最近、どんなメニューもあるファミレスのような大型チェーン居酒屋が海鮮に特化した業態にシフトしている。日本人の魚離れや漁獲量の減少が叫ばれるが、DNAレベルで魚介への愛情が染みついているのだろう。今や肉より魚の方が高級である。
私は日本中の港町で最高鮮度の魚介を日々満喫している生活を痛風と戦いながら送っているため、大都市や内陸都市では鮮魚居酒屋を避ける傾向がある。本場で味わうよりも鮮度が悪く値段も高いからだ。
我が生まれ育ち今も住んでいる神戸でも魚介系は軽くスルーする。神戸新長田の2店舗の除いては。
ある春の土曜の夕暮れ。私が20代前半から通っている神戸新長田<あみさき>へ。我がIT顧問の煮干を連れていく。
瓶ビールと焼酎水割りを軸に、刺身盛合せをたっぷり満喫。蒸し穴子に目を細めてから、エビフライと天ぷら。プリプリのサクサクである。最後のツマミは蛸ガーリック炒め。
それから駅前のスナックビルへ。知り合って15年以上になるママの店に1年ぶりに行ったら閉まっていたので隣の店に飛び込む。まさかの還暦越えのオヤジが一人で切り盛りする究極の場末スナックだった。
ママ、じゃなかったオヤジさん曰く、隣のママの店は3か月ほど前にたたんだという。これで私が生まれ育ち、11年間働いていた新長田でなじみのスナックが完全にゼロに。寂しいものである。
妙に旨いポテトサラダや酢牛蒡をツマミながら角瓶をボトルキープし、ハイボール痛飲。カラオケ唄いながら。お客はわりとひっきりなしで来る。
翌日の夕方も新長田へ。我が超零細弱小一人社長従業員ゼロ自宅事務所会社の守護神・大阪総合労務会計事務所の先生方と愛してやまない<寿し天>へ。さすがの賑わいっぷりである。
鯛の肝煮と白子でいくらでも酒が進む。チンチンに増えたサッポロ黒ラベル瓶と熱燗を交互にやる。鰯と鯖のきずし、蛍烏賊酢味噌、白海老塩焼に目を細め、社長巻でアテを〆る。赤だしでワンクッション挟む。赤だしは酒のアテにもなる。
先生方にはおまかせでにぎりを満喫していただき、私はひたすら杯をあける。2軒目は真隣の<みずはら>へ。私が物心がつく遥か前から通っている我がソウルフードだ。
ねぎすじ焼、目玉焼、月見肉焼、そして〆はうどんモダン焼。瓶ビールを数本空ける。7人で満席だが実質は5人でぎゅうぎゅう。
マスターと久しぶりに話す。3年以上ぶりだ。私が子供のころからおばあちゃんだった老店主は91歳でお亡くなりになられたそうな。大往生という。
変わらない店と、変化を遂げる店。そして、消えゆく店。私が15歳の時に平成になり、ただいま44歳でまもなく平成が終わる(平成31年4月現在)。人生のゴールデンデイズが、平成。新たな時代を新長田へは、プラスマイナスするとますます足が遠のきそうである。


<あみさき>にて魚介に舌鼓。

後輩とオヤジさんが一人で奮闘するスナックへ。






<寿し天>にて。にぎりを満喫する前のアテですでに大満足。

物心がつく前から通っている<みずはら>にて。