ナポリタン。言わずとしれた焦げたケチャップの匂いが鼻腔をノックアウトするキラースパゲティである。私は外スパの際、ナポリタンかミートソースしか頼まない。
あるぐずつく天気の遅い昼。長崎駅から歩いて5分の定宿からブラブラ2分ほど歩いて<キッチン政>へ。その日は朝からホテル引き籠りPC猿打状態。気分転換も兼ねての外昼飯だ。
食べ過ぎは眠気を誘うといえ、夜ミッションも控えしっかりエナジーをビンビンに注入せねばならない。
ドンブリ系、カレー系、定食系……。券売機前で数秒長考した後、スパゲティに狙いを定めた。「スタミナ野郎ナポリタン」。ナポリタンはがっつり頬張るオトコの料理である。
北海道地震の被害を伝えるニュースに胸を痛めていると、カウンターにライスが置かれた。……。ライス?私はナポリタンを頼んだはずだが……。しかし、店内客は私ともう一人しかおらず、その御仁は一心不乱に何か食っている。
10秒後、さらに味噌汁がライドオンしてきた。ライスと味噌汁。思いっきり定食と勘違いされているようだ。その旨を伝えようとしたら、ナポリタンが運ばれてきた。
思わず目を剥いた。ライスと味噌汁がついたナポリタン定食だったのか。しかも大きなカツ(チキン)が2枚もある。焼きそばとライスは関西では定番でもあるが、ナポリタンとライスは初めての取り合わせだ。
まずは味噌汁で心を落ち着ける。よくわからぬが、まずはナポリタンをフォークに突き刺して、クルクルせずに啜りこむ。……。旨い。ボリュームもたっぷりだ。カツは揚げたてでサクサクで、一口齧った後にソースを垂らして再度かぶりつく。柔らかく香ばしい。
ナポリタンを食べ進め、ライスを頬張ってみる。……。不思議で複雑な味わいである。カツとライスを合わせてみる。……。思わず首肯する。これでライスの攻略法が見えてきた。
スパゲティを食べ進めると、そこに細切りキャベツが。そして半熟の卵が。絡めて一気食い。こんなにひっそりと隠れていたとは……。サプライズだ。
男性一人客が続々入ってきた。大満足で食べ終えて店を出る。次回はかつ丼かカレーを攻めよう。小雨の中、決意新たにホテルへ向かう前に、店外メニューにもう一度目を凝らした。
「店長の自慢です!」というPOPとともに、「男のナポリタンはライスオンが基本です(笑) ナポリタン、チキンカツ2枚、小ライス」と書かれていた。
思わず苦笑した。ナポリタンは、ライスオン。新たな名言の誕生である。
ナポリタン&ライス&ミソスープ。