2017年度から埼玉に御縁を頂くようになり、東北方面の出張と重複するため大宮駅を利用する頻度が格段に増えた。
本格的な冬の訪れ直前の朝。新幹線で頬張る朝食用駅弁を捕獲しようと売店を物色する。激しい肉系や海鮮系、なぜか宇都宮餃子系が幅を利かせる。どれも1000円以上。駅弁で1000円以上は当たり前だが、朝飯には少し怯む金額。そして、少々ヘビーな濃さだ。
サンドイッチか何かを売店で買うか…。立食い蕎麦を啜ろうか。……。しかし、大宮駅は新幹線改札内に立ち蕎麦スポットは存在しない。在来線コンコースへ戻るにも面倒だ。
新幹線駅ホームに向かうと、そこにも駅弁売店が。何気なく物色すると思わず目を向いた。冒頭の「八ヶ岳高原たまごサンド」。値段は680円。八ヶ岳、高原、玉子、サンド。4文節どの単語も朝の爽やかさを感じさせる。手にする。思ったよりズシリと重い。
新幹線に乗り込み、パッケージをいそいそと開ける。……。思わず目を向いた。玉子がパンより分厚い。それが3切れも。寄居バルで頬張った玉子サンド級の衝撃だ。他に具なし。マヨネーズもなし。玉子一択勝負に覚悟、清貧、自信、風格、王道を感じさせる。
さっそく齧りつく。……。玉子の甘みとコクが口の中でハイジを唄い出した。パンは完全に脇役だが、玉子だけを単品で食べるだけでは生み出せない重層感を醸し出している。3ヶでも大満足のボリューム。コスパも非常に良い。
熱い珈琲が呑みたくなった。しかし、そんな気分の時に限り、車内の売り子さんがなかなか訪れていただけない。
同じような別の日の朝。同じく大宮駅で捕獲したのが「まい泉玉手箱」。まい泉といえばカツサンドだが、この玉手箱はそれだけでない。ミニカツサンドが3ヶ。これもしっかりとソースの味がパンにまで沁みて旨い。
朝からビールが欲しくなる味だが、細巻、稲荷寿司、野菜煮物も入っている。カツサンドと助六のコラボ。浦和と大宮の合併を思わせるシュールな駅弁だ。野菜煮物はその間の与野市という具合か。これは酒のサカナにもなる。値段も686円と極めて良心的である。
この駅弁は、珈琲でもお茶でも何でも合いそうだが、おそらくビールが最も合うだろう。朝から危険なひと箱である。


分厚き黄色が眩しい。


手軽な酒のサカナかも。