運ばれてきた。この店がすごい量だったことを失念気味だったが、こんもりとした小山。ごぼう天も極太が4本ほど。肉もたっぷり。一味と七味が両方常備されている。
七味気分だったので多めにドバドバ。まずは出汁。……。甘目だが五臓六腑に沁み渡る。肉うどんにすると一般的に出汁は甘くなる傾向だが、この甘さは重層感あふれるオーケストラ。ごぼう天の衣、肉の旨み、生卵のツルツルとコクが出汁に溶け、うどんにエロティックに絡みつく。啜っても啜っても最初はあまり減らない至福に浸りながら汁1滴、麺1本残さず熊啜。
店を出るとパラパラ晴れ間があるのに雪がちらついてきた。しかしほんのり汗をかくほどの熊啜で体も芯からポッカポカ。寒風を蹴散らす米うどんである。
長年の懸案だった若松あやどり市場跡地問題が片付きそうである。ようやく攻めに転じられる。気分的に安堵しながら<おいちょ>へ7人で。寒いゆえ最初から焼酎湯割。知らぬ間にボトルが3本空く。
揚げぎんなんがほろ苦くて絶妙の塩加減で旨し。焼メカブ、三陸で普段食べているメガブとはどうやら別物。ヌルヌルだがコリコリ。若芽の茎を柔らかくした雰囲気。
カキフライ、ワカサギフライなど旬を満喫し、ドン氏の肉リクエストで牛タンなども降臨。〆はピザと焼飯。焼飯を少しだけ口にする。……。和風だが中華。パラパラなのにしっとり。絶対に自宅では再現できないプロの妙味。深く首肯する。
2軒目は麺友と1軒目マスターの御母堂様のスナックへ。ジャックをロックでヤリながら、うどん談議に華が咲く。資さん、牧のうどん、ウェスト……。大手から独立店まで含め、福岡県のうどんレベルは私的に日本一。コシなしうどんのフワフワした包容力に私も完全な虜。福岡県内では「肉ごぼう天うどん」が我が定番だが、資さんではカツカレーぶっかけうどんの魅力に抗えぬ。麺のカレーリフト力が壮絶である。
翌朝。いい天気だが小雪が舞っている。大浴場で眼を覚まし、予定より90分も早くチェックアウト。長崎へ向かう。若松から折尾まではダイヤ通りだったが、そこからが乱れまくり。
20分ほど遅れて博多到着。バスターミナルに向かうと、長崎行は運休で再開の見込みが立たないとおっしゃる。携帯番号で予約しているのだからせめて事前に連絡おくれよと心の中でボヤキつつJR切符売場へ猛ダッシュ。特急も大幅に遅れている。時間は10時30分。長崎ミッションは14時から。間に合わないかもしれない。
次の特急(11時15分)がどれほど遅れそうか駅員さんに聞くと、10時15分の特急すらまだ発車しておらずホームで待機しているとおっしゃる。ということは……。結果的に遅れている10時15分の特急に乗れるのではないか。
慌てて自由席チケットを券売機で購入しホームへ。特急に飛び込んだ数秒後にドアが閉まった。本来乗れなかったはずの特急に結果的に乗れるという強運と僥倖。しかも指定席は満席だが自由席は空いている。
牛歩のスピードだったが徐々に加速し始める。佐賀に入ると豪雪吹雪。ところが佐賀駅を超えると雪は滅失。結果的に予定より早く長崎に辿り着けそうに。博多駅で<牧のうどん>を啜ることを我慢し、移動を優先させたタマモノである。

肉ごぼう天うどんに生卵追加。最高。

再整備が楽しみ。

2軒目のスナックにて。

我が麺友と。