、引くほどの西日。汗が噴き出してくる。

 会場である川べりに到着。17時スタート。暑いとはいえ、幾分涼しげな風が頬を弄る。飲食・物販ブースやワークショップブースもある。プロジェクションマッピングも放映される。

 東口商店街連合会の会長様からスタッフにしか配布されないという極上のウチワを賜り、仰ぎながら東口商店街の若手メンバーたちが展開している屋台を物色。まずはキンキンに冷えた生ビール。毛細血管まで爽快さが染み渡る。

 ゆかたでナイトゆえ、商店街メンバーら出店者たちも小粋におしゃれに浴衣を着こなしている。来場者も浴衣を着ている方が多め。実に風情がある。

 私は上半身がポロシャツ、下半身が作業ズボン、靴は革靴という冴えない格好だ。自宅に浴衣は2着ほどあるはずだが、持参しようという発想が荷造り時点で1gも思いつかなかった。7泊8日の東日本縦断中で、荷物を極力減らすことしか考えていなかった。無粋である。

 日が沈んでくるにつれ、暑さも和らぎ川風がますます心地よくなる。屋台にガールズバーが出現していた。看板をよく見ると<GIRL’s ba BAR>。浴衣を着た美魔女たちにモヒートを作って頂く。ニヤリとさせられる屋号である。

 商店街メンバーたちと談笑し、生ビールなどを楽しむ。私は岩手県宮古市から直行かつ、7泊8日出張の最終日だったゆえ、ほんのわずかだが疲労を覚えた。涼しいところで座りたくなってしまった。

 ゆかたでナイトマップ持参、またはゆかたで来店すると東口商店街の7店舗で割引や各種サービスを受けることができる。とりあえず駅方面へ向かう。どこかの居酒屋に飛び込もう。

 私はいったんホテルに戻り、ゆかたに着替えようかと思った。旅館(ホテル)のゆかたは温泉街でもない限り決して街歩きできるようなデザインではない。しかし、こんな夜でないとゆかたを着て街歩きする機会もない。

 ホテルのゆかたのデザインを思い出そうとした。……。思い出した。バスローブだった。

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川べりで少し涼しい風が。

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毎日通いたくなるバー。

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いつもありがとうございます。
posted by machi at 09:35| Comment(0) | 埼玉県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月22日

第2282夜:清次郎の回転寿司【盛岡(岩手)】

 <清次郎>。盛岡駅フェザン地下で圧倒的人気を誇る回転寿司屋である。

 回転寿司と書いたが、その概念を22世紀までぶっ飛ばした天晴ぶりに大人気もうなずける。盛岡駅を頻繁に利用している私だが、2019年夏までこの回転寿司屋に足を運んだことはなかった。

 盛岡駅構内は正規の駅弁売場以外の、専門店ゾーンの駅弁が抜群に充実している。中でも<清次郎>の充実、コスパぶりは他の追従を許さない。私が盛岡駅で駅弁を捕獲する際、この数年は真っ先に清次郎売場に足を運んでから戦略を練るほどだ。

 ある夏の日の11時過ぎ。宮古市末広町商店街S香親分ご夫妻とフェザン内で昼食をご一緒することに。ご夫妻が向かったのが<清次郎>。ボックス席に陣取る。

 回転している寿司も旨そうだが、ボードに書かれているオススメメニューが煌めいている。ビールや日本酒をやりたくなるが、私は埼玉県内でミッションを控えた身。親分も車を運転せねばならない。よって回転寿司屋でしか見かけない粉茶だ。

 最近の回転寿司屋はタッチパネル式が多いようだが、この店は板前さんや店員さんに直接リクエストするストロングスタイル。握っている姿も拝見できる。このスタイルの方が寿司屋に来た感が高まる。特にマグロ系が充実しているという。

 今まで清次郎はテイクアウトしか利用していなかった。魚屋直営。当然のごとく絶対に外さないであろう期待が高まる。

 海老の頭の味噌汁からスタート。味噌汁や吸い物だけでも数種類。海老の風味が香ばしい。これで130円だから恐れ入る。

 ねぎとろが回転してきた。かっぱ細巻の上にこれでもかとこぼれながら乗っている。これだけで十分な酒、じゃなかった粉茶のツマミになる。

 赤身・中トロ・大トロの3貫盛り、ヅケ鮪、煮穴子、鯵・烏賊・鮪の3貫盛り、落涙必至のなみだ(わさび)巻、ホタテ、ボタン海老……。

 ネタもシャリも大きめで、圧倒的な鮮度である。どんな回転寿司よりも、どんなパック寿司も叶わない。

 私が通っている寿司屋は神戸新長田の<寿し天>と年に1回程度のお楽しみである宮古の<若尾>しかないが、もはや回転寿司という概念をぶっ飛ばしている。専門店と回転寿司の優劣を比較することがアホらしくなる充実ぶりだ。

 店内はあっという間に満席に。行列すらできている。寿司で満腹になるシアワセと、酒を我慢せざるおえない切なさを両方噛みしめる。

 回転寿司の魅力は値段の安さもあるが、決して専門店だから高いというわけではなく、ネタによっては回転の方が高いんじゃないかと思う夜もある。一人でイチゲンでもフラリと入れる。これが私にとっての回転寿司最大の魅力。ぜひ再訪しよう。今度は酒を呑みながら。

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海老の頭の味噌汁(130円)でファンファーレ。

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こぼれるねぎとろ。

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オトコ涙の山わさび巻。

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極上の3貫・その一。

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極上の3貫・その二。

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穴子もフワフワ。

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ヅケまぐろも感涙。
posted by machi at 12:29| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月18日

第2281夜:ロマネ・コンティのブランデー【宮古(岩手)】

 『ロマネ・コンティ・一九三五年』(文春文庫)。文豪・開高健先生の名作短編集である。

 ロマネ・コンティといえば超高級ワインの代名詞(私の中ではですが)。毎夜安酒を鯨飲している私はロマネ・コンティなど当然呑んだこともお目にしたこともない。そもそも基本的なワインの知識すらない。

 ある日中の蒸し暑さが幾分和らい盛夏の夜。宮古市中央通商店街のS本姐さんと中央通にある開店10周年を迎えたバー<ラターシュ>へ。

 オーナーのY田氏は私のほぼ同い年でフランス(サッカー)かぶれ。大津波直後に宮古に赴任した年から毎月とはいえないが通っている。

 ラターシュも大津波で大被害を被ったが、4か月後に復活。訪れるたびにお客が増えている気がする。オーナーの人柄と居心地の良さゆえだろう。

 周年を祝うものは何も準備していなかったので、店で一番高価なスコッチを注文。「ラガブーリン」という16年物で、1杯1600円。チビチビと味わう。ちなみに私が一番好きなスコッチはラフロイグ。最安値の10年モノ以外口にできないが、それでも1000円近くする。

 オーナーが秘蔵の瓶を取り出した。周年を記念して常連に振舞っているという。ブランデーだった。しかも、ロマネ・コンティのブランデー。1989年とラベルにある。30年モノだ。

 1本いくらするのか。オーナー曰く「う〜ん、25万か、50万……。100万ぐらいかな!」。

 要するに、格安で譲ってもらったか何かで本人もよく分かっていないということである。

 グラスに少し注いで頂く。ブランデーとはいえ、人生初のロマネ・コンティ。冒頭で紹介した小説は20年ほど前に読んだが、内容は失念。開高作品は宝石のごとき芳醇な日本語の世界が展開する。大学生の頃よりも、中年オヤジの今こそ再読すれば味わいはさらに増すはずだ。

 「ロマネ・コンティ・一九八九年(のブランデー)」に口をつける。……。それほどブランデーを呑みなれているわけでないが、思わず目を剥いた。文豪のように煌めくような表現は何も思い浮かばないが、はっきりと違う。何が違うのかも表現できないほど、違う。

 お客がどんどん入ってくる。ロマネのブランデーを堪能し、店を出る。二夜連続<myフレンド>へ。ママが慣れ親しんだジャパニーズウィスキー「サン●リー角瓶」を駆使し、超濃いめのアヅマメガハイボールを作ってくれる。

 土曜だがスナックは賑わっている。酔客たちのカラオケに耳を半分傾けつつ、S本姐さんと談笑しながら「アヅマ・ハイボール・二〇一九年」を鯨飲。神戸に帰ったら読み直そう。『ロマネ・コンティ・一九三五年』を。

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ロマネ・コンティ(のブランデー)。

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ラガブーリン。
posted by machi at 14:29| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月17日

第2280夜:商店街でバードウォッチングするために【宮古(岩手)】

 宮古市の鳥(市鳥)。浄土ヶ浜周辺を飛びまくっているニャーニャーと猫のような啼き声を発しながら浄土ヶ浜周辺を飛びまくる「ウミネコ」である。ちなみに岩手県の県鳥は「キジ」、日本の国鳥も「キジ」らしい。

 炎暑激しい8月上旬の昼。‘花香る・散策路’宮古市中央通商店街で『中央通セントラルパークプロジェクト』の一環として子供と保護者を対象にした夏休み自然教室が<おでんせプラザ>で開催された。紙芝居とセットになった宮古市の野鳥の勉強会と巣箱づくりワークショップの2本立てである。

 講師は日本野鳥の会宮古支部の方々。紅白歌合戦でおなじみだが、野鳥の会の方と初めてお会いした。その広範囲な知識と愛情に心躍る。

 宮古市は海抜ゼロの浄土ヶ浜や宮古港から標高1917mの早池峰山まで有する日本屈指に巨大な市。これまで314種の野鳥が確認されており、山鳥よりも水鳥の方が多いらしい。ちなみに全世界で約11,000種が確認されている。

 宮古では1年中見られる「留鳥(スズメ・トビ・ウグイス・シジュウカラ・ウミネコなど)」、夏は高い山に、冬は低い山や南へ移動する「漂鳥(ルリビタキ・カヤクグリ・イワヒバリなど)」、他にも「夏鳥」「冬鳥」「旅鳥」「迷鳥」があるそうな。何となく漢字で習性が分かる。

 野鳥は川、山、海で多くも見られるが(生息環境)、商店街ではスズメ、ツバメ、カワラヒワ、シジュウカラ、ハクセキレイ、イソヒヨドリ、トビ、そしてカラス。私は野鳥の知識が皆無なのでさっぱりわからないし気づかなかったが、カラスだけは商店街でよく見てきた。

 商店街で野鳥を保護するポイントをご教授いただく。野鳥の好む実のなる樹木を植えること、冬限定で給餌活動することなどが効果的らしい。冬限定というあたりに説得力がある。

 巣箱はただ設置すれば野鳥が集まるというわけではないらしい。様々なコツがあるそうだ。入口は3p(スズメ)、2.8p(シジュウカラ)と細かく分類され、底に雨水を抜く穴を開けることが重要という。ちなみにスズメが巣箱を寝床として利用するのは秋から冬らしい。

 設置場所にも留意不可欠。ヒナがカラスに襲われてしまう。私は札幌で巣守り中のカラスに攻撃され、首筋に嘴から思いっきりぶつかってこられたのでカラス対策は万全でありたい。

 会場を埋め尽くした子供と保護者合わせて約30名の中で、子供以上に保護者の方が野鳥の説明に聞き入っている。オトナでも十分に面白くタメになる。

 巣箱づくりワークショップはやはり盛り上がる。会場(おでんせプラザ)はエアコンなく、この日は30度はあったかと思しき夏日だったゆえ会場は熱気を通り越して酸欠状態。そこにペンキの匂いも混じる。

 熱中症が危ぶまれたが、無事終了。最後にかき氷が振舞われた。私もご相伴に預かる。かき氷をすべて食べきったのは生まれて初めてかもしれない。途中でキーンとなって残してしまうからだ。それほど暑かったのだろう。私は特に何も動いていないのだが。

 たっぷり野鳥のことを学んだので、その夜は食鳥のことを学ぶべく<のり平>へ。カウンターはびっしり満員で入れず。焼鳥屋という名の巣箱に私は入れなかった。

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野鳥のお勉強。

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巣箱作成ワークショップ。

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かき氷のおふるまい。

(付記)
2019年10月13日(日)・14日(祝)に開催される「宮古まちなか楽市〜秋の陣〜」初日(13日)にバードウォッチング体験イベントを開催。ドローンも登場。ぜひご来場くださいませ!
posted by machi at 07:28| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月16日

第2279夜:夜の景気と人手不足【宮古(岩手)】

 電線地中化。三陸最大の商店街振興組合・宮古市末広町商店街を取り巻く環境は令和に入り激動の時代を迎えつつある。市役所庁舎が末広町に近い宮古駅前に移転完了し、ようやく商店街を含めた中心市街地活性化に目が向けられ始めた。「士農工商」は令和になっても根付いている。

 末広町商店街では電線地中化に合わせ、従来は一定時間帯のみ一方通行だったが、終日になると同時にスラローム化する。スラロームすると「ふくらみ」が生まれる。そのふくらみを活用した社会実験が令和元年10月下旬に市や県立大学などが中心となって実施されるそうだ。

 これらは市施工事業だが、末広町商店街独自施策として令和元年から本格的に空き店舗対策に取り組むことに。新規出店も相次いでいるが、それを上回る退店ペースである。

 末広町は立地が良いため、店舗が事務所に代わる。決して悪いことではないのだが、できれば小売または飲食(ランチ営業不可欠)が望ましい。

 末広町商店街の入り口に、日本最大(たぶん)の焼肉チェーンが9月中旬オープンする。隣接店舗に日本屈指の珈琲チェーンもオープンとささやかれたが、こちらは霧消。焼肉店も夜間のみ営業という。漏れ伝え聞くところによると、どちらもアルバイトが確保できないことが要因らしい。私が日本全国飛び回る中で、近年最も大きな問題が人手不足。求人および人件費高騰である。

 空き店舗対策ミッション終了後、6人で飲み屋街へ。1軒目は満席で断られ、すぐ近くの2軒目も満席でアウト。どちらもかなり大きい店なのだが、宮古の夜は元気だ。<番屋>さんに飛び込むと何とか入れてくれた。しかし私たちで打ち止めにようだった。

 生で乾杯。強烈に暑い日だったので黄金色の奇跡が染み込む。そして刺身の盛合せの中でひときわ輝きを放つ生雲丹。今日が「クチアケ」だったらしい。たっぷりと満喫し、地酒の冷やを流し込む。他にも鮮度抜群の刺身、唐揚、エビチリ、夏野菜などをツマミに生や地酒鯨飲。2次会は<myフレンド>。ほぼ満席だったがソファー席を詰めてもらい何とか確保する。

 翌日は正午から末広町に隣接する中央通商店街ミッションゆえ、宮古の我が弟分・Tオルと麺ドライブ。向かった先は巨大な防潮堤が進撃の巨人を思わせる鍬ケ崎地区から田老方面に向かう途中にある<大久保>。野菜たっぷりタンメンで汗を流す。この店もひっきりなしにご来店。営業時間も昼だけである。

 中央通ミッション終了後、<のり平>へ向かうと満席で入れなかった。ママが一人でテンパり気味だ。宮古の夜、どうしたんだと思うほど弾けている。

 近くの<渡来>へ向かう。凄まじい活気と賑わいだったが我ら3人は一席だけ空いていたので入れてもらう。その瞬間、暖簾が店内にひっこめられた。宮古の景気(夜ですが)は本当に落ち込んでいるのか疑問に感じたが、人手不足であることだけは肌身に実感できた。

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クチアケの生雲丹。最高を超えた最高。

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毎月ありがとうございます。

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2軒目は当然のごとくコチラへ。

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防潮堤工事が進む鍬ケ崎地区。

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野菜たっぷりタンメン。

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Tオル氏と麺ドライブ。

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超人気居酒屋の一つにて。
posted by machi at 07:02| Comment(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする