2017年08月31日

第1775夜:熊本ラーメン放浪記・その2【熊本(熊本)】(前編)

 下通。上通と並ぶ熊本の中心市街地商店街である。2017年6月中旬、思った以上に早く熊本駅に到着できた私は、ホテルに荷物を預け市電に乗り、中心街へ。熊本地震以降初めて散策する余裕を得た。

 地震の影響を見た目では感じさせぬ活気である。人通りも多い。震災前から熊本は元気だという話は聞こえていたが、その底力をまざまざと痛感させられた。

 時間は14時半。ホテルに戻る前にラーメンを啜ろう。ホタホタ散策していると、路地の奥にこれ見よがしにデカデカと「桂花ラーメン本店」看板が。熊本駅構内の支店は実食済だが、本店は初めて。たまたま聖地が現前に現れた僥倖に思わず惹き寄せられる。

 ドアを開け、カウンターへ一直線。店員さんがメニュー表を持ってくる。しかし、何故か店員さんの表情が戸惑い気味だ。

 店頭メニュー紹介で定番の桂花ラーメンではなく47年間人気1位という「太肉麺」一択に心は固まっていた。メニューを見もせず人気1位を注文。

 お茶を飲みながら店内キョロキョロしていると、ほどなくしてブツ降臨。ごろっと大きな豚の角煮。ゆで卵。そして、生キャベツ。火を通していない生キャベツ。それも千切りではなく乱切り。生キャベツ乱切りがラーメンに合うのだろうか。それとも、私の選択ミスか。

 胡椒をパラリし、まずはスープをひと啜り。……。うむ、まごうこと無き熊本桂花の味。麺はツルツルのモチモチでスープに見事に絡む。肉の塊は口の中でホロリと崩れ溶ける。濃い目の味付けがスープに合う。ゆで卵も天晴なアクセントである。

 そして、自宅ですら試そうとも思わぬ生キャベツ。……。おや、合うではないか。濃厚な熊本スープに一服の清涼感。そして、このラーメンの構成要素の中で唯一無二のシャキっとした歯ごたえ。角煮との相性はさらに壮絶。このラーメンだからこそ実現した奇跡である。

 大満足で店を出ようとした時、券売機があったことに気付いた。私は気が流行るあまり券売機に全く気付かずいきなりカウンターに直行してしまった。店員さんの戸惑いの理由に納得だである。外の暑さなのか我が羞恥なのか、一気に体内温度が上がった気がした。

 それから2週間後の炎暑の15時ごろ。水前寺参道商店会に隣接する<味千拉麺水前寺観光センター店>に飛び込んだ。

 貴重な熊本訪問の機会。聖地(本店)で実食済だったので別の店も含め最初は`味千´足を運ぶ気持ちはなかった。全世界で数百店舗展開する日本屈指のラーメンチェーンでもある。

 二つの理由が私の足を向かわせた。一つはミッション先である水前寺参道商店会に隣接していること。もう一つは「水前寺もやしラーメン」というノボリに惹かれたからだ。〔次夜後編〕

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桂花ラーメン本店にて。

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2017年08月30日

第1774夜:酷暑の合間の冷涼【熊本(熊本)】

 <エクストールイン水前寺>。熊本水前寺ミッションの際の我が定宿である。年間200日以上ホテル住まいの私だが、我がベスト3に間違いなく入っているアットホームかつ暖かなサービスの満ち溢れたビジネスホテルである。

 大充実の無料朝食(前夜の暴飲暴食でスルーしますが)、フロアごとに加熱器や選べる枕、消臭スプレー(これは汗かき&少しでも衣類を減らしたい私には必須)、予備ハンガーを設置。フロントのお姉さんのマニュアルではないあったかい接客対応は最高だ。様々な備品貸出の中には自転車もある。漫画コーナーも多数取り揃えられている。

 7月下旬。駅から10分ほど歩いてこのホテルへ。汗が滝のように流れる。熊本の暑さも盆地特有の凄まじさだ。フロントで手続きし、24時までのウェルカムドリンクコーナーへ。冷たい水と緑茶、珈琲が常備されている。まずは香ばしい麦茶を一気飲み。少し落ち着き、紙コップにホットコーヒーを抽出して部屋に。エアコン全開でPCしながら涼む。汗も引いてきた。

 夕方。ミッション先の水前寺公園までは歩いて5分程度。その間に汗がまた噴き出す。ミッション会場の公園に隣接するお寺で会場準備していると、さらに汗が零れ落ちる。

 お寺なので会場が広い。ようやくエアコンが効いてきた。すると、先ほどまでの快晴が嘘のように激しい雨が降り出した。この夕方の熊本は局地的ゲリラ豪雨だったらしい。

 今回で半年間にわたる水前寺参道商店会のミッション無事完遂。外は闇。雨も上がり、打ち水効果のごとく冷涼が心地よい。参道では夜間工事が行われている。

 参道にある大人気かつ私も愛してやまない居酒屋<卯乃家>さんへ商店会や商工会議所、地元FM局の皆さまと打ち上げ懇親会。呑み放題コースだ。

 海老春巻が旨い。そしてこの店の名物である揚げ茄子も無敵。馬刺かわりのつくねも絶品。シーザーサラダでサッパリだ。生もピッチャーは最初だけで温くなるからと後は個別注文OKという剛毅さ。呑み放題焼酎は4人だがボトル4本テーブルに置かれている。何とかトマトの冷製ジュレも涼やかで、鶏肉のバターソテーのような料理のコクも秀逸。

 いろんな話で盛り上がる。皆さんビール党だ。私は最初ビール、そして焼酎へ。水割りからロックに移行しハイピッチで痛飲。〆は長芋やオクラが入った冷たいお茶漬けだった。N谷園風味全開だが、適度なショッパさが爽やかさを引き立てる。

 23時過ぎホテルに戻る。コンビニが歩いて5分だが、もう汗をかきたくない。ドリンクコーナーの自販機で缶ハイボールを購入。よく冷えている。

 部屋に戻ろうとしたら、手回しのかき氷製造機の存在に気付いた。その横にはシロップが。ウェルカムかき氷だった。どこのホテルもたいてい製氷機はある。そしてその氷をゴリゴリ回してシロップをかければかき氷が完成。目からうろこのアイデアだ。金もかからない。私はかき氷が苦手なので残念ながら試そうとは思わなかったけど。

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この最中にゲリラ豪雨のごとき夕立が。

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打ち水のごときつかの間の涼しさ。

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冷たいお茶漬け。

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かき氷。見事なアイデア。

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2017年08月29日

第1773夜:夏バテ知らずの濃厚蒸気機関【蕨・寄居・越谷(埼玉)】

 蒸気機関車。映画や雑誌等、または新橋駅前SL広場で展示されている蒸気機関車は見たことあるが、黒煙モウモウ燻らせる現役の実物を観たことはなかった。2017年7月中旬、浴衣姿の女性が多数おられた秩父鉄道寄居駅ホームに降り立つまでは。

 神戸人の私にとって、埼玉の暑さは太陽と日差しの凶暴さが異なる。もはや暴力としか思えない亜熱帯の暑さ。日差しと湿気。これまで夏バテ経験などなく、むしろ夏は暑ければ暑いほど調子が良くなっていた私だったが、さすがにゲンナリしそうになる。埼玉の暑さだけでなく、私の加齢も原因の一つに違いないけれど。

 寄居駅で蒸気機関車を目撃した時、私は神戸から埼玉入りし、蕨市・寄居町・越谷市を縦横する2泊3日の真っ最中だった。午後2時間、夜2時間のダブルヘッダーもあり、エアコンの効いた快適室内でのミッションとはいえ緊張も強いられる。

 バテ気味でも食欲と酒欲だけは減退皆無。昼は麺類、夜はビールやホッピーを浴びながら焼鳥&焼とん。夜の居酒屋は最近どこもエアコンが効きすぎているように思えるが、蒸し暑い屋外からエアコンガンガンの室内に入り、おしぼりと戯れた後間髪いれずノドに放り込む生ビールの旨さはこの世の奇跡。特にミッション中、しゃべり倒した後は格別だ。

 昼は麺類だが、あえてアッサリ系で無く濃厚ギトギト系で勝負。二郎系も良いが、私は横浜家系をさらに好む。家系濃厚豚骨醤油中毒の私は、関西でも最近増えてきた家系ラーメン店へ足しげく通う。私が注文するのは「ネギラーメン」。しかしこの日は蕨(厳密にはたぶん西川口)であえて「MAXラーメン」(壱角家)というトッピングオールスターズを啜りきった。

 越谷駅前にある関東イコール日本最強の立ち蕎麦チェーン<富士そば>の煮干しラーメンも最近ハマっている。450円とは思えぬ質の高さで手抜きなし。煮干し系をこよなく愛する私にとって、手軽にいつでもこれだけの品質を啜ることができる関東の麺友たちに羨望だ。

 タフな2泊も終わり帰路に着く。越谷から途中秋葉原でJRに乗り換えて東京へ。秋葉原の地上(昭和通り口)に浮上した時、新幹線駅弁昼酌も頭を過ったが車中でPC猿打せねばならない。昼酌を諦め、麺類一択で何か啜ろう。しかし、暑さと人の多さで探索する気になれぬ。

 家系ラーメン、つけ麺系、立ち蕎麦…。目移りするが、私の心を鷲掴みにしたのが<パンチョ>。大盛ナポリタンスパゲティの店である。新橋駅前地下に存在しているのを知っていたが、今や都内の至るところに進出しているのだろうか。

 大盛料金無料。目玉焼トッピングで740円の券売機スイッチを押す。紙エプロンを装着し、準備万端。ブツ完成。タバスコと粉チーズを鬼のようにぶっかけ、目玉焼の黄身を潰して絡めながら口の周りがケチャップだらけのアキバ啜。私の口と胃と心は濃厚極まりない蒸気機関車状態に。やはり私に夏バテは無縁である。

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秩父鉄道寄居駅にて。

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<壱角家>のMAXラーメン。

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<富士そば>の煮干し出汁がバッチリ効いたラーメン。

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<パンチョ>のナポリタン大盛。
posted by machi at 17:14| Comment(0) | 埼玉県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月28日

第1772夜:トンカツと背徳【八尾(大阪)】

 環山楼塾12期生。大阪府八尾市内の次世代経営者育成塾の12期生であり、ネット通販業を営む<ビーダッシュ>Y田氏が幹事を務めて下さっている。

 ある夏の夜。八尾の産業振興を検討する検討会の事務局サポートを仰せつかった後、21時過ぎから検討会の委員も務められている前述のY田氏、検討会座長のB能先生と冷たいビールでノドを潤しに。座長&委員の両先生と3人で酒席をご一緒させていただく光栄はこれで2度目。恒例になるかもしれない。

 3人で近鉄八尾駅すぐの超人気居酒屋<わっちょい>さんへ。カマクラのような個室にて生でガツンと乾杯。水茄子や茹でたて枝豆、アスパラ八尾味噌和えなど涼やかな料理が絶品だ。

 程なくしてY田氏が「忘れないうちに」と紙袋を私に手渡して下さる。ずしりと重い。中身を空ける。……。高機能なヘルスメーターと万歩計をさらに進化させた活動計なるもの。私の新会社独立祝いにと、環山楼塾12期生からの贈り物だ。

 感謝で心が満たされ、じんわり温かくなる。絶対に痩せようと誓っていると、この店に来れば頼まずに居られない絶品のトンカツが降臨。熱々の1切れ目は塩で、2切れめは大根おろしポン酢で。私の隣にはヘルスメーター。この背徳感が絶妙の味のスパイスに加わる。その夜も終電を無視し、そのまま呑み続けることに。

 11時ごろ店を出てペントモールの<えん>さんに向かった。すでに閉まっていたがノック。板長と少し雑談してからすぐ近くの串カツ屋へ。レモンサワーがノドに沁みる。

 B能先生と駅で別れ、Y田氏と<ジャンカラ>へ。2人と1曲も歌わずウィスキーをロックでヤリつつひたすらノンストップでしゃべり倒していると、ドアが開いた。

 「お客様のお荷物では…」と先ほどいただいた12期生からのお祝いの品が入った紙袋をフロントが届けて下さった。うっかりフロントに置き忘れていたらしい。せっかくのご厚意を灰塵にきすところだった。冷や汗が流れた。

 コンビニでウィスキーを買い、<ビーダッシュ>事務所へ。最高の座り心地&寝心地ソファーで夜中3時半まで雑談しつつチップスターをツマミに鯨飲。泥のように眠り込んだ。

 8時過ぎに目覚めた。Y田氏はいない。テーブルの上は酒とツマミで散乱している。凄まじい二日酔いとノドの渇きと灼熱の太陽に入滅寸前だ。

 何とかアーケード街に辿り着き、ホタホタ歩いて駅に向かっていると、せっかくのお祝いの品をY田氏の事務所に置き忘れたことに気付いた。慌てて引き返す。いったん神戸に帰って荷を詰め直してから埼玉県に向かわねばならない。

 2度の置き忘れ。馬喰鯨飲。私は本当に痩せる気があるのだろうか。

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<わっちょい>さんの絶品トンカツ。

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環山楼塾12期生を代表し、Y田氏からプレゼントを賜る。
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2017年08月27日

第1771夜:パイレーツ・オブ・ナカスニアン 最後の屋台【中州(福岡)】

 中州。福岡市内のみならず九州最大最強の歓楽街である。私の中では北のススキノ、南のナカスといったイメージだ。中州は風俗街でもあるが、それ以上に何といっても川沿いに並ぶ屋台が圧倒的である。

 2017年の夏の日曜日。私は7年ぶりに中州屋台を訪れた。仕事がら屋台村計画等に関わることが多い。ただしこれらは人工的に整備されたもの。本来の屋台は路上に面した限りない外呑みが基本。闇市的香りが漂う呑ん兵衛のパラダイス。夏だけでなく、冬も風情がある。

 その日の昼は博多駅構内「ほろよい横丁」で2軒ハシゴしてほろ酔う。駅前のホテルにチェックインし、シャワーを浴びて汗を流し2時間ほど昼寝。これもシアワセである。そして寝起きに再度シャワーを浴びて中州に繰り出した。

 前日まで山笠で大賑わいだったそうだが、祭りの寂し気な余韻は1oも感じられない。日曜とはいえ3連休の中日。観光客で溢れている。年配よりも若い人の方が目立つ。

 19時を超えているがまだ日が高い。1軒目は<もり>さんという大将が超絶の手際で一人で切り盛りされている屋台。冷えた瓶ビールでノドを潤す。中州屋台はどの店もコの字カウンターが基本。あっという間に客で埋まる。私も含め地元住民はほぼ皆無の雰囲気だ。

 天ぷら盛合わせを注文。その場で衣をつけて手際よく揚げてゆく。焼鳥類は昼にたっぷり満喫したので天ぷら一択に。いろいろハシゴするため酒も食い物もセーブ気味とする。

 大根おろしの入った出汁に浸して熱々を頬張る。旨い。ビールで追いかける。川から吹く風が心地よい。極上のロケーション。値段は決して安くないが、このロケーションを考慮すれば大満足である。いつまでも居たい気分になるが、長居は野暮。2軒目を目指す。

 人がさらに増えてきた。ラーメンにはまだ早い。焼鳥と天ぷら以外で攻めたい。ブラブラしていると、絶妙の声がけタイミングでラーメン&一品系の屋台に飛び込んだ。今度は若い店員さんたちが活気と元気を漲らせながら軽快に立ち振る舞っている。

 着座するなり追加注文不可と伝えられる。飲み物の追加は場合によってとおっしゃる。温いビールを呑みつつ地鶏焼と牛タン焼を注文。量は少ないがまあまあ旨かった。隣の客のラーメンも旨そうだ。値段はどれも平均1000円程度。観光客価格なのだろう。

 腹が張ってきた。休憩したいが休憩できるところがない。ちょうど中洲の映画館(中州大洋)で20時半ごろからレイトショー(1,100円)があった。作品は超大作ヒットシリーズ第5弾『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』。私もこれまで映画館で観てきたが、これほど後味も余韻も残らない爽快スッキリ映画は珍しい。今回も期待に違わぬ爽快感と何も残らなさ。少し小腹も減ってきた。再度屋台に向かう。

 23時ごろだか客足は途切れない。私は「焼きラーメン」なるものを喰ってみたかったので適当に空いている店に飛び込む。瓶ビールをチビチビやりながら出来立てのブツを啜る。……。超濃厚な味付けである。これは酒のサカナである。

 中州の屋台は保健衛生なども絡みもあり拡大されることはないだろう。また、地元民の多くは中州以外の屋台に足を運んでいるようである。観光客向けにここまで特化することも天晴な戦略の一つ。中途半端が一番よろしくない。

 このような屋台の空気や文化はもう日本では生まれない可能性が極めて高い。中州はまさに人工感にない「最後の屋台」。私は海賊気分で残りの焼きラーメンを啜り込み、〆の焼酎ロックを呷った。

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中州の天ぷら&焼鳥屋台。

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揚げたてを冷たいビールで。

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すごい人。外国人が半数以上かも。

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2軒目は温いビールと焼きもの。

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腹ごなしのレイトショー。

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深夜でも人途切れず。

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〆の焼きラーメン。
posted by machi at 10:06| Comment(0) | 福岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする