2019年03月26日

第2157夜:駅弁放浪記:2泊目〜岡山駅・高知駅・中村駅〜【駅弁】(前編)

 『駅弁ひとり旅』(双葉社)。このバカブログでも幾度となく触れてきた駅弁コミックのバイブルである。弁当屋の主人が働きづめの女房を放置し日本全国を旅して駅弁を喰らいまくるというストーリーである。日本に飽きたらず台湾まで進出。理解のある女房に恵まれた御仁である。

 私にとって駅弁は‘酒のサカナ’である。しかし、1日に数本電車を乗換えて目的地まで数時間かかり、しかも乗換時間が数分しかない場合は、駅そばという選択肢が消える。駅弁一択だ。

 その場合は乗換時間がほぼないため迷っている暇はない。即断即決と駅弁売場を一瞬で見つけ出す嗅覚が求められる。

 ある初冬の木曜日。10時18分新神戸発新幹線で岡山。特急2本乗り換えて中村へ。高知四万十は初上陸である。

 『おかやま豚スタミナ重』は岡山駅新幹線改札内で高知行き特急乗換10分の合間に捕獲した駅弁。調整元は三好野本店様。岡山駅弁の雄である。

 特急に乗り込み、列車が動き出した。しずしずとパッケージを外す。豚バラ肉と角煮、玉子焼で構成されている。豚バラ肉は「岡山県産桃太郎ポークのスタミナ焼」。どのあたりが‘スタミナ’というと、「にんにく醤油ダレ使用」あたりである。角煮も岡山県産豚肉であるそうだ。

 スタミナ焼、見た目以上にニンニクのパンチが効いている。角煮も濃厚。玉子焼が良い箸休めとなっている。それ以上に甘酢生姜の酸味が全体を引き締めている。彩もピンクゆえ映えている。

 列車は高知着。到着ホームの向かいに停まっている中村行き特急に乗り換えるのだが、時間は4分。ふとホームを見渡すと、駅弁売場があった。せっかく高知まで来て滞在時間4分。少しだけ覗く時間はあるだろう。

 売場へ行く。売り子熟女の猛プッシュが始まった。かつおたたき駅弁、アンパンパン弁当など……。なぜかまだ時間は14時にもなっていないのだが、思いっきり3割以上ディスカウントしている。まるで閉店時間の雰囲気だ。

 この日は四万十市内のホテルで21時までミッション。その後は未定。レストランも閉まっているだろうから、ド放置プレイを喰らい部屋で孤独も考えられる。高知名物を全く口にする機会がない可能性高し。

 かつおたたき弁当に惹かれたが、掛け紙に包まれて中身が全く分からない「龍馬弁」に惹かれた。高知といえば、龍馬ぜよ。1050円が、600円である。龍馬を指名し、列車に乗り込む。その瞬間動き出した。

 指定席だがガラガラである。高知より先は私も初めて。未踏の地である。ある意味で冒険心を掻き立てられる。初めて訪れる街へ着く前は、胸躍る何かがある。〔字夜後編〕

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岡山駅弁『おかやま豚スタミナ重』
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2019年03月25日

第2156夜:呑んだくれの秘境【ふじみ野(埼玉)】(後編)

 グダグダしていると、シャッターが空いた。というより、強引に空けた。6人座れば満席のカウンターに陣取る。

 いかにも職人風のオヤジさんと気さくなママさんが切り盛りされているようだ。どちらもかなりのご年配で激シブ。完全に昭和である。

 奥に小上がりがあるそうだが、予約で埋まっているという。小上がりといえば響き良いが、思いっきり民家の居間。その居間を突っ切ればトイレがある。

 生ビールで乾杯。痛風に苦しむ私にとって1か月ぶりの生である。ギネスだけは解禁していたのだが、普通の日本の生はこんなに旨かったのか。お通しがロールキャベツ。気合がこもっている。出汁が染み込んで旨い。

 1品目が運ばれてきた。一人一皿である。思わずウヒョーっと叫び声が漏れた。たっぷりである。赤と白のコントラストがこれほど美しいとは。

 わさび醤油とニンニクごま油と塩を駆使し、チビチビ味わう。旨すぎる。蕩ける。全くしつこくなくクドくない。純粋な旨味だけが昇華する。

 逸品中の逸品を箸で千切りながらチビチビ味わう。これだけで1時間は軽く持ちそうだ。ホッピーに切り替える。

 続いて現れたのが、ルイベ風。ごま油に浸し、しばらく放置してから口に運ぶ。……。一つの決意が生まれた。一生痛風と生きていく。痛みを笑顔に変えてみせる。ふるへ、ゆらゆら。ゆらゆらとふるへ。

 熱々のメンチカツはジューシー。口の中で肉汁があふれ出す。ホッピーで洗い流す。昇天しそうになる。

 カウンターで4時間近く呑んだのではないか。ふらふらと駅前へ。居酒屋で溢れている。他にも足を運んだことのない店も多い。

 新規開拓も良かったが、私のリクエストで今年ふじみ野市内で最も通った<さぶちゃん>へ。1人脱退し、5人でホッピー乾杯。

 2018年は昨年度の3倍以上ふじみ野市内(上福岡)で呑んでいる。毎回付き合って下さるチームM橋に感謝しかない。

 2018年ふじみ野ラストナイト。サンタでも提供できない極上のプレゼントを1軒目で堪能させて頂いた。上福岡というエデンの園に実る、禁断の果実。

 イブのいないアダムならぬアヅマはいつか楽園から追放される。しかし、禁断の果実を口にできるなら、堕ちるところまで堕ちてしまえ。本望である。

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このシャッターを開ける勇気はあるか。

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生、解禁。

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極上の昭和の時間。
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2019年03月20日

第2155夜:呑んだくれの秘境【ふじみ野(埼玉)】(前編)

 裏口入学。2018年は医学部やらなんやら裏口っぽい入学が話題になった年である。そんな難関医学部よりも入りにくい居酒屋が埼玉県ふじみ野市上福岡エリアに存在する。

 <F沢屋>。上福岡駅前名店街を抜けてすぐにある開店直後から秒殺で席が埋まる埼玉第二の歓楽街・上福岡屈指の超絶人気居酒屋である。

 ふじみ野市に通い始めて1年半になるが(2018年12月現在)、初めてこの店に足を運んだ。特にカウンターではないテーブル席側の入口は絶対に気づかない。イチゲンでは1000%ドアを開けることすら不可能だろう。私も「えっ?ホントにここに入るのか?」とたじろいたほどである。

 店内はびっしり満員。壁面を張り巡らされたメニュー、凄まじく豊富で安い。ちなみに通されたテーブルは雀卓。激シブである。

 私は痛風絶賛発症中なので1杯目からホッピーに。市役所がキープしているJINROをゴボゴボ注ぎ、氷とホッピー外を足す。氷は市の紅一点1年生が自分で氷を製氷機から直接投下している。

 ブツ切り鮪刺身は量たっぷり。鮮度の良さが色目から伝わってくる。焼鳥も焼とんもすべて1本100円。どれも大きく肉たっぷり。寄居風に辛味噌ダレをつけて頬張る。目尻が下がる。

 究極はトンカツだった。分厚いのだが、これほど柔らかいトンカツは初めてかもしれない。脂もさらりと溶けクドクない。ソースだけでなく、醤油でも試してみた。この一切れを味わえただけでも1年半ふじみ野に通ってよかったと思わせる。

 大満足かつ夢心地で店を出る。いったん解散し、T須氏とS根氏とスナックラウンジ2軒ハシゴ。焼酎の緑茶割を呑みまくり、時折下ネタを話していると時間は夜中3時。お開きである。

 私は駅前のホテルだが、両氏はタクシー。どこにも泊まっていないし、流してもいない。上福岡の夜は、広く深い。表もあれば、裏もある。まだまだ私の知らない世界が広がっている。

 その夜から2週間後の寒い夜。さらにディープな店に足を運ぶ機会を得た。<Kにさき>。上福岡駅から徒歩15分弱に位置する秘境中の秘境名店である。

 肉屋が直営する居酒屋で小売りと飲食は並んでいるのだが、小売りゾーンは厨房になっている。ふじみ野市内の酔っ払いにとってもレアな店であり、あこがれの店でもあるという。

 <くNさき>に課長が電話すると、誰も出ないそうだ。他の店を切り替えようとしたが、私は諦められずもう1度電話してもらうと、今度は電話が繋がった。ただし、カウンターしか空いていないという。我らは5人。1名が遅れて合流である。

 ぐんぐん歩いていく。こんなところに居酒屋があるのだろうか。……。あった。しかし、思いっきりシャッターが閉まっている。営業開始は17時半らしいが、すでに18時前。違う店に電話していたのだろうか。〔次夜後編〕

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このドアを開ける勇気はあるか。

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あるようでない正方形テーブル(雀卓)。

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カオス。

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2軒目。

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3軒目。

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2019年03月16日

第2154夜:初冬の誓い【ふじみ野(埼玉)】

 <大>。‘ビッグ’と読む、ふじみ野市宿泊時の我が定宿(デイリーホテル)から最も近いと思しきかもしれぬ上福岡駅西口徒歩3秒の居酒屋である。東武東上線沿いを中心に箸袋を見ると10店舗以上展開しているようである。

 東口あたりをフラフラしていればふじみ野市役所のどなたかとお会いするだろうし、私も知人の店主が増えてきた。しかしデイリーホテルに宿泊し、かつ夜遅くからの一人呑みの際は東口方面へ渡るパワーが枯渇する。よってこの店に足を運んでしまう。

 ある初冬の夜遅く。初秋に続き2度目の訪問を果たした。前回との違いは、痛風絶賛発症中であること。よってメニューを見るものの、プリン体たっぷしのブツは怖くて外してしまう。すると、半分ぐらいしか残らない。恐るべしプリン体である。

 プリン体ゼロのホッピーを無条件で注文。お通しのスパゲティサラダをツマミながら、壁面掲示オススメPOPに視線を向ける。「自家製おでん」が心に響いた。6種類も入って480円。これはお得である。冬の訪れを感じさせる。

 おでんは鉄鍋に入って供された。思わず笑みが漏れる。蒟蒻、薩摩揚げ、大根。このあたりは定番である。蛸やはんぺんは完成ではあまり見かけないネタ。関東に来ている旅情を地味に味わうことができる。

 大ネタは巾着。餅巾着だろう。私が好きなおでんネタ第1位は揺るぎなく「玉子」なので幾分の寂しさを感じるが、この寂寥も味の一つといえる。

 どれも出汁がよく染みている。タコはプリン体多かったか……?もう、どうでもよい。ホッピー中をお替りしながらおでんを攻めていく。そして、巾着を残すばかりに。かぶりつく。……。思わず目を剥いた。中は、玉子だった。

 嬉しい不意打ちである。お宝が薄揚げに包まれて潜んでいた。気持ちが跳ね上がったところで、牛肉メンチカツ(2ヶ)が運ばれてきた。断面がすでに肉汁で溢れている。

 かぶりつく。……。口の中が肉汁の洪水である。噛みしめるほどに溢れ出す。2ヶ580円が480円というサービス期間であることも旨さに追い打ちをかける。

 ホッピー3杯、おでん6ヶ、ミンチカツ2ヶ。かなり満たされた。しかし、〆ねば居られない。すぐ近くに旨し家系ラーメン店があることを知っているが、時間も遅い。店内で〆よう。前回は焼そばだった。今回は……。

 メニューを見る。焼うどんがあった。店員さんに焼うどんと言おうとした瞬間、何故か発した言葉は「チャーハン」。自分でも理解不能だ。

 ホッピーを追加するとさらに3杯呑んでしまう。カチワリ赤ワインを召還。チビチビやっていると、チャーハンが飛来してきた。

 もっとピラフ的なビジュアルを想像していたが、思いっきり中華料理店のチャーハン。紅生姜もさりげなく添えられている。かなりのボリューム。大盛サイズで650円。

 レンゲで軽く崩して口に運ぶ。……。本格的である。味加減も絶妙。すかさず冷えたカチワリ赤ワインで追いかける。キュッと口内が引き締まる。熱々からの、冷々。これはタマらない。

 あっという間に赤ワイン滅失。すかさずお替り。ペース落とすことなく喰い切り、呑み切った。

 今の(痛風発症中の)私にとって、糖質よりもケアせねばならぬのはプリン体。もう、ビールから卒業しよう。レバーやあん肝、白子、鮪、鰹、干物から卒業しよう。

 満腹腹をさすりながら、12月とは思えぬ生暖かい夜を歩いた。どこにも寄り道せず、ホテルへ。初冬の誓いである。

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お通しをツマミながら軍略を練る。

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おでん盛合せとミンチカツ。どちらもサービス品。

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もつ串は赤ワインで。

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〆のチャーハン。喰い過ぎ。

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2019年03月15日

第2153夜:浮揚の実感【八尾(大阪)】

 けいらんうどん。日本屈指の駅そば名店・近鉄八尾駅高架下<河内うどん>冬の限定メニュー(たぶん)である。券売機でなく直接オーダーする。値段は400円だ。

 以前から気になるメニューであり、ある初冬の朝、ついに対峙する機会に恵まれた。天ぷらをトッピングしてみる。どのように確変するのか期待が高まる。

 ブツ降臨。卵の半熟とあんかけぶりがあまりにも官能的。これはもはやアートである。そして、凄まじく熱い。取り皿を活用し、覚ましながら啜る。……。言葉にできない。

 これがたったの400円。しかし、あんかけゆえに天ぷらがほどけず、特に確変しなかった。これからけいらんうどんを頼む場合はトッピングせず一択勝負。日々精進である。

 体も心も温まり、八尾商工会館へ。台風で中止になった「八尾あきんど起業塾2018」の振替講座である。講師は我が酒友・N岡一級建築士。テーマは「内装工事削減のコツ」。DIYでやりましょう、という雰囲気の講座はあるものの、ド直球の工事費削減のコツはほとんどない。

 建築士にとっては自分のギャラに直結しかねないのであまり喜ばれるテーマでないのだが、我が酒友のクライアントは大手が多いゆえ影響なし。シロートにも分かりやすくためになる講座は類例を見ない。感動の嵐である。

 終了後は実際に空き物件を見学し、N岡氏が現地でアドバイス。これも参考になる。長年お世話になっている不動産会社の社長曰く、最近近鉄八尾駅、特に西口はオススメエリアという。かなり物件が動き出しているようだ。JR八尾駅北側もあまり空きがないもののいい感じらしい。

 14時に解散。N岡氏とS藤氏とそのまま近鉄八尾駅高架下の1年ほど前にオープンした串カツ屋へ。ガンガン喰って、ガンガン呑む。2時間満喫し、それから同じく高架下の<がちや>で90分呑み放題。私はカチワリ赤ワインを鯨飲。いつの間にか爆睡していたらしい。

 意識朦朧のまま店を出る。全然気づかなかったが、すぐ隣にラーメン店がオープンしていた。すでに行列ができる店らしいが、たまたま時間がまだ早かったのかテーブル席が空いている。入らぬ選択肢はない。

 私は王道と思しき「鶏だし醤油(ラーメン)」。確かに旨い。呑んだ後に啜りたくなる。

 人気店は立地も賃料もあまり関係なく、オープン直後でも大流行りである。昨年度にオープンした<えん>は予約なしでは入れない人気店に。

 今回のあきんど起業塾塾生も、2019年GWを目途にニュータイプのお店をオープン予定。私も面談したが、絶対に行きたくなるコンセプトとこだわりで充実している。

 万博も決まり、経済活性化の期待高まる関西。八尾は穴場であり、おすすめである。ぜひ八尾市内で夢を実現しませんか?超一流講師陣(私除く)が伴走型でオープン前からオープン後も全力でお手伝いさせていただきます(2018年12月現在)。

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寒い朝の「けいらんうどん」。

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最高級に実践的な講義。

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オススメ物件を視察中。

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高架下で打ち上げ。

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3軒目は人気ラーメン店へ。

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お世話になりました!
posted by machi at 09:02| Comment(0) | 大阪府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする