小京都。この愛称で知られる街は日本各地に存在するが、南国高知の小京都といえば「中村」であるらしい。中村は四万十市の中心市街地である。
ある初冬の遅い午後。中村駅に初上陸を果たした。タクシーで<新ロイヤルホテル四万十>へ。運転手さんから夜の呑み屋情報を色々ご教授頂く。
ホテルは中心市街地ど真ん中。周囲は居酒屋やスナック豊富。これなら夜は放置プレイを喰らっても寂しくない。念のための捕獲しておいた岡山駅弁「ままかり寿し」が無駄になりそうだ。
部屋は何故かツインルームにアップグレード。定価は分らぬが1泊素泊まり4320円。16時から大浴場に入ることができ、しかも温泉。神経痛にも効くらしく、痛風の私にはありがたい。
宿泊客サービスでいろいろ選べる商品の中から「たまねぎかりんとう」を選択。館内の自販機はビールもジュースも価格を上乗せせずコンビニと同じ価格。良心的である。部屋のアメニティも珈琲、紅茶、緑茶がティーバッグだがそろっている。消臭スプレーもある。
大浴場へ向かう。16時2分なので一番乗りかと思いきや、すでに先客1名。敗北感に打ちひしがれながら体と頭を洗い、温泉へ。絶妙の湯加減。長旅の凝りと滓が毛穴から湯舟に溶けていく。痛風で腫れている足にじかに温泉の効用が染み込んでくるようだ。もう仕事したくない。
ミッション開始まで2時間。ホテルの市街地マップを見ると、偉人たちのお墓ばかり目立つ。お墓に1rも興味がないので、アーケード街を散策する。
四万十といえば、私のイメージでは川である。四万十市のキャッチコピーも「川とともに生きるまち いままでもこれからも」。しかし私は以前から自然に全く興味がない。おそらく四万十に来るのは最初で最後。たとえわずかでも散策することで旅情気分を噛みしめる所存である。
立派なアーケードである。居酒屋も多いが、シブい喫茶店が数軒ある。時計の修理専門店には唸らされた。コンビニもあり、チャレンジショップもある。ちなみにホテルから一番近かった居酒屋の屋号が「常連」。これほどイチゲンが入りにくい屋号もあるようでないだろう。
今年(2018年)に埼玉県熊谷市に抜かれるまで、四万十市は日本観測史上最恐の暑さの記録地だった。夏場はさぞ暑いだろうが、この日は風が強く冷たい。
商店街では「第1回まちあそび人生ゲーム タイムスリップしてきた玉姫さま〜」という謎のイベントが半月後に開催されるらしい。第1回というあたりが心騒がせる。
19時から「幡多商人塾」。幡多は郡の名称でその中に四万十が含まれている。さらに細分化すると、四万十の中心街は「中村」。
ミッション終了後、呑み屋が多く連なる四万十市の中心街でK知県中小企業団体中央会M崎氏と飛び込んだ居酒屋は<みやざき>。氏は店主夫妻と昔から知りあいのようだ。
高知名物が味わえるだけでも有難い。氏は生だが、私は痛風が完治しておらずハイボールに。
お通しはじゃこおろし。いきなり痛風の天敵である。しかし、高知からさらに西の四万十へは2度と足を運ばぬ可能性99%。乗り越えねばならぬ。じゃこ、噛みしめるほど旨味が溢れる。
刺身の盛合せは鮪、鯨、貝などで構成。そして念願の鰹の塩たたき。鮪も鰹も痛風の敵としてはトップクラスだが、打ち倒す。ハイボール(かなり濃い目)では物足りない。冷やした四万十の地酒(おりがらみ・黒尊)をグラスで並々。
久々に日本酒を口に運ぶ。……。高知が我が体内に入ってきた。刺身、鰹を口に運ぶ。……。我が全身、黒潮である。太平洋のプリン体をたっぷり含んだ恵みが我が末梢神経にまで染み渡る。
マスターとも色々話させていただく。鉄板玉子焼きは演出の妙もあり、最高の味わい。あおさ海苔の天ぷらも高知名物。このあたりは痛風にも体にもよさそうだ。
地酒と旨し料理でタガが外れた。生ギネスを注文。2週間ぶりのビールである。痛風など知ったことか。堕ちるとこまで、堕ちてしまえ。ギネス、旨すぎる。ビールの中でもギネスが最も愛しているかもしれない。しかも、生である。
お替りしてると、鯨の皮とネギを甘辛く煮込んだ酒の肴に無敵料理がサービスされた。鯨の野趣あふれる風味が葱にも染み込む。鯨の皮は初めてだが、上品な野生。仄かに残るクセが旨味を倍加させている。
大満足で店を出る。周囲はスナックも多い。しかしこの夜はオトナしくホテル直帰。男女入れ替え制のため誰もいない小浴場で体を伸ばし、部屋に戻ってウィスキーをヤリつつホテル備え付け漫画を読みながら寝落ち。
ちなみにナイトキャップになった漫画は『喰いしん坊!』。フードファイター漫画である。私もフードファイターになれることを夢見ながら。いや、夢は叶えるものである。

この日はこれでたったの4000円ちょっとだったはず。

心憎いサービス。

立派な商店街。





土佐を満喫。
posted by machi at 07:35|
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