2018年11月08日

第2069夜:初秋の誓い【ふじみ野(埼玉)】

 ある初秋の土曜日。栃木県鹿沼市にて夜中にこむら返りで死にそうになり、痛みが引かず足を引き釣りながらの帰路、都内高架下の魚介豚骨系の店でコスパ悪めの特製中華そばを腹に入れ、夕方帰神。

 翌日15時過ぎに再び神戸を発ち、品川、池袋経由で上福岡に向かう。同じような逆ルート我がスケジュール管理の無謀と無法に呆然。

 上福岡のホテルにチェックイン。21時。ようやく本日1食目。雨も上がった。

 繁華街方面へ行く気力なく、ホテルから最も近いと思しき東口の高架下の居酒屋へ。初めてかつ適当に飛びこんだが、当たりの気配濃厚。おすすめも定番系も心擽るものばかり。

 ホッピー3杯の間にお通し、栄螺壺焼(できれば刻まないでほしかった)、300円のサービス豚生姜焼、鰻肝串、辛味噌で確変するシロ串(豚小腸)。途中、どこかのブランド牛らしい上州串(1本200円強)も召還。

 この日は9月2日の日曜日。台風が近づいているゆえか、妙に涼しく秋の気配。メニューに「キリン秋味」(中瓶)がある。

 このビールを居酒屋で見かけると、いわゆる一つの秋の気配というヤツである。これから2か月後には私は最も愛してやまない「キリ〇一番搾り 遠野産ホップ」が現れる。

 今年の炎暑に思いをはせつつ、今年度最強の台風21号が直撃せぬことを祈りつつ、秋味召還。秋をいち早く楽しまねばならない。

 料理が消えた。もう一軒というより、秋味のツマミが欲しい。日曜日。タフな1週間が始まる。2軒目でラーメン〆せず、あまりない1軒目〆を誓う。

 メニュー再読。……。「ビッグのやきそば」発見。480円。安い。焼きそばとビールは無敵。晩夏の夏祭りの風情も感じさせる。秋先取りに相応しい組み合わせだ。

 秋味の濃さを楽しみ紫煙を燻らせていると、やきそば降臨。……。想像以上に多い。ビッグが店名(大)と思っていたが、大盛の意味か。

 やきそばをツマミに、秋味。いい感じである。秋の夜長。あっという間に冬だろう。タフな1週間に備え、鋭気注入フル充電完了。

 普段なら2、3軒ハシゴするが、日曜だし、一人だし、Fじみ野市役所の呑んだくれダメ人間たちと一緒じゃないと場所も分らん上に入りにくい店(オネエチャンのお店)ばかり。

 オッサンゆえに翌日のダメージがキツいことをつい最近覚え、1軒目で焼きそば〆してまっすぐホテルへ直帰する成長ぶりを44歳になってようやく到達。これからホテルや部屋呑み以外は、24時以降外呑みせぬことを固く心に誓う。

 日本中のド酒呑みの酒友の皆さま、24時以降は付き合い悪いですぜ(たぶん、おそらく、何となく)。

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第1陣。

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第2陣。
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2018年11月07日

第2068夜:六本木のサラダそば【鹿沼(栃木)】

 サラダそば。世界遺産・日光からもほど近く、餃子の聖地・宇都宮はもっと近い栃木県鹿沼市で売り出し中のヘルシーなご当地そばである。鹿沼はそばの産地として有名であるという。

 ある夏の終わりの遅い午後。東京都内の立ち蕎麦屋で本日一食目だった「鶏から揚げそば」のボタンを押す。生卵をトッピングで追加。から揚げ、かなりのボリュームである。関西ではまず見かけないタネ。出汁に染みてなかなか旨いが、サラダそばとは対極に位置している。

 東北新幹線で宇都宮へ。その日は豪雨で、山形以北は大雨で新幹線運休という。宇都宮乗換で安堵する。さらに日光線に乗り換えて鹿沼へ。鹿沼一愛されているオトコ・商工会議所M越氏に迎えに来て頂き、JR鹿沼駅真ん前の旅館にチェックイン。なかなかシブい旅館である。

 鹿沼にはとにかく人柄が良いらしい。一方で慎重でもあるという。皆さん(私と出会った商業者+α)本当に仲が良い。交通網は便利で、良かれ悪かれ都心に近い。宇都宮は近すぎる。ユネスコにも登録された彫刻屋台の祭りはさぞ圧巻だろう。

 ミッション終了後、懇親会に。会場は「パブリックハウス 六本木」。倉庫を改装した居酒屋かスナックかパブか分類不可能な不思議空間。イチゲンがドアをくぐるのはかなりの蛮勇がいる。

 スナックのママと店のレディと割烹着を着た板さんが忙しそうにしている。料理も評判であるというが、店名は意味不明だ。

 生ビールが染み込むように旨い。呑み放題なので、私の前には生ビール、ハイボール、赤ワイン、焼酎の4種のグラスが並ぶ。交互に干していく。

 小鉢、漬物、絶品の熱々ジューシーなから揚げ、玉子焼。さすが料理自慢のパブリックハウス。酒とカラオケが進む。Y市女史とロンリーチャップリンをデュエットさせていただく。

 私は鹿沼訪問2回目だった。鹿沼名物は数あれど、「サラダそば」を押している。定義はよくわからないが、かなりの店舗数が参加している「鹿沼サラダそば」ポスターを拝見すると、店独自に様々な工夫が凝らされている。サラダゆえに、百花繚乱で華やかだ。初回訪問時はタイミング合わず、サラダそばとの邂逅は叶わなかった。

 縁もたけなわの3歩手前のタイミングになり、「鹿沼サラダそば」一人一皿降臨してきた。量もあえて小ぶりでちょうど良い。麺偏愛者の私にとって、ご当地名物が麺類であれば絶対にスルー出来ない。恋焦がれていた彼女に出会えた。一気にテンション上がる。

 さっそく啜る。……。フレッシュである。爽やかである。冷やし中華とは当たり前だが全然違う。そばが旨い。寝る前の〆として毎晩サラダそばを啜れば痩せてしまいそうだ。

 さらに呑んでいると、〆の〆が出てきた。焼そばである。……。サラダそばで〆るつもりが、我が0.1トンBODYは、アッサリよりもコッテリでないと〆ることはできないようである。

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鹿沼の夜のパブリックハウス。

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分類不能の空間。

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ヘルシーで旨しなサラダそば。

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昼に啜った旨しだがあまりヘルシーとは言いにくい立ち食い鶏から揚げそば(生卵投下)。
posted by machi at 20:30| Comment(0) | 栃木県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月05日

第2067夜:ムーラン定食【小倉(北九州)】

 定食。夜は酒を飲み、朝は旅館で宿泊した時以外めったに口にせず、昼はたいてい麺類(ラーメンかうどんか立ち蕎麦)、カツ丼、カツカレーなのであまり定食を口にする機会はない。たまにレラニバや餃子、鯖塩焼などでワシワシ白飯を頬張りたい昼もあるが、夜は皆無だ。

 ある夏の朝。首の裏側のコリがひどく、北九州若松の定宿の温泉大浴場を朝から独り占めして揉み解してから小倉へ。

 小倉の昼は駅構内<フジヤマ55>、魚町<資さん>、旦過<黒兵衛>が我が3大ランチ聖地。たまには河岸を変えるべく駅構内の多店舗展開豚骨ラーメン店へ。

 何を血迷ったか芸人とコラボした「小峠らーめん」なるものを選択。海苔に芸人さんの似顔絵がプリントされている。ゆで卵がK峠氏っぽいということか。お値段は880円。定食もあったが、単品で十分。首を傾げながら鳩啜。

 半年以上ぶりの旦過市場ミッションを終え、<ムーラン>へ。M渡アニキと合流。マスターのツマミを喰いながら持参した缶ビール、アニキのプレミアム焼酎、私が2週間前に持ち込んでキープした4g業務用ジムビームを交互に呑む。ジムビーム、さすがに減らない。

 マスター日替わりツマミのメインディッシュ「豚生姜焼き」が運ばれてきた。実に旨そうである。豚生姜焼きはビール、ハイボール、日本酒、焼酎、どんな酒にも合うが、最も相性良いのは白ご飯である。

 この夜はミッション終了後、直接ムーランへ駆け込んだので、空腹は激しかった。白ご飯があればいいのに……。めったにない定食モードが発動してしまう。

 すると、マスターがモード発動とほぼ同タイミングでライスと漬物を添えた。……。思わず目を疑った。ガン見する。……。どこからどう見ても、紛うことなき白ご飯。ライトに照らされ煌めいている。

 パブで、白ご飯。圧倒的にシュールである。味噌汁代わりに、4g業務ジムビームのロック。まさかの即席「ムーラン定食」である。

 生姜焼きを口に運ぶ。……。酒場らしく濃い目の味付けが嬉しい。すかさず白ご飯で追いかける。……。はふぅ。くぷぅ。うにゅ〜ん。私の空気頭にこれまで感じたことにない擬音が飛び交い始めた。目尻から温度を持った雫が流れてしまいそうな究極。私は、理性が飛んだ。

 マヨネーズを絡め、口に運ぶ。ジャンク感が増す。今度はバーボンで追いかける。野趣と洗練が高難度でクロスし始めた。時折箸休めにポリポリする漬物の歯ごたえと酸味も極上だ。

 ムーラン定食、完食。大満足だが、私の中で椅子に根張りモードのスイッチも入った。それからのなんやかんやツマんでは呑み、結局夜中1時まで。定食屋で4時間も居座れるものでないし、店の人から怒られるだろう。しかし`定食ムーラン´は時間無制限である。

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ムーランにて。

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芸人とのコラボラーメン。

posted by machi at 12:01| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月04日

第2066夜:居酒屋の昼ランチ【Aho-Boiled】

 居酒屋のランチメニュー。私の昼は基本的に麺類が8割、1割がカツ丼またはカツカレー、そして残り1割が定食である。<Yよい軒>や<宮本むNし>ら定食専門チェーンよりも、居酒屋のランチを好んでいる。量も味も満足で、値段も安い。かなりお得である。

 一般的に居酒屋のランチはサービスメニューである。つまり、儲からない。では、なぜ行うのか。夜の飲食に繋げるためである。昼は宣伝のようなものであり、ゆえに手抜きが見られない。夜に行ってみようと思わせなければ、それこそ徒労に終わるからだ。

 居酒屋ランチで圧倒的な存在感とコスパを誇るのが<Sくら水産>。平日限定だが日替わりが2種類(魚系・肉系)があり、ライス、味噌汁、生卵、漬物が食べ放題。以前はさらにフリカケと味付海苔も食べ放題に含まれていた。様々な事情があったのだろうが、税込500円をキープしていることに最敬礼である。消費増税後の動向が気になるところだ。

 この数年、日本中の駅前繁華街のド一等地に進出している24時間海鮮居酒屋(●●水産など)も熱い。1000円以下でかなりも満足感を得ることができる。

 私の自宅事務所(神戸市須磨区の妙法寺駅前)近くは居酒屋が1軒だけ。ショッピングセンター内にあり閉店時間も速いが、ランチが安くてボリューム満点。味も申し分ない。

 ある秋の午後。小倉駅付近で昼食を取ることに。駅構内のラーメン屋数店はさすがに飽きてきた。小倉滞在時の我が定宿は小倉駅の北側(新幹線口)。よって魚町や旦過から離れている。

 ホテルへ向かう途中、これまた日本中で看板を掛け変えている<M利きの銀次>が視界に入った。小倉店は未踏だが、愛知県安城市で呑む際、2、3軒目としてよく利用した。昼ランチをやっているとは知らなかった。

 飛び込む。13時だったが客は誰もいない。不安を覚えながら席につく。メニューを見る。

 牛丼400円、シーフードカレー500円、日替わりの値段は忘れたがトンカツか唐揚だった。定番の定食はマグロ系や焼魚系が大充実。ライス、味噌汁食べ放題という剛毅さである。

 「ミックスフライ定食」を選択。880円。居酒屋ランチゆえ悠々と煙草を吸いながらぼんやりしていると、ブツ降臨。エビフライ2本、魚フライ2ヶ、コロッケ1ヶを軸に、冷奴、小鉢、漬物がわきを固めている。ライスと味噌汁はすでに大盛だ。

 ソースを垂らし、ワシワシ飯をかきこむ。旨し。十分なボリュームゆえ、ライスお替りにたどり着かなかった。これから小倉新幹線口のホテルに滞在する際の昼は、この店にしよう。そして、夜も一軒目に訪れてみよう。しかし、昼からビールを飲んでしまいそうになる危険性もたっぷりとはらんでいる。

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我が自宅近くの昼ランチ。この内容でたしか600円程度。

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<さくら水産>の500円ランチ。

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<目利きの銀次>の定食。

(付記)
翌日の昼もこの店へ。「まぐろ定食」、おいしゅうございました。
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posted by machi at 10:36| Comment(0) | あ〜ほボイルド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月02日

第2065夜:うどん屋でスパゲティ【長崎(長崎)】

 鰹のたたき。私が最も愛してやまない魚料理である。居酒屋で視界に入ると頼まずにいられない。しかし、心の底から笑みがこぼれる逸品に出会うのは8回に1回程度である。

 2018年の夏、私が最もシビれた鰹のたたきに出会えたのは、長崎だった。それもうどん屋さんである。<喜助うどん>である。

 長崎市新大工町商店街ミッション終了後、皆さまと恒例の<喜助うどん>へ。生で乾杯し、談笑してると大皿に鰹のたたきが運ばれてきた。分厚い。思わず生唾を飲み込む。断面の赤さが鮮度を物語っている。薬味もたっぷりだ。

 薬味を絡め、さっそく口に運ぶ。……。福音が聞こえてきた。クルスが輝きだした。タレ、薬味、鰹が織りなす天の祝福。うどん屋さんで今季最高の鰹が味わえるとは。

 続いてはアボカドとウィンナーを炒めたマヨ味、ハムカツなど、ビールが進む料理のオンパレード。好物料理ばかりである。

 たまたまかもしれぬが、新大工ミッション終了後は熱燗好きが集う。私も愛している。エアコンの効いた部屋で呑む暑い夏の夜の熱燗も季語にしたくなる風情と旨さだ。

 談笑の中で、何うどんが一番好きかという話題になった。私は「カツカレーうどん」をプレゼン。その旨さ、奥深さを普段の仕事のプレゼンの10倍以上の情熱を持って激しく訴えていた。すると、カツカレーうどんが運ばれてきた。

 えっ?何という偶然……。嬉しさ以上に悪寒が走り抜けたとき、そのプレゼンを聞いていたオーナーのK島氏が厨房に作るよう指示していたという。ちなみに初めての調理らしい。

 これほどの贅沢はない。K島氏は1年以上前、私が「ハトシ大好き」という話を聞いて店でオリジナルのハトシを提供して下さったこともある。最高のおもてなしだ。

 とろみある絶品のカレー出汁に、ソリッド感を兼ね備えたカツのザクっとした歯触り、その後に押し寄せるカレー汁を含んだ野趣あふれるスパイシーな香ばしさ。

 カレーうどんの出汁は、普通の出汁よりも熱い。さらに揚げたてカツの熱さも加わり、旨さと熱さは何乗にも突き抜ける。ここで、ビールではなく熱燗でおいかける。……。狂おしきほど、物狂おしけれ。うどんも私好みの細麺。もう思い残すことはない。

 カツカレーうどんで〆かと思いきや、大皿に汁ダクのスパゲティが運ばれてきた。K島氏のこだわりとして、絶対に同じメニューをアヅマ懇親会では出さないという。シビれてしまう。

 トマトソースは幾分和風に施されている。カレーしかり、スパゲティしかり。麺やライスよりルーやソースが圧倒的に少なく切ない想いを抱えてきた同好の士は多いはず。しかし、ここはソースの方がたっぷり。

 啜りこむ。……。うどん屋で、スパゲティ。あってはならぬ禁断の組み合わせ。ムフムヒと笑ってしまった。つゆだく最高。ほのかな和風にうどん屋の矜持を感じさせる。その勢いで対面2階のスタンディングバーへ。私の締まらぬ顔はフヤけて蕩けっぱなしである。

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最高。

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毎月ありがとうございます。

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カツカレーうどんのサプライズ。

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禁断のサプライズ。

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対面2階のスタンディングバーにて。

posted by machi at 17:39| Comment(0) | 長崎県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする